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山下晃和の「ツーリングの達人」・アメリカ フロリダ編<1>梅雨の日本を脱出 14日間のフロリダ縦断自転車旅

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 6月初旬、マイアミ行きの航空券を予約した。毎年、梅雨時期は本業であるモデル業の仕事で天候予備日をたくさん設定され、スケジュールが二転三転することも多く、ならば最初からこの時期は仕事を休みにしてしまえばヤキモキすることもないと考えた。うまくいけばマイアミ・マーリンズで活躍するイチロー選手の3000本安打もこの目で見られるかもしれない。そのほかにもアメリカのアウトドアやキャンプ事情やフィットネス、トレーニング事情も自分の目で見てみたいという第二、第三、第四の目的もあり、行き先はフロリダ半島に絞った。

フロリダ縦断自転車の旅 Photo: Akikazu YAMASHITAフロリダ縦断自転車の旅 Photo: Akikazu YAMASHITA

計画から燃え始める自転車旅の情熱

事前に調べるために買った地球の歩き方フロリダと、現地で買ったフロリダのマップ。こちらには、マイル表示だが距離と、街の大きさを示す点、キャンプサイトなどが載っていたので買うべし Photo: Akikazu YAMASHITA事前に調べるために買った地球の歩き方フロリダと、現地で買ったフロリダのマップ。こちらには、マイル表示だが距離と、街の大きさを示す点、キャンプサイトなどが載っていたので買うべし Photo: Akikazu YAMASHITA

 高校1年生の頃、ロサンゼルスのカリフォルニア州立大学ノースリッジ校で短期語学研修を受け、数年前に友人とサンフランシスコへ旅行をした。一昨年はロサンゼルスからアリゾナ、ユタとレンタカーで移動し、世界最大のアウトドアエキシビジョンであるアウトドアリテーラーショーをソルトレイクシティで見て、昨年はシアトルでマウントレーニアに登山の取材。その後、バイクフレンドリーなオレゴン州の都市ポートランドへと足を伸ばし調査…と、これまでは完全に西海岸だけのアメリカしか見ていなかった。いつか東海岸を旅してみたいという気持ちが募っていた。

サウスビーチは東側に海があるため、夕焼けよりも朝焼けが美しい。ヤシの木が並んでいる下の遊歩道をカップルが歩いていた Photo: Akikazu YAMASHITAサウスビーチは東側に海があるため、夕焼けよりも朝焼けが美しい。ヤシの木が並んでいる下の遊歩道をカップルが歩いていた Photo: Akikazu YAMASHITA

 フロリダ半島は自転車で旅しやすいのかどうかは、結局調べても分からなかった。フロリダ半島のイメージは、南国で、年中温暖な気候、美味しいフルーツが食べられ、米国内でも避寒地やリゾート地として海がキレイなところ、本当にそれくらいだった。ほかに何があるんだろう。魅力的に思える都市も、行ってみないと本当のところは分からない。

 とはいえ、世界中を旅しているうちに「ここは良さそうだな」と見当をつけるところはたいてい気に入るものだから不思議である。唯一、失敗したのは強盗に襲われたことがあるニカラグアの首都マナグアだ。

輪行に使用する「バイクサンド」の宙吊りシステム。これによって、外からのダメージを軽減し、ホイールとフレームがぶつかることもない Photo: Akikazu YAMASHITA輪行に使用する「バイクサンド」の宙吊りシステム。これによって、外からのダメージを軽減し、ホイールとフレームがぶつかることもない Photo: Akikazu YAMASHITA

 では、なぜ自転車旅だったのか。数人の友人から、「アメリカは自動車社会だから自転車は危険かもしれない」というアドバイスをもらい、またモーターサイクルの旅にすれば楽に行けるかもという選択もあった。しかし大きな山が無く、暑さが厳しい反面、ウエアは軽装でよく、キャンプ場もいくつかあるということを調べていくうちに、自転車旅に適した半島の可能性もあると判断した。

 あとは、僕自身が実際に走ってみれば、後に走る人にとってアドバイスができるかもしれない。そう思うとワクワクしてきた。自転車旅の情熱の灯火は、計画を立てるときからふつふつと燃え始めるのである。他のなによりも、この気持ちにスイッチが入る瞬間を大切にしていると言ってもいいかもしれない。

マイアミに到着したは良いものの…

オーストラリアのヌーサトライアスロンに出る時にも使用した「バイクサンド」は絶大なる信頼を置いている海外輪行箱 Photo: Akikazu YAMASHITAオーストラリアのヌーサトライアスロンに出る時にも使用した「バイクサンド」は絶大なる信頼を置いている海外輪行箱 Photo: Akikazu YAMASHITA

 およそ16時間かけて羽田からマイアミへ。

 アメリカンエアライン(AA)の26便、羽田を午前1時に発ち、LAにおよそ10時間20分で到着。その後AA1538便、LA発はこれまた深夜出発でマイアミへおよそ5時間25分だ。朝の8時半にはフロリダ半島の南東の先っぽにあるマイアミに降り立った。

 預け荷物として「BIKESAND」(バイクサンド)の「輪行箱は自転車」と告げると、150ドルのエクストラチャージを取られたが、無事にマイアミの大型荷物受け取り口に置いてあり、自転車と共にアメリカ大陸に足を踏み入れることができた。

 フライトの疲れはそれほどなく、時差ボケをだましつつもスーパーシャトル(22ドル)で、日本でネット予約をしておいた安いホステルまで移動。マイアミの日差しは強烈で、気温は連日35度を超えた。西海岸のような乾いた風ではなく、湿度があって蒸し暑い。

真っ白い砂浜と青い海、見上げれば青い空と輝く太陽。マイアミのイメージ通りの海が広がっていた。ビーチには、海水浴をしているお客さんも多かった Photo: Akikazu YAMASHITA真っ白い砂浜と青い海、見上げれば青い空と輝く太陽。マイアミのイメージ通りの海が広がっていた。ビーチには、海水浴をしているお客さんも多かった Photo: Akikazu YAMASHITA
フロリダ州マイアミのイメージはヤシの木が並んでいてオープンカフェがあって、ビーチまですぐというイメージ通りの場所もあった Photo: Akikazu YAMASHITAフロリダ州マイアミのイメージはヤシの木が並んでいてオープンカフェがあって、ビーチまですぐというイメージ通りの場所もあった Photo: Akikazu YAMASHITA

 「なんだ、日本の気候と、それも東京とそんなに変わらないのか」─と思っていたが、それよりも大変ということは後に気づくことになる。

 リゾート地ならではのヤシの木が並び、その向こう側には真っ青な北大西洋が見えている。街は水着姿で歩く観光客で賑わっていて、心からリゾートを楽しんでいる雰囲気だった。

サウスビーチのオーシャンドライブという大通りは海沿いにアールデコ建築が並び、カラフルでキレイ。夜になるとBarから音楽が流れ、雰囲気が変わる Photo: Akikazu YAMASHITAサウスビーチのオーシャンドライブという大通りは海沿いにアールデコ建築が並び、カラフルでキレイ。夜になるとBarから音楽が流れ、雰囲気が変わる Photo: Akikazu YAMASHITA
夜は遅くまで音楽がガンガンとなり、みなバーやレストランでワイワイやるのがマイアミ流。こちらはコロナの瓶がまるごと刺さった飲み物? Photo: Akikazu YAMASHITA夜は遅くまで音楽がガンガンとなり、みなバーやレストランでワイワイやるのがマイアミ流。こちらはコロナの瓶がまるごと刺さった飲み物? Photo: Akikazu YAMASHITA
MAY USE FULL LANEという道標はマイアミの至るところにあった。これは車と同じ道を走っても良いということ。逆に歩道を走るのはあまりよくないようで、押し歩きをすること Photo: Akikazu YAMASHITAMAY USE FULL LANEという道標はマイアミの至るところにあった。これは車と同じ道を走っても良いということ。逆に歩道を走るのはあまりよくないようで、押し歩きをすること Photo: Akikazu YAMASHITA
レンタサイクルも健在だったので、マイアミのみであれば時間を有効に使える交通手段である Photo: Akikazu YAMASHITAレンタサイクルも健在だったので、マイアミのみであれば時間を有効に使える交通手段である Photo: Akikazu YAMASHITA
自転車を駐輪しておくところも意外と多かった。鍵はきちんとかけておかなくては盗まれると思う Photo: Akikazu YAMASHITA自転車を駐輪しておくところも意外と多かった。鍵はきちんとかけておかなくては盗まれると思う Photo: Akikazu YAMASHITA
LAで自転車を受け取った時には箱が寝かせてあって、ものすごく不機嫌になっている本人 Photo: Akikazu YAMASHITALAで自転車を受け取った時には箱が寝かせてあって、ものすごく不機嫌になっている本人 Photo: Akikazu YAMASHITA

 2階にあるホステルだったためエレベーターにバイクサンドを積み、受付に行くと到着の日にちを間違っていて、「今日は満室です」と、いかにもヒスパニック風の女の子に返事をされた。バックパッカーが次々と来るので、忙しそうにイラついていて、その後は話を取り合ってくれない。

 フライト情報が載っているプリントを見るとたしかに「+1日」となっていたが、日付変更線を超えるため同日の朝に到着することになっていたのだ。なんたるミス! それも、かなり初歩的なミスだ。

 さて、困った。今日の宿がなくなってしまった。土地勘はまだない。どうすれば良いのだろうか。

→<2>宿探しもエンジョイ ホステルとキャンプ

山下晃和山下晃和(やました・あきかず)

タイクーンモデルエージェンシー所属。雑誌、広告、WEB、CMなどのモデルをメインに、トラベルライターとしても活動する。「GARRRV」(実業之日本社)などで連載ページを持つ。日本アドベンチャーサイクリストクラブ(JACC)評議員でもあり、東南アジア8カ国、中南米11カ国を自転車で駆けた旅サイクリスト。その旅日記をもとにした著書『自転車ロングツーリング入門』(実業之日本社)がある。趣味は、登山、オートバイ、インドカレーの食べ歩き。ウェブサイトはwww.akikazoo.net

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