スマートフォン版はこちら

サイクリスト

title banner

“自転車革命都市”ロンドン便り<41>イタリアでは「ニワトリ」への注意喚起も? 海外ライドの声掛け事情 

by 青木陽子 / Yoko AOKI
  • 一覧

 クラブライドや友だちと数人などグループで走るとき、とくにトレインを作って走るとき、安全のためやスムーズに走るために声掛けをすると思います。次の信号が赤になったので「止まりまーす」とか、「クルマ(が来ているから注意)!」「(後ろ)切れたー(信号で集団が分かれてしまった)」など、わたしも日本で走るときは、日本の自転車先輩や仲間たちから教わったフレーズをよく使っています。

左側に穴があることをジェスチャーで示している図 Photo: Yoko Aoki左側に穴があることをジェスチャーで示している Photo: Yoko Aoki

 そしてイギリスに来て、サイクリングクラブの仲間などと走るときには、やはり周りの人たちが使っているフレーズを使っています。

イギリスのUCIチーム、DROPSサイクリングチームのオープンライドに参加したときの記念写真。こういういろいろな人が集まるライドでも声掛けフレーズやジェスチャーは大切  Photo: Yoko AokiイギリスのUCIチーム、DROPSサイクリングチームのオープンライドに参加したときの記念写真。こういういろいろな人が集まるライドでも声掛けフレーズやジェスチャーは大切  Photo: Yoko Aoki

 日本語のときと同じで、走りながらなので簡潔で伝わりやすい言い回しが多くなっています。それを今回はご紹介してみます。イギリスやアメリカでクラブライドに参加したり、センチュリーライドなどイベントに参加するときに使ってみてください。英語圏の次に日本の人が多く走るだろうフランス語とイタリア語のフレーズのおまけつきです!

イギリスのジェスチャーは日本とほぼ同じ

 独断と偏見で、よく使うと思う順に並べてみます。

英語圏で使われる主なフレーズ

「クリアー!」 交差点など見通しの効かないところで、トレイン後続の人にクルマが来ていないことを伝える
「ライト!」 右折
「レフト!」 左折
「ストレイト・オン!」 直進
「カー・バック」 後続車が抜こうとしている
「カー・アップ」 (狭い道で)対向車が来ている
「ホール!」 路面の穴に注意!
「スローイング」 減速します
「ストッピング」 停車します
「スローダウン・ア・ビット」 (先頭に)ペース落として
「グラヴェル!」 砂利注意!
「シングルファイル」 2列縦隊から1列になろう
「オール・オン」 遅れていた人たちが集団に戻った

 これに合わせて余裕があればジェスチャーも組み合わせます。ジェスチャーはだいたい日本と同じと思ってよいでしょう。路上に駐車車両や歩行者があって避ける必要があるときにはその側の腕を背中に回して注意喚起するのもだいたい同じです。「ストッピング」のときに軽く片腕を上げるのは日本では見たことがないような気もします。

Raphaイギリスのアンバサダーたちとの合宿での1コマ。イギリス(欧州各国)では自転車の二列縦隊は車などほかの車両にとっての走りやすさからもむしろ奨励されているのでグループライドの基本です。この状態で、集団の先頭から後方に、路面の穴などの情報が伝達されます Photo: Yoko AokiRaphaイギリスのアンバサダーたちとの合宿での1コマ。イギリス(欧州各国)では自転車の二列縦隊は車などほかの車両にとっての走りやすさからもむしろ奨励されているのでグループライドの基本です。この状態で、集団の先頭から後方に、路面の穴などの情報が伝達されます Photo: Yoko Aoki

 「ホール!」と「グラヴェル!」は、舗装がきれいな日本ではあまり使わずに済んでいますが、イギリスは舗装の質が低く、よく舗装に穴がポッカリ開いていたり、路肩から流れ出してきた砂利がたまっていることが多いのでよく使われます。このときのジェスチャーは指で路面を指したり、その指先を小刻みに振ったりして、後続に注意喚起します。

スペインはカナリア諸島で走っているときの一コマ。このようなブラインドでクルマが来たとき、英語(イギリス語)の仲間なら「カー!」または「カー・アップ!」と声をかけます。フランス語なら「ヴォアチュール!」、イタリア語なら「マッキーナ!」  Photo: Yoko Aokiスペインはカナリア諸島で走っているときの一コマ。このようなブラインドでクルマが来たとき、英語(イギリス語)の仲間なら「カー!」または「カー・アップ!」と声をかけます。フランス語なら「ヴォアチュール!」、イタリア語なら「マッキーナ!」  Photo: Yoko Aoki

 日本でも地方によって微妙に声掛けの言葉が違うようですが、英語圏でも地域によって差はあるようです。米語圏では後続車が来ていることを「カー・アップ(クルマが上がっていく)」、対向車を「カー・ダウン(クルマが降りてくる)」ということもあるようです。

 わたしの知っているロンドン近辺では「カー・アップ」は対向車の接近を示すし、対向から来る自転車について「サイクリスト・ダウン」などと言ったら誰かが落車したという意味になるので、混乱するかもしれません。

ヴィンテージバイクの祭典「エロイカ・ブリタニア」での1コマ。エロイカやエタップ、オートルートのような大規模なスポルティーフイベントでは、周囲のサイクリストたちが知らない人でも声やジェスチャーで安全のための情報伝達をします Photo: Yoko Aokiヴィンテージバイクの祭典「エロイカ・ブリタニア」での1コマ。エロイカやエタップ、オートルートのような大規模なスポルティーフイベントでは、周囲のサイクリストたちが知らない人でも声やジェスチャーで安全のための情報伝達をします Photo: Yoko Aoki

 同様に、米語圏でよく使う「オン・ヨア・レフト(左から追い越します)」は英国では通じますがあまり聞きません。どちらかというと「オン・ヨア…」は冷たい感じに響くようで、うしろから「モーニン!(グッドモーニングの略)」などと明るい声で挨拶をして言外に「抜かしますよ」という意味を込めるのを好む人が多いです。国民性の差なのかもしれません。

フランス人の掛け声は必要最低限

 ではおまけその1。フランスでのライドでよく使われるフレーズ。

フランス語で使われる主なフレーズ

「セボン!」 交差点など見通しの効かないところで、トレイン後続の人にクルマが来ていないことを伝える
「ヴォアチュール!」 車が接近している。※前後区別はなし。
「アドワット!」 右折
「アゴーシュ!」 左折
「トルー!」 路面の穴に注意!
「ドゥースモン」 減速します
「ストップ」 停車します
「アトンシオン!」 (何か危険があるから)注意!

南仏で、地元のサイクリングクラブに飛び入り参加させてもらったときの一コマ。「セボン!」「セボン!」の声が頭の中にこだまして困りました。「OK!」という意味だとわかってはいても…  Photo: Yoko Aoki南仏で、地元のサイクリングクラブに飛び入り参加させてもらったときの一コマ。「セボン!」「セボン!」の声が頭の中にこだまして困りました。「OK!」という意味だとわかってはいても…  Photo: Yoko Aoki

 冒頭の「セボン!」は、去年の記事でご紹介した、南仏でときどきライドに参加させてもらうチームがよく使っているのですが、昭和世代としては昔フランソワーズ・モレシャンさんが出演していたトイレの洗浄剤のテレビCMを交差点のたびに思い出す、微妙な掛け声です。

 サンプルを集めようとフランス人サイクリスト数人に聞いたのですが、彼らが口を揃えて言うのは、フランスの自転車乗りは英語圏の自転車乗りよりも縛られることが嫌いで、そもそもそんな掛け声は本当に危ないときくらいしか使わないから知らない、ということ。

 さすが自由平等博愛の国。どこまで本当かわかりませんが、そういうことにしておきましょう。

イタリアは動物の飛出しに注意?

 おまけその2。イタリア語でよく使うライドフレーズです。

イタリア語で使われる主なフレーズ

「ヴァイ!」 交差点など見通しの効かないところで、トレイン後続の人にクルマが来ていないことを伝える
「アヴァンティ!」 同上
「OK!」 同上
「マッキーナ!」 車が接近している(※前後区別はなし)
「デストラ!」 右折
「シニストラ!」 左折
「ディリット!」 直進
「ブーカ!」 路面の穴に注意!
「ギアイア!」砂利注意!
「ガット!」 猫!
「カーネ!」 犬!
「ガリーナ!」 ニワトリ!

トスカーナで本家イタリア版のエロイカを走ったときは、日本人の友人たちと一緒だったので、あまりイタリア語の声掛けは聞けなかった。ニワトリを見た記憶はないです  Photo: Yoko Aokiトスカーナで本家イタリア版のエロイカを走ったときは、日本人の友人たちと一緒だったので、あまりイタリア語の声掛けは聞けなかった。ニワトリを見た記憶はないです  Photo: Yoko Aoki

 全体的に前のめりで、速く走れそうな気がしてくる音感ですね! 

 これらは北イタリア出身の友人に聞いたのですが、猫、犬はともかくニワトリというのがジョークなのか、これは当サイトでお馴染みのマルコさんの意見も伺ってみたいところです!

青木陽子青木陽子(あおき・ようこ)

ロンドン在住フリー編集者・ジャーナリスト。自動車専門誌「NAVI」、女性ファッション誌などを経て独立起業、日本の女性サイトの草分けである「cafeglobe.com」を創設し、編集長をつとめた。拠点とするロンドンで、「運転好きだけれど気候変動が心配」という動機から1999年に自転車通勤以来のスポーツ自転車をスタート。現在11台の自転車を所有する。ブログ「yokoaoki.com」を更新中。

関連記事

この記事のタグ

“自転車革命都市”ロンドン便り

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

ショップナビ

スペシャル

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載