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はらぺこサイクルキッチン<54>糖質コントロールはサイクリストにプラス? プロが試したトレーニング前の食事

by 池田清子 / Sayako IKEDA
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我が家でのライド前の新定番、バナナと卵だけで作るパンケーキ。絵本に出てきそうな高さまで積み上がりました(2人前)。作り方も記事にまとめました Photo: Sayako IKEDA我が家でのライド前の新定番、バナナと卵だけで作るパンケーキ。絵本に出てきそうな高さまで積み上がりました(2人前)。作り方も記事にまとめました Photo: Sayako IKEDA

 今回のテーマは「糖質コントロール」。糖質オフ、糖質カット、低糖質、ローカーボ…巷では糖質を制限する食生活やダイエット法が流行っていて、糖質オフのビールや麺類などの商品も開発されていますね。糖質を過剰に摂取し使われずに余ると、脂肪として蓄えられたり、糖化=体を老けさせたりするといわれています。糖質を制限する食事法は、サイクリストにとってもメリットがあるのでしょうか。夫でMTBプロアスリートの池田祐樹(トピーク・エルゴンレーシングチームUSA)の実験結果を交えてお伝えしたいと思います。

炭水化物から食物繊維を差し引いた“糖質”

 糖質とは、炭水化物から食物繊維を差し引いたもの。我が家でも、糖質とは上手くお付き合いしたいと日々研究中です。以前お伝えしたように、アスリートとしてはシーズンオフの間の大幅な体重の増加は避けたいところ。その鍵を握るひとつが、糖質だと考えます。

 私ごとですが、元々私はランチにはパスタやパン、おやつにはチョコレートなどの菓子を食べることが習慣づいていたほど糖質が大好きでした。結果、運動をしても不思議なくらい、痩せない。糖質の摂りすぎなのだ、と気がついたのはそう昔のことでもないのです。血糖値を急激に上昇させない低GI値(※)の玄米を主食にする、白砂糖の菓子を避けるなどを心がけました。結果、低血糖症が改善され、体つきも少しずつ変化していきました。

※GI値: 体内での血糖値の上昇速度を数値化したもの。

運動強度:高、夕食。赤身の天然マグロ(2人前)、発芽酵素玄米、赤貝のヒモ等。トレーニング後の昼食にかなり食べたので、全体を調整しつつ。いつもより小ぶりの茶碗で食べ過ぎを防止 Photo: Sayako IKEDA運動強度:高、夕食。赤身の天然マグロ(2人前)、発芽酵素玄米、赤貝のヒモ等。トレーニング後の昼食にかなり食べたので、全体を調整しつつ。いつもより小ぶりの茶碗で食べ過ぎを防止 Photo: Sayako IKEDA

 糖質の摂り過ぎは肥満を招きますが、有酸素系の運動をする人=サイクリストにとっては欠かせないものです。では、一体どのくらい摂取するのがよいのでしょうか。摂取すべき糖質量とそのGI値は、その日の運動量・強度、体格、基礎代謝量、運動前中後のタイミングによって大きく変わってくるため、それを示すことは非常に難しくなってきます。個人で異なる必要量は色々試しながら見つけていただきたいのですが、糖質をコントロールし、上手く味方につけることができれば、やがて体型やパフォーマンス向上に大きな変化が生まれてくると思います。

 糖質は、運動するためのエネルギーとしてだけではなく、リカバリーにも大きな役割を果たします。例えば、運動後の枯渇した筋中グリコーゲンを糖質で素早く補うことで、筋肉修復のスピードがアップします。この時、GI値が高いほど吸収が速く、効率的だと言われています。

運動強度:高、夕食。グラスフェッドビーフ、サラダ、キヌア。ご飯の代わりにパイナップルをチョイス。食後に少しだけ甘いものが食べたい時に。パイナップルは酵素もたっぷりで、レース後に疲労回復に食べる選手も多いです Photo: Sayako IKEDA運動強度:高、夕食。グラスフェッドビーフ、サラダ、キヌア。ご飯の代わりにパイナップルをチョイス。食後に少しだけ甘いものが食べたい時に。パイナップルは酵素もたっぷりで、レース後に疲労回復に食べる選手も多いです Photo: Sayako IKEDA
運動強度:高、夕食。抗酸化作用のあるサラダをメインに(アボカド、鶏のササミ、ワカメ等)。糖質は通常量、いつも以上に良質のたんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルをバランスよく。右奥はビーツの葉を使った炒め物、左はホッケの干物と大根おろし Photo: Sayako IKEDA運動強度:高、夕食。抗酸化作用のあるサラダをメインに(アボカド、鶏のササミ、ワカメ等)。糖質は通常量、いつも以上に良質のたんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルをバランスよく。右奥はビーツの葉を使った炒め物、左はホッケの干物と大根おろし Photo: Sayako IKEDA
トレーニング前~後それぞれのGI値の関係を表にしてみました。このようなイメージで糖質の内容や量を選択していますトレーニング前~後それぞれのGI値の関係を表にしてみました。このようなイメージで糖質の内容や量を選択しています

 運動前・中・直後は高めのGI値食品を選び、運動時間から離れていくにつれて低~中GI値へとシフトしていく。これが「糖質をコントロールする」ということです。運動時間・強度に合わせて量は適宜調節しましょう。我が家でも祐樹さんのリカバリーフード、昼食、最終的に夕食の糖質量とGI値を調整しています。

 日本は炭水化物中心の料理が豊富ですので、「日本人は糖質を多く摂り過ぎている」とも言われています。摂り過ぎには注意しましょう。

トレーニング前の食事で実験

 実験的に、池田祐樹が日々のトレーニング前の食事(朝食)で糖質摂取量を変え、パフォーマンスにどう影響するのか試してみました。練習内容は1時間半~2時間、強度は高め(TSS 80~100)。朝食摂取タイミングは練習前約1時間半~2時間前とし、運動中の補給は水と必要に応じてジェル1~2個を摂っています。

DAY1―低糖質

<内容>
 ・蜂蜜+ココナッツオイル入りコーヒー
 ・ゆでたまご 2個
 ・大きめアボカド 1個
<結果>
 ×

 帰ってくるなり「ダメだった!」と苦しそうな表情。お腹は空かなかったが、強度が高いメニュー中の出力にチカラが出ない感じだったそう。パワーメーターの数値としても本人は納得していなかったようで、ハンガーノックに近いフィーリング。

DAY2―高糖質(穀物の炭水化物メイン)

<内容>
 ・蜂蜜+ココナッツオイル入りコーヒー
 ・パン2/3斤にココナッツオイルとバターをのせたもの
<結果>
 ○

 「糖質が入ったからか、エネルギーを感じた。きょうはいい感じで走れた! メニューの設定パワー値も問題なく出して、最後までこなすことができた」という結果。やはり炭水化物は持久系に有効!? しかしながら、小麦製品の摂取を普段控え目にしているので毎日は難しい。

DAY3―高糖質(フルーツメイン)

<内容>
 ・蜂蜜+ココナッツオイル入りコーヒー
 ・バナナと卵だけで作るパンケーキ 2人前(ココナッツオイルで焼く)
<結果>
 ◎

 この日摂取したのは、穀物系炭水化物を使わない、バナナの自然の甘みを生かしたグルテンフリーパンケーキ。「パンと変わらないくらい、エネルギー源になっていた感じがする。腹持ちもよく、最後まで集中力を保つことができた」とのこと。すぐにエネルギーとなるバナナに加え、卵とココナッツオイルが消化吸収を緩やかにし、腹持ちをよくします。

 実験をしてみた結果、朝食に脂質をメインで摂っていると腹持ちはいい(お腹が空きにくい)のですが、強度の高い練習時の即効のエネルギーとはならない、ということがわかりました。サイクリングをはじめ様々な強度を含むエンデュランス系スポーツには、糖質は欠かせないということですね。

 そしてリカバリーのための糖質も、運動後30分以内に必ず摂っています。手軽で飲みやすいリカバリー用のドリンクを使うことが多いです。その後、昼食や夕食でバランスの良い食事でより幅広い栄養素を取り入れています。

運動強度:中、昼食。豆腐のグリーンカレー。右奥は納豆の黒ごま・梅干し和え。カレーは2杯お代わりして、しっかり炭水化物を補給 Photo: Sayako IKEDA運動強度:中、昼食。豆腐のグリーンカレー。右奥は納豆の黒ごま・梅干し和え。カレーは2杯お代わりして、しっかり炭水化物を補給 Photo: Sayako IKEDA
運動強度:低、昼食。紫のドラゴンレッド(芋)が主食のため、ご飯はなし Photo: Sayako IKEDA運動強度:低、昼食。紫のドラゴンレッド(芋)が主食のため、ご飯はなし Photo: Sayako IKEDA

老若男女のテンションが上がるパンケーキレシピ

 ちなみにこのパンケーキをブログで紹介したところ、「簡単! これならできるかも」と国内外で多くの友人が作ってくれました。自然の甘みだけなので、お子さんにも人気。その後も我が家でリクエストされることが多く、ココアパウダーでチョコレート味にアレンジしたりして、朝食の新定番となりつつあります。焼きたてふわふわの可愛らしいパンケーキは、男性もテンションが上がるのですね(厳しいトレーニング前に、テンションが上がる食事は大事!)。

バナナをフォークで潰して、卵を入れて更にかき混ぜるだけで、パンケーキ生地の完成。バナナ1本に対して卵2個の割合で(1人前)。簡単! Photo: Sayako IKEDAバナナをフォークで潰して、卵を入れて更にかき混ぜるだけで、パンケーキ生地の完成。バナナ1本に対して卵2個の割合で(1人前)。簡単! Photo: Sayako IKEDA

 作り方は簡単。1人前では、大きめのバナナ1本に対して卵2個を用意します。まずフォークでバナナをつぶします。そこに卵を割り入れ、さらにかき混ぜて生地の完成。小麦粉は入れません。あとはフライパンで焼くだけ。ココナッツオイルがおすすめです。直径10cmくらいの小さめサイズが返しやすくていいですね。元々生で食べられる食材ですので、表面が綺麗なキツネ色に焼けたら完成です。素材は、できれば平飼い卵とオーガニックのバナナがおすすめです。

生地にココアを入れてアレンジ。抹茶や少量のシナモンを入れても○ Photo: Sayako IKEDA生地にココアを入れてアレンジ。抹茶や少量のシナモンを入れても○ Photo: Sayako IKEDA
生地が柔らかいので、小さめのサイズで焼くと返しやすいですよ Photo: Sayako IKEDA生地が柔らかいので、小さめのサイズで焼くと返しやすいですよ Photo: Sayako IKEDA

◇         ◇

 何かひとつの栄養素だけでなくたくさんの栄養素を掛け算をして体を作っていますのでこの限りではありませんが、サイクリストには特に欠かせない糖質。上手にコントロールして、健康・体型管理・パフォーマンス向上に繋げましょう。

池田清子池田清子(いけだ・さやこ)

アスリートフード研究家。モデル事務所でのマネージャー経験を生かし2013年夏よりトピーク・エルゴンレーシングチームUSA所属ライダー、池田祐樹選手のマネージメントを開始、同秋結婚。平行して「アスリートフードマイスター」の資格を取得。アスリートのパフォーマンス向上や減量など、目的に合わせたメニューを日々研究している。ブログ「Sayako’s kitchen」にて情報配信中。

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