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はらぺこサイクルキッチン<57>食べ過ぎを防ぐには箸を使って「いただきます」と「ごちそうさま」

by 池田清子 / Sayako IKEDA
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 みなさんは、食べ過ぎを防ぐ工夫をしていますか?

 人一倍食べることを愛してやまない夫・池田祐樹(トピーク・エルゴンレーシングチームUSA)は、食べ過ぎを防ぐために、あえてお箸でサラダを食べています。え、それだけ!? という印象かもしれませんね。箸は昔から続く大切な日本文化の一つ。料理を「掴む」という行為によって、同じ料理でもフォークやスプーンに比べて時間をかけて食べることになり、満腹中枢が満たされ、食べ過ぎを防ぐことにつながります。

祐樹さん手作りの、スーパーフード盛りだくさん!オーガニック・アスリートサラダボウル。フレッシュな葉野菜の上に4種類のナッツ、アボカド、ココナッツフレーク。ドレッシングにはアマニオイルと寿司酢。敢えてフォークではなく、箸を使ってゆっくり食べます。食べ過ぎを防止し、消化吸収を促します Photo: Sayako IKEDA祐樹さん手作りの、スーパーフード盛りだくさん!オーガニック・アスリートサラダボウル。フレッシュな葉野菜の上に4種類のナッツ、アボカド、ココナッツフレーク。ドレッシングにはアマニオイルと寿司酢。敢えてフォークではなく、箸を使ってゆっくり食べます。食べ過ぎを防止し、消化吸収を促します Photo: Sayako IKEDA

噛む回数が増えれば吸収率アップ

 同時に、箸で食べる方がスプーンやフォークに比べて咀嚼の回数が多いように感じます。それは、箸の方が一回に口に運ぶポーション(量)が少なくなるからでしょうか。量に対して噛む回数が増えれば、栄養の吸収率アップにつながります。一度に多くの食べ物を口にすると、どうしても途中で飲み込んでしまいがち。栄養のあるものを食べても、最終的に栄養素を吸収できなければ、効果が半減してしまいます。

 パフォーマンスを上げたいアスリートにとっても、身体を作る育ち盛りのお子さんにとっても、厳選して食べているものを最大限身体に取り込むためには、咀嚼はとても大切ですね。ちなみに「一般的に日本人の手先が器用なのは、昔から箸を使う習慣があるから」とも言われています。朝、お箸を使うと脳のウォーミングアップにつながり、認知症の予防にもなるそうですよ!

「いただきます」で、身体の<食べるスイッチ>をON! Photo: Sayako IKEDA「いただきます」で、身体の<食べるスイッチ>をON! Photo: Sayako IKEDA
箸を使ってグリーンカレーを食べているサリー・ビグハム選手(手前右)。プロフェッショナルな一面が垣間見れた気がしました Photo: Sayako IKEDA箸を使ってグリーンカレーを食べているサリー・ビグハム選手(手前右)。プロフェッショナルな一面が垣間見れた気がしました Photo: Sayako IKEDA

カレーも箸で食べるイギリスのMTB女王

 祐樹さんのチームメイトであり5度もイギリス・ナショナルチャンピオンに輝いたサリー・ビグハム選手は、アメリカで一緒に日本食レストランに行った際、オーダーしたグリーンカレーを、なんとお箸で食べていました。なぜスプーンを使わないのか聞いたところ「お箸だとゆっくり食べられるから」と教えてくれました。

 具材の一つ一つをゆっくりと食べる姿に、熱々のカレーが冷めてしまわないか余計な気を回しましたが、胃腸に負担をかけないためのピグハム選手の工夫に、高いプロ意識を感じました。海外でもお箸は広く使われるようになってきていて、日本食の人気と共に箸を器用に使う外国人にもよく出会います。日本に根付いたお箸は、健康管理にも有効な文化と言えますね。

 もう一つ、私がアスリートフードに関する講座でもお話ししていることですが、食事前後の“挨拶”について。日本人にとっては当たり前の、食べる前の「いただきます」と食事を終えた時の「ごちそうさまでした」という言葉です。この言葉を言うと、言わない時に比べて「食べ過ぎを防ぐ効果がある」ということが、とある実験の結果で明らかになっています。

とある日のトレーニング後の昼食。特製サラダ、麻婆豆腐、椎茸ステーキ。麻婆豆腐を箸で箸で食べるのは至難の業 Photo: Sayako IKEDAとある日のトレーニング後の昼食。特製サラダ、麻婆豆腐、椎茸ステーキ。麻婆豆腐を箸で箸で食べるのは至難の業 Photo: Sayako IKEDA

 私の見解ですが、「いただきます」と言って食べることで「今から食べ始めますよ」ということを全身に伝えるため、無意識のうちに唾液や胃の消化液が出たり、咀嚼回数が増えたり、身体の各機能が「食事を受け入れるスタンバイOK」となったりする効果があるのではないかと考えています。「食べるスイッチ」がポチッ!と入るのですね。それを知ってからは、私は一人でも必ず「いただきます」と言うことを欠かさないようにし、祐樹さんにも伝えて実行しています。

手を合わせれば高まる満足感

 同時に、手を合わせて、食材とそこに関わった全ての人に感謝することも忘れずに。「ごちそうさまでした」と再び手を合わせてフィニッシュするまで、食と向き合うことで、なんとなく食べ始めてなんとなく食べ終わるよりも、満足感が高まります。ライド中の補給食でも、家食でも、高級レストランでも、お弁当でも、ファーストフードであっても、今日からすぐにできること。「そういえば最近意識していない…」という方はぜひ実行してみてください。人前で口にするのが恥ずかしい時は、手を合わせて心の中でつぶやいてみましょう。食べ終わった時も同じように。何か変化が生まれるかもしれません。

とある日の夕食。咀嚼から消化は始まっています。ゆっくり、食と向き合って満足感アップ Photo: Sayako IKEDAとある日の夕食。咀嚼から消化は始まっています。ゆっくり、食と向き合って満足感アップ Photo: Sayako IKEDA
こちらも祐樹さんが作ったサラダ。具材には、有機栽培のクコの実、ココナッツフレーク、タイガーナッツ、など Photo: Sayako IKEDAこちらも祐樹さんが作ったサラダ。具材には、有機栽培のクコの実、ココナッツフレーク、タイガーナッツ、など Photo: Sayako IKEDA

英語にはない「いただきます」

 私が「いただきます」「ごちそうさまでした」の習慣を大事にしていることには、もう一つ理由があります。

先日、都内で行われた、リカバリーランチ付きアスリートフード講座で講師を務めました。講義も「いただきます」からスタート Photo:Nozomi FUJIMURA先日、都内で行われた、リカバリーランチ付きアスリートフード講座で講師を務めました。講義も「いただきます」からスタート Photo:Nozomi FUJIMURA

 それは4年前、初めてアメリカへ行った時のこと。「いただきますって英語で何て言うの?」と聞いた時に、「それに代わる同じような言葉はない」と言われ、衝撃を受けました。「強いて言えば『Let’s start!(さぁ、食事を始めましょう)』かなぁ」とのこと。(神様にお祈りすることは、宗教や信仰によってありますが)。

 また、食後に「Thank you! It was so good! (ありがとう、とっても美味しかった)」と作ってくれた人に感謝の気持ちを述べることがあっても、一人で言う「ごちそうさまでした」に代わる言葉もないのです。改めて、この言葉の素晴らしさと日本の文化を誇らしく感じ、以前にも増して、欠かさない習慣にしたいと思ったのです。

食べられることへの感謝

 世界のある地域では無駄に食料が廃棄され、ある地域では深刻な食糧難に陥っています。また東日本大震災から丸5年という年月が過ぎる中、まず「食べ過ぎを防ぐ」前に、「食べられること」への感謝の気持ちを忘れてはならないですね。ダイエットや健康に関する情報が日々アップデートされる今の日本の状況は、とても幸せな悩みを抱えているのだと思います。

 生命維持の根底にある「食べることは生きること」を深く考えさせられます。「食べ過ぎを防ぐ」という幸せな悩みは、「食べられることに感謝する」ことから始まるのではないかと、感じます。感謝の気持ちを忘れずに、今日も手を合わせてありがたく「いただきます!」

池田清子池田清子(いけだ・さやこ)

アスリートフード研究家。モデル事務所でのマネジャー経験を生かして2013年夏よりトピーク・エルゴンレーシングチームUSA所属ライダー、池田祐樹選手のマネージメントを始め、同年秋に結婚。並行して「アスリートフードマイスター」の資格を取得。アスリートのパフォーマンス向上や減量など、目的に合わせたメニューを日々研究している。ブログ「Sayako’s kitchen」でも情報を発信中。

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