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つれづれイタリア~ノ<番外・おしゃれ編>ワールドチームの2016年ジャージをファッションチェック トレンドは「白のちょい足し」

by マルコ・ファヴァロ / Marco FAVARO
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 今年も南半球からレースシーズンが開幕! と同時に、毎年恒例となったチームジャージのファッションチェックの季節がやってまいりました。今年のトレンドは「白のちょい足し」。多くのジャージに白が登場しており、変化を見せたチーム スカイのジャージも白を取り入れています。昨年までとあまり変わらないチームもあれば、激変したチームもあり、その様相はさまざま。トップカテゴリーのUCI(国際自転車競技連合)ワールドチームを中心に、各チームジャージのデザインを分析、チェックしていきます。

1月20日に開幕したツアー・ダウンアンダー2016で新ジャージがお披露目 Photo : Yuzuru SUNADA1月20日に開幕したツアー・ダウンアンダー2016で新ジャージがお披露目 Photo : Yuzuru SUNADA

昨年に続き100点 エフデジ&BMC

■100点:ベストドレッサー賞

 今年も昨年の王者、FDJ(エフデジ、フランス)とBMCレーシングチーム(アメリカ)が「ベストドレッサー賞」に輝きました。昨年と比べてほとんど変化がありませんが、手の加えようがないほど洗練された配色とデザイン。エフデジは、昨年のままで白色が清潔感を強調し、青空のブルーと控えめな赤が初々しい気分にさせてくれます。

エフデジ Photo : Yuzuru SUNADAエフデジ Photo : Yuzuru SUNADA
BMC レーシングチーム  Photo : Yuzuru SUNADABMC レーシングチーム  Photo : Yuzuru SUNADA

 赤と黒を全面的に主張しているBMCのジャージは情熱にあふれ、どちらかというと“小悪魔”的な雰囲気を漂わせます。使っている色の数は3色ととてもシンプル。このジャージの美しさの秘密は、この「足す」より「引く」見せ方にあると思います。頂点を極めた2チームの次なる一手が楽しみです。

■90点:見ればみるほど虜になるで賞

 エティックス・クイックステップ(ベルギー)は不思議なジャージを打ち出しました。メインスポンサーとチーム体制が変わっていないにも関わらず、ジャージのデザインだけを一新。かなり大胆な選択です。

エティックス・クイックステップ Photo : Yuzuru SUNADA エティックス・クイックステップ Photo : Yuzuru SUNADA 

 濃いブルーに黒。トレンドカラーのちょい足しも取り入れています。この色の組み合わせに初めは「どうかな?」と思いました。

 が、しかし! 最初の違和感をがまんして眺めば眺めるほど、そのカッコ良さが伝わってきました。特に下ハンドルを握った時にブルーが稲妻のように見えたことが、高得点につながりました。

 今年、ドイツの最強スプリンター、マルセル・キッテルがこのチームに加わりました。スプリンターに似合うカラーだと思うので、彼の活躍が楽しみです。

■80点:少し変化をしてもずっと変わらないでほしいで賞

 やはり自転車には、サイクルスポーツらしいジャージが似合います。今年はこのカテゴリーに、アスタナ プロチーム(カザフスタン)とトレック・セガフレード(アメリカ)が新しく加わりました。

アスタナ Photo : Yuzuru SUNADAアスタナ Photo : Yuzuru SUNADA
トレック セガフレード Photo : Yuzuru SUNADAトレック セガフレード Photo : Yuzuru SUNADA

 そしてランプレ・メリダ(イタリア)とオリカ・グリーンエッジ(豪州)も昨年の位置をキープ。これらのチームの特徴は、象徴的なカラーを変化させないこと。それはファンにとっても嬉しいことです。

ランプレ・メリダ Photo : Yuzuru SUNADAランプレ・メリダ Photo : Yuzuru SUNADA
オリカ・グリーンエッジ Photo : Yuzuru SUNADAオリカ・グリーンエッジ Photo : Yuzuru SUNADA

 アスタナの爽やかな水色と黄色のアクセント、トレックのおしゃれな白と黒の組み合わせ(セカンドスポンサーがイタリア企業になったことも嬉しい!)。ランプレ・メリダのショッキングピンクも、遠くから見てわかりやすく、安心感を与えてくれます。強いて言えばオリカ・グリーンエッジの配色が優しすぎるかな? もう少しパンチが欲しいところです。

トレンドカラーも使い損ねると失敗?

■70点:色の罠にハマったで賞

 イギリス最強のチーム スカイが、2015年はクリストファー・フルーム(イギリス)の活躍のおかげでツール・ド・フランス総合優勝に輝きました。本当に素晴らしいことです。が、しかし! 残念なことにファッションチェックの得点は30点ダウン。

 ずっと洗礼され、いや洗練されすぎたジャージに少し変化をもたらすために、白の横線が加わりました。個人的には白の線を加えるより、2012年のツール・ド・フランスのようにブルーを別の色に変えれば良かったのではないかと思います。総合的にチープなイメージになり、結果として30点ダウンにつながりました。

 とはいえ70点は十分に高得点。来年に期待しましょう。

チーム スカイ Photo : Yuzuru SUNADAチーム スカイ Photo : Yuzuru SUNADA
モビスター チームPhoto : Yuzuru SUNADAモビスター チームPhoto : Yuzuru SUNADA

 そしてもう1チーム、“白の罠”にはまってしまったのがモビスター チーム(スペイン)。ジャージの袖部分の“ちょい足し”で止まればよかったのに、なぜか後ろポケットも真っ白に。トレンドカラーを無理やり取り入れた結果、後ろ姿がミスマッチになってしまいました。

 結局、昨年から10ポイントダウンとなってしまいました。残念!

■65点:無難でいいで賞

ディメンションデータ Photo : Yuzuru SUNADAディメンションデータ<br />Photo : Yuzuru SUNADA

 昨年「サッカーで賞」に輝いたMTN-クベカ(南アフリカ)がスポンサーもジャージも一新。新しいチーム名は「ディメンションデータ」となりました。

 色は白と黒のみ。遊び心は背中にある黒とグリーンの模様だけ。新鮮さに欠けるものの、着ても恥ずかしくないジャージです。合格!

 同じ理由で、チームロット・ソウダル(ベルギー)とチームジャイアント・アルペシン(ドイツ)も同得点を獲得。赤、黒、白の“スポーツ三原色”ともいえる色で構成されているジャージで、変わったロゴも、変わったデザインも見当たりません。結果的に安心して着られるジャージです。

チームロット・ソウダル Photo : Yuzuru SUNADAチームロット・ソウダル Photo : Yuzuru SUNADA
チームジャイアント・アルペシン Photo : Yuzuru SUNADAチームジャイアント・アルペシン Photo : Yuzuru SUNADA

 チームロット NL ジャンボ(オランダ)も合格組。個人的に着たくないジャージですが、目が慣れたことと、今年のトレンドの白が入っているので、今年も合格点です。

チームロット NL ジャンボ Photo : Yuzuru SUNADAチームロット NL ジャンボ Photo : Yuzuru SUNADA
イアム サイクリングチーム Photo : Yuzuru SUNADAイアム サイクリングチーム Photo : Yuzuru SUNADA

 そして、とても言いづらい話ですが…、今年はイアム サイクリングに見事に裏切られました。辛うじて合格点に達していますが、昨年の洗練されたデザインはどこへ行ってしまったのでしょう。今年は色のバランスが雑すぎます。チームスカイと同じくらいがっかりしました。来年はぜひとも元の路線に戻って来てほしいと思います。

個性派ぞろい!ユニーク5賞

 さて、そろそろ今年の不合格ラインへ突入です。今年のダメ出しジャージはどのチームでしょう。すでに多くのチームが登場しましたので、ぴんと来る人は多いはずです。

■50点:チアリーダーで賞

チーム カチューシャ Photo : Yuzuru SUNADAチーム カチューシャ Photo : Yuzuru SUNADA

 やってくれました、カチューシャ(ロシア)。このチームのジャージを見た瞬間、テーブルの上にコーヒーを吹きました。真っ赤なジャージに大きな“K”の文字。以上!

 まるで70年代の戦隊ヒーローものと、アメリカの大学のチアリーダーのユニフォームが合わさったようです。選手たちがプロトンの前できらきらポンポンを手に取って、踊ったり、ジャンプしたり、空中回転をする姿を想像してしまいました。昨年と比べて“隠れた楽しさ”が伝わります。

 このジャージを通してロシアの経済制裁緩和につながればいいですね。

■40点:やはりパジャマで賞

キャノンデール Photo : Yuzuru SUNADAキャノンデール Photo : Yuzuru SUNADA

 あああ、キャノンデールプロサイクリングチーム(米国)よ!またもか!

 昨年のデザインとカラーはすごくよかったキャノンデールが、また2年前の“パジャマ”に戻ってしまいました。

 アーガイル柄はパジャマや学生のセーターならまだいいとして、ジャージには向かないでしょう。どうしてもアーガイル柄を使いたいならせめて、ピスタチオと薄いグリーンの組み合わせではなく、ピスタチオと他の色を組み合わせるべきだったと思います。2012年のリクイガス時代のジャージが懐かしい…。

■30点:弱気で賞

ティンコフ・サクソの上下ジャージ 写真はマヌエーレ・ボアーロ選手(イタリア) ツアーダウンアンダー2016にて(1月20日撮影) Photo : Yuzuru SUNADAティンコフ・サクソの上下ジャージ 写真はマヌエーレ・ボアーロ選手(イタリア) ツアーダウンアンダー2016にて(1月20日撮影) Photo : Yuzuru SUNADA

 どうしたのだろうチームティンコフ(ロシア)!昨年は辛うじて合格点だったのに、今年は大幅ダウン。メーンスポンサーの一つ、サクソバンクが離脱し、「来シーズンはチームが消滅する可能性がある」とオーナーのティンコフ氏が公言した影響でしょうか。チームジャージが弱気なカラーリングになってしまいました。

 ジャージは薄いイエローの蛍光色、ビブパンツは薄いグレー。曇ったら消えてしまいそうな色です。

 昨年は迷彩柄、今年はダダ柄。冬のトレーニングキャンプに着用するサブジャージのほうがダントツでかっこいいのに、公式ジャージはいつもダメ。もったいないの一言です。チームの存続を願って、応援しましょう。

■20点:カーペットで賞

アージェードゥーゼール ラモンディアル Photo : Yuzuru SUNADAアージェードゥーゼール ラモンディアル Photo : Yuzuru SUNADA

 もう!大好きこのチーム、AG2Rラ・モンディアル(フランス)。

 白に茶色、薄いブルーの模様…。水と油のようなカラーバランスです。1960年代のカーペットやカーテンによく見られたカラーセンスとパターンです。

 ここまでがんばって、このユニークなデザインを維持しつづけると脱帽です。来年はもっとがんばりましょう。

■10点:なぜまだ変えないで賞

ジャパンカップ2015(2015.10.18撮影) Photo : Yuzuru SUNADAジャパンカップ2015(2015.10.18撮影) Photo : Yuzuru SUNADA

 2013年に発表された日本ナショナルチームジャージはなぜかデザインがそのままです。3年前のニュースによると、今年開催されるリオデジャネイロ五輪のために作られたジャージだそうです。

 日本といえば、桜、富士山、忍者、家紋など素敵な模様がたくさんありますが、なぜシマウマ柄なのでしょう?マリオ・チポッリーニが使用した、歴史に残るシマウマ柄ジャージのような大胆なデザインならわかりますが、白に薄い黒の点滅線が目立ちません。

 国際レースの集団の中で日本人選手を探してみましたが、どこにいるかまったくわかりません。カムフラージュの点では成功しているかもしれませんが、日本という国を代表するジャージではないと思います。最高得点を得たBMCと同じジャージメーカーですので、もう少し検討してほしいものです。

マルコ・ファヴァロMarco FAVARO(マルコ・ファヴァロ)

イタリア語講師。イタリア外務省のサポートの下、イタリアの言語や文化を世界に普及するダンテ・アリギエーリ協会で、自転車にまつわるイタリア語講座「In Bici」(インビーチ)を担当する。サイクルジャージブランド「カペルミュール」のモデルや、Jスポーツへ「ジロ・デ・イタリア」の情報提供なども行なう。東京都在住。ブログ「チクリスタ・イン・ジャッポーネ

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