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“自転車革命都市”ロンドン便り<38>リアルなライドよりも楽しい? ハマる人続出の「ズイフト」の魅力に迫る

by 青木陽子 / Yoko AOKI
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 2015年のβサービスインから話題を集めてきたオンラインサイクリング「Zwift」(ズイフト)。そろそろ身近な友人知人にもズイフトでトレーニングしている人が出てきて、気になっている方も多くなっているのではないでしょうか。ロンドンのわたしの友人にも、とくにこの冬の間ズイフトのバーチャル空間でばかり走っている人が続出、わたし自身もかなりハマっているのでその最新事情と一(いち)ユーザーとしての感想をレポートしたいと思います。

UCIワールドツアー女子チーム「Canyon/Sram Racing」選手たちとのグループライドのスクリーンショット。手前が有名なティファニー・クロムウェル選手、その右隣のノーヘル黒いウエアがわたしです。画像を拡大すると読める右側のコラムが自分の前後のユーザーの名前や出身国、出力などのデータですUCIワールドツアー女子チーム「Canyon/Sram Racing」選手たちとのグループライドのスクリーンショット。手前が有名なティファニー・クロムウェル選手、その右隣のノーヘル黒いウエアがわたしです。画像を拡大すると読める右側のコラムが自分の前後のユーザーの名前や出身国、出力などのデータです

空気抵抗による負荷も忠実に再現

 ズイフトがどんなものかは、「Cyclist」の過去の紹介記事「オンラインサイクリングの「ズイフト」が10月から日本で本格展開」や「室内で世界の仲間とヒルクライムバトル!」をご参照ください。

 わたしは一昔前に話題になったバーチャル世界で遊ぶ「セカンドライフ」のサイクリング版というのがいちばんわかりやすいかなと思っています。とくにパワーメーターや、PCと連動して負荷を自動的に変えてくれるスマートトレーナーなど出力を測れるツールを使うと、その走行感はか・な・りリアル。5%の上りなら5%らしく脚に来るし、そのときに出るスピードもリアルな路上で出るだろうスピードに近くなっています。さらに前の人との間隔を詰めて走れば空気抵抗が減って楽に走れる「ドラフティング」効果も再現されていたりするのが気が効いているじゃあないですか。

 そのくらいリアルなので、仲間で集まってグループライドをしたり、本気のレースをしたりするのも面白いというわけ。リアルで自分よりちょっと速い人とズイフトの中で走ると、やっぱりちょっと必死になって踏んでいかないとならないのです。

世界の名だたる選手たちとグループライド

 先日わたしがときめいたのは、今年スタートしたUCIワールドツアー女子チーム「キャニオン/スラム レーシング」の選手たちがズイフト内で一緒に走ってくれるというグループライドイベント。予告された時間にログインして集合場所で待っていると、あの「Rapha」のカラフルなキットを着た選手たちが集まってくるではないですか! さすがに顔はみなさん標準のアバターでしたが、ティファニー・クロムウェル選手は金髪だったり、なんとなく想像がついてドキドキしました。

 このグループライドは、「リッチモンド」という去年の世界選手権が開かれたアメリカはヴァージニア州リッチモンドのコースをそっくりに再現したコースで開かれました。あの石畳のS字の上りなどけっこうきつい勾配もあり、そこは選手たちに遅れないようにダンシングも使って上ったり、頑張りすぎて集団から自分が飛び出してしまってあわてて戻ったり。

イギリス人女性が中心のグループライドに参加したときの様子。ダート区間では走る人が多いと土埃が盛大に上がる。こういう仕込みが細かいのも好きな人は好きなはず(わたしは好きです、ハイ)イギリス人女性が中心のグループライドに参加したときの様子。ダート区間では走る人が多いと土埃が盛大に上がる。こういう仕込みが細かいのも好きな人は好きなはず(わたしは好きです、ハイ)

 そしてつい先々週はズイフトのアンバサダーをつとめている別府史之選手を囲むグループライドも日本語ユーザー向けに開催され、たいへんな盛況だったようです。ちなみにこのあたりの情報は、Facebookの「Zwiftライダース(JAPAN)」というグループページに参加するとゲットできます。まだこれからという人も先にFacebookのページに参加して様子を見てみるといいかも。

 そのほか、英語などほかの言語で開催されているグループライドもほとんどはオープンなので、「Zwift Ridesカレンダー」で自分に合いそうなグループライドやレースを選んで飛び込んでみるのも面白いものです。基本的には集まった人と走るだけなので、言葉が不自由でもそれほど不都合はないでしょう。いろいろな国旗の人と走るインターナショナルな経験を楽しめます。

本格的な山岳コースも登場

 そしてズイフトの直近の大きな話題といえば、2つあるバーチャルコースのうち、リッチモンドでないほうの「ワトピア」に本格的な山岳コースが追加されたことがあります。峠までどちら側からのぼるかによりますが、6km平均勾配4%(最大10%)、あるいは4km平均勾配7%(最大12%)と、“ミニヤビツ峠”くらいの手応えはある感じです。

つい最近登場した山岳コース。山の頂を見上げて「うへぇあそこまでのぼるのか…」というあの気持ちが塞がる(それともウキウキする?)のはまさにリアルなライドそのもの。ちなみにここでわたしのアバターが着ているのは「Rapha」の今シーズンの女性用Souplesseジャージつい最近登場した山岳コース。山の頂を見上げて「うへぇあそこまでのぼるのか…」というあの気持ちが塞がる(それともウキウキする?)のはまさにリアルなライドそのもの。ちなみにここでわたしのアバターが着ているのは「Rapha」の今シーズンの女性用Souplesseジャージ

 日本のサイクリストだとこのくらいの数字は「ふーん」程度ですが、6kmものぼり続けられる道などイギリスにはほとんどないので、英人サイクリストはこの新コースに相当発奮しています。フランスアルプスやイタリアまでわざわざ行かなくていいのですから。

山を8合目あたりまでのぼってきたところの景色。雪が路肩に残っていて気分はバッチリ。ドライビングゲームのようにヴューポイントを切り替えると、自分を俯瞰して見たり、このようにテレビカメラが追ってくれているかのように見ることができてちょっと楽しい山を8合目あたりまでのぼってきたところの景色。雪が路肩に残っていて気分はバッチリ。ドライビングゲームのようにヴューポイントを切り替えると、自分を俯瞰して見たり、このようにテレビカメラが追ってくれているかのように見ることができてちょっと楽しい
山はのぼったら降りる。負荷を自動的に変えてくれるスマートトレーナーなら、本当の下りのようにまったくペダルを回すことなしで一気に降りられる。ただし寒くはならない…当たり前だけれど山はのぼったら降りる。負荷を自動的に変えてくれるスマートトレーナーなら、本当の下りのようにまったくペダルを回すことなしで一気に降りられる。ただし寒くはならない…当たり前だけれど
走り終わったら、自動的にStravaにアップ。セグメントも多数設定されているけれど、走っている人が多いからKOMやQOM獲得はかなり難しそう。このStrava画面はワトピアを走ったときのもの。ワトピアはソロモン諸島に実在する無人島をモデルに設計されたコースだとか走り終わったら、自動的にStravaにアップ。セグメントも多数設定されているけれど、走っている人が多いからKOMやQOM獲得はかなり難しそう。このStrava画面はワトピアを走ったときのもの。ワトピアはソロモン諸島に実在する無人島をモデルに設計されたコースだとか

 ズイフトは「Strava」(ストラーバ)と「Training Peaks」(トレーニングピークス)と連動しているので、ライドを終えたらデータをそのままアップできるのも、継続的に走ろうという気にさせてくれてうれしいポイントです。ストラーバでは、まるで本当の道を走ってきたかのように地図や標高図が出るのはいまでも面白いものだなぁと思います。

 …と、ズイフトでいかにリアルライドに肉迫する経験をできるかというところを紹介してきましたが、固定ローラーならではの魅力である、ストラクチャード・ワークアウトもズイフトでできるということも最後に付け加えさせてください。

インターバルトレーニングをしているところ。たかが10秒とはいえわたしには厳しい出力!!! 画面の路上少し先にある虹のようなアーチをくぐったら次の出力ブロック。きついけれど、楽しいインターバルトレーニングをしているところ。たかが10秒とはいえわたしには厳しい出力!!! 画面の路上少し先にある虹のようなアーチをくぐったら次の出力ブロック。きついけれど、楽しい

 ワークアウトモードは、FTP計測やインターバルトレーニング、1時間で効率よくトレーニングするメニューなどがあり、さらに6週間や12週間にわたるプランなども用意されています。これもリッチモンドやワトピアの景色の中をほかのユーザーに混ざって走るので、味気ない出力グラフとにらめっこでペダルを回すより、なんとなく爽やかで、楽しくトレーニングできる気がします。

RPGやSNSの要素も魅力

たくさん走るほどにライダーとしてのレベルが上がり、それに応じて自分のアバターが着がえられるウエアが増えたり、乗り換えられる自転車が増えたりする。これは最近ゲットしたヴィンテージジャージを着てみたところ。バイクもスチールフレームで合わせてみた。もちろん髪の色や肌の色も変更可能たくさん走るほどにライダーとしてのレベルが上がり、それに応じて自分のアバターが着がえられるウエアが増えたり、乗り換えられる自転車が増えたりする。これは最近ゲットしたヴィンテージジャージを着てみたところ。バイクもスチールフレームで合わせてみた。もちろん髪の色や肌の色も変更可能

 どうですか?このほかにたくさん走ってレベルが上がるほどに新しいウエアや自転車が手に入るなど、RPG的な要素も好きな人にはかなり楽しかったりすると思います。わたしは好きなので、つい頑張ってしまうほうなのですが。また、ここで仲良くなった人をフォローしたりすることもできるなど、SNS的な要素もあります。

 まだどんなスケジュールかは未定なのですが、ときどきわたしも女性ライドなどのリード役をズイフト内でできればと思っていますので、よければぜひわたしのライドにもご参加いただけたらうれしいです(男性にもオープンにしていく予定です)。バーチャルですがぜひ一緒に走りましょう!

青木陽子青木陽子(あおき・ようこ)

ロンドン在住フリー編集者・ジャーナリスト。自動車専門誌「NAVI」、女性ファッション誌などを経て独立起業、日本の女性サイトの草分けである「cafeglobe.com」を創設し、編集長をつとめた。拠点とするロンドンで、「運転好きだけれど気候変動が心配」という動機から1999年に自転車通勤以来のスポーツ自転車をスタート。現在11台の自転車を所有する。ブログ「yokoaoki.com」を更新中。

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