スマートフォン版はこちら

サイクリスト

title banner

はらぺこサイクルキッチン<62>池田祐樹が王滝100km優勝奪還!「食トレ」でベジライダー急増中

by 池田清子 / Sayako IKEDA
  • 一覧

 5月22日、長野県王滝村で行われた日本最大ワンウェイMTBレース「セルフディスカバリーアドベンチャー(SA)・ イン・王滝」100km。昨年は、レース直前に肺炎を患い悔しい思いをした夫・池田祐樹(トピーク・エルゴンレーシングチームUSA)でしたが、今年は4時間37分41秒で総合優勝に返り咲きました。

100kmを4時間37分41秒でフィニッシュした池田祐樹 Photo: Takuya ADACHI優勝の瞬間。100kmを4時間37分41秒でフィニッシュした池田祐樹 Photo: Takuya ADACHI

選手の食への関心を実感

 有難いことにレース会場で「食事を参考にしている」と多くの方からお声かけを頂きましたので、改めて現在の池田家の“王滝に向けた食事トレーニング”をご紹介したいと思います。また、当連載を読んで1年間ほど実践しているという選手の声も。選手自らが食事に対する意識や関心が高まっていることを肌で感じ、興奮せずにはいられませんでした。

王滝の定宿・藤屋さんでお願いした植物性のみの食事。レース2日前の晩御飯は、豆乳鍋 Photo: Sayako IKEDA王滝の定宿・藤屋さんでお願いした植物性のみの食事。レース2日前の晩御飯は、豆乳鍋 Photo: Sayako IKEDA
レース前夜は藤屋さんが作ってくださった湯豆腐、キノコ類、春の山菜の煮物、米麺の野菜ビーフンなど。軽めに食べました Photo: Sayako IKEDAレース前夜は藤屋さんが作ってくださった湯豆腐、キノコ類、春の山菜の煮物、米麺の野菜ビーフンなど。軽めに食べました Photo: Sayako IKEDA
両脚がつりながらも全力で最後の激坂を登る池田祐樹。4つのチェックポイント全てを1位で通過 Photo:  Motohiro TAKAKI両脚がつりながらも全力で最後の激坂を登る池田祐樹。4つのチェックポイント全てを1位で通過 Photo: Motohiro TAKAKI

 レースまでの食事は基本的に「選手(夫)が勝利に向かう為に食べたいもの」を優先させています。驚かれることがあるのですが、私から「何々を食べて」ということはこの期間は殆どありません。「選手自身の体が必要としているもの(栄養素)は本人が一番よくわかっている」という考えからです。

 色々な食事法を試しているのですが、池田が「体型もフィットしつつ、体の内側からパワーが出てくる」と気に入っているのは、何と言っても基本植物性のみの食事「プラントベースダイエット」です。肉魚・乳製品・卵を食べずに、野菜・豆・穀類などを中心に食べる食事法です。筍や山菜など春の旬の野菜を織り交ぜつつ、タンパク質源は納豆・豆腐・高野豆腐・小豆・ひよこ豆・アーモンド・くるみ・タイガーナッツ・ヘンプシード・チアシード・アボカド、穀類は玄米を中心に調理していました。

「大好きな王滝村で優勝できたことが心から嬉しいです」と優勝スピーチで語った池田祐樹 Photo: Sayako IKEDA「大好きな王滝村で優勝できたことが心から嬉しいです」と優勝スピーチで語った池田祐樹 Photo: Sayako IKEDA

 野菜には抗酸化作用物質やミネラル、ビタミンなど数え切れないほどの栄養素、まだ人類が分析しきれていない栄養素までも秘めているのではないかと思っています。さらにすごいエネルギーを秘めているのが発酵食品。味噌・醤油・納豆・漬物・梅干し。日本には日本人の腸にあった発酵食品が昔からありますので、利用しない手はないですね。

大豆ミートをトマト缶と合わせると、ミートソースに。チコリ、赤カブなど旬の野菜をふんだんに使っています Photo: Sayako IKEDA大豆ミートをトマト缶と合わせると、ミートソースに。チコリ、赤カブなど旬の野菜をふんだんに使っています Photo: Sayako IKEDA
レース前日、会場ブースでサイン Photo: Sayako IKEDAレース前日、会場ブースでサイン Photo: Sayako IKEDA
やってきたことを信じて臨んだレースで優勝出来たことは、自信にもつながります Photo: Sayako IKEDAやってきたことを信じて臨んだレースで優勝出来たことは、自信にもつながります Photo: Sayako IKEDA

 ヨーグルトは断ちましたが、夫婦でお通じは良好すぎるほどです。腸と花粉症などのアレルギー症状は繋がっていると考えていますので、アレルギー対策の一つとしても発酵食品は常備しています。プラントベースの食事は宿泊先でも継続。定宿の藤屋さんに予めお願いをして、宿泊中は常に植物性のみの食事を作っていただきました。

「上りがぜんぜん違う」総合6位の岡本選手にインタビュー

一年前から食事を変えて、身体の調子もパフォーマンスも向上しているという岡本紘幸選手。今後も注目です一年前から食事を変えて、身体の調子もパフォーマンスも向上しているという岡本紘幸選手。今後も注目です

 今回、2度のパンクをしながらも総合6位に入賞した岡本紘幸選手(インパルス)も「池田家の食事を参考にして変わりました」と声を掛けてくださったので、インタビューさせてもらいました。

清子:食事を変えようと思ったキッカケは何だったのですか?

岡本:ちょうど1年前(2015年5月)位に、体調が悪いことが多かったので食事を負担の少ないものに変えようと思ったことがキッカケです。今までは体を絞ろうと思った時に、肉が多い動物性の食事と糖質を減らす食事をしていました。でも高強度のトレーニング後、お腹が重いと感じたり、2〜3週間下痢が続いたりしていました。加えて、寝つきが悪かった。そこで「体に負担の少ない食事をしよう」と思って色々サイトで調べて、その中の一つに清子さんの記事「菜食×トレーニングの体重推移」、「ベジタリアン生活〝菜食アスリート〟を実験中」、「私たちの優勝を支えた植物性の食生活のメリット」、「竹谷、小野寺両選手のレース持参フードも拝見」を見つけて、植物性中心の実践を始めました。

朝6時。100km部門に出場の、約800名の選手がスタート! Photo: Sayako IKEDA朝6時。100km部門に出場の、約800名の選手がスタート! Photo: Sayako IKEDA

清子:どのような食事からどのように変えていきましたか?

岡本:完全に絶ってはいませんが、肉の代わりに野菜を多くしています。週に14回位肉中心の食事を食べていましたが、今はごく少量の刺身か一切れの魚を食べる位です。その回数は週6回以下に抑えています。控えていた糖質も食べるようにしました。調理は妻も作りますが、週の半分くらい自分が作ります。タンパク質源は主に納豆やアボカドから摂っています。食事と食事の間を6時間以上開けないようにしています。

清子:体の変化はありましたか?

岡本:はい、すぐに変化がでました。2〜3カ月位で。体の負担が少なくなったのと、そのお陰で全ての症状が落ち着きました。野菜をたくさん食べるので量はちょっと増えたし糖質も食べるようになったのに、一年かけて5kg痩せました。それでも肩周りの筋肉は増えて周りから「体格が良くなった」「肌が綺麗になった」と言われました。

清子:レースでは最初の斜度の高い上りでアタックをかけたと夫から聞きましたが、パフォーマンスに変化はありましたか?

大豆ミートをひじきやパン粉と合わせてミートボールに。砂糖の代わりに、バナナを使いました!私自身も、型に捉われない考えで調理することが増えました Photo: Sayako IKEDA大豆ミートをひじきやパン粉と合わせてミートボールに。砂糖の代わりに、バナナを使いました!私自身も、型に捉われない考えで調理することが増えました Photo: Sayako IKEDA

岡本:上りが全然違いますね。体重に比例するパワー値は変わらずに体重が落ちていった感じです(実質的にパワーが上がっているという証拠!)。高強度のトレーニングの翌朝は、まだ疲労は残っているに不思議と脚が回ります。妻も一緒の食事をしていて「疲れが取れやすくなった」と言っていて、継続しています。

清子:外食ではどうしていますか?

岡本:外では動物性を食べることがあります。メインで食べるというより、パスタに少し入っている程度です。

清子:岡本選手、体験談をありがとうございました!

シングルスピード部門(100km)で優勝され、総合でも7位というスゴイ結果だった吉元健太郎選手。「大豆ミート食べてます!」とフィニッシュ直後に声を掛けてくださいました。おめでとうございます! Photo: Sayako IKEDAシングルスピード部門(100km)で優勝され、総合でも7位というスゴイ結果だった吉元健太郎選手。「大豆ミート食べてます!」とフィニッシュ直後に声を掛けてくださいました。おめでとうございます! Photo: Sayako IKEDA
フィニッシュと同時に、ここからまたスタートという新たな気持ちで次へ向かいたいと思います Photo: Sayako IKEDAフィニッシュと同時に、ここからまたスタートという新たな気持ちで次へ向かいたいと思います Photo: Sayako IKEDA

シングルスピード優勝の吉元選手も野菜パワー

 そして今回シングルスピード部門で優勝した吉元健太郎選手(チーム鳴木屋)も、フィニッシュ直後に息を切らしながら「大豆ミート食べてます!」と声を掛けてくださいました。吉元選手は100kmを5時間6分16秒でフィニッシュ。総合でもなんと7位に入る、会場に居た誰もが驚く記録でした。

 「肉も食べますが、もともと野菜が好きなこともあり、野菜中心の料理を妻がいろんなレシピを参考に作ってくれています」とのことで、レース後も奥様に車麩の揚げ焼きを作ってもらったそうです。ベジライダー、沸騰中!

 「肉食べないでよくスタミナ出るね」「我慢して爆発して食べてリバウンドしないんですか」と聞かれます。焼肉やラーメンが大好きでした。でも、今の食事法は我慢して続けている訳ではないのです。本能的に食べたくて「美味しい、嬉しい、強くなれる」と好んで選択しています。今回の優勝という最高の成功体験を元に、まだまだプラントベースダイエットは続きそうです。

池田清子池田清子(いけだ・さやこ)

アスリートフード研究家。モデル事務所でのマネージャー経験を生かし2013年夏よりトピーク・エルゴンレーシングチームUSA所属ライダー、池田祐樹選手のマネージメントを開始、同秋結婚。平行して「アスリートフードマイスター」の資格を取得。アスリートのパフォーマンス向上や減量など、目的に合わせたメニューを日々研究している。ブログ「Sayako’s kitchen」にて情報配信中。

フォトギャラリー


関連記事

この記事のタグ

はらぺこサイクルキッチン

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

ショップナビ

スペシャル

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載