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他競技から“引き抜く”システムづくりへ2016年は人材「発掘」をさらに強化 ジェイ・ライド・プロジェクトが方針を説明

by 平澤尚威 / Naoi HIRASAWA
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 サイクルロードレースのメジャースポーツ化を推進する「JrIDE PROJECT」(ジェイ・ライド・プロジェクト)が、2016年は人材「発掘」への取り組みをさらに進める方針を示した。東京・恵比寿で1月20日夜に開いた2015年の活動報告会で明らかにした。実行委員を務めるツアー・オブ・ジャパン大会ディレクターの栗村修さんは、プロジェクトの方向性について「日本の自転車競技界に足りないものを考えた結果、育成ではなく発掘に集中し特化していく」と説明。才能ある若者や、自転車を始めたい子供たちを自転車競技に引き込むシステム構築を目指す。

「ジェイ・ライド・プロジェクト」の2015年活動報告会に出席した(左から)栗村修さん、山本雅道さん、ブラッキー中島さん Photo: Kenta SAWANO「ジェイ・ライド・プロジェクト」の2015年活動報告会に出席した(左から)栗村修さん、山本雅道さん、ブラッキー中島さん Photo: Kenta SAWANO

未経験者が2カ月でレース出場

実行委員を務める栗村修さん Photo: Kenta SAWANO実行委員を務める栗村修さん Photo: Kenta SAWANO

 報告会には栗村さんのほか、実行委員でプロロードレーサーの山本雅道選手、プロジェクトのジュニア育成プログラムの講師で子供向け自転車教室「ウィーラースクール」を主宰するブラッキー中島さんが登壇した。

 プロジェクトは2014年の9月に発足。2015年は、前年にも開催したトライアウトを、異なる形式で実施した。大きな違いは、ロードバイク経験者を対象に募集するではなく、ロードバイク経験がなくてもスポーツ経験のある大学生をスカウトした点だ。ペダリングモニターシステムで学生6人の体力を測定し、実際にロードバイクに乗ってもらうことでセンスも見極め、ポテンシャルがある人材を選定。U23やジュニア世代の選手が集まるロードレース「益田チャレンジャーズステージ」出場までをサポートした。

 この取り組みに継続的に挑んだ1人の学生は、栗村さんらの指導を受け、約2カ月の準備期間で大会に臨んだ。5周回で71kmのレースでは周回遅れになったものの、U23でトップレベルの選手も出場するなか「最下位ではない順位」で完走を果たした。

「ジェイ・ライド・プロジェクト」2015年活動報告会の会場の様子 Photo: Kenta SAWANO「ジェイ・ライド・プロジェクト」2015年活動報告会の会場の様子 Photo: Kenta SAWANO

 栗村さんは、短期間でロードバイク未経験者が成果を見せたことについて、「選手を発掘していくにあたっての大きな経験値になった」と語る。将来的には、箱根駅伝に出場する陸上選手のような優秀なアスリートにトライアウトを受けてもらうことが理想だという。一方で、他のスポーツに取り組んでいる子供を招き入れてレースに出場させるのは危険を伴なうことでもあり、命を預かる大変さやリスクも痛感したという。

育成できるショップやチームへ若者を導く

スポーツ自転車教室で講師を務めるブラッキー中島さん Photo: Kenta SAWANOスポーツ自転車教室で講師を務めるブラッキー中島さん Photo: Kenta SAWANO

 2015年は“ジェイ・ライド・プロジェクト版”のウィーラースクールも開催した。本来は多くの子供に自転車を楽しんでもらうことを目的としているが、将来選手になる子供を発掘するための試みとして、ジュニアロードバイクにペダリングモニターシステムを装着し、子供たちのパワー測定などを行った。ブラッキーさんは、前例がないためデータから将来性を推し測ることはできないとしながらも、「子供たちは目を輝かせ、数値をとってもらえることに興味をもって、喜んでいた」と振り返った。

実行委員の山本雅道選手 Photo: Kenta SAWANO実行委員の山本雅道選手 Photo: Kenta SAWANO

 才能があるかどうかを見分けるには、メンタルも重要視すべきだという。自転車ショップを経営する山本選手は、ショップのチームで中学生たちを指導し、ジャパンカップサイクルロードレースのチャレンジレース優勝選手を輩出している。

 「中学生たちは負けず嫌い。耐える精神をどれだけもっているか」が重要といい、性格が選手としての素質に影響すると説明。指導を始めて2年でチャレンジレースに勝てる選手が育ったことからも「人を集めれば強い子が生まれる」と考えているという。

 自転車ショップやチームなど、すでに存在している“器”に人材を紹介するシステムを作ることも、プロジェクトの目標になる。ブラッキーさんは「ウィーラースクールは自転車競技に向いている子供を見つける最適な機会。ジェイライドのスカウトがウィーラーで子供を勧誘することができれるようになれば」と語り、自転車に興味をもった子供を次のステップに導ける指導者や仕組みの必要性を説いた。

「ポータル」サイトを充実

「ジェイ・ライド・プロジェクト ポータル」を紹介する栗村修さん Photo: Kenta SAWANO「ジェイ・ライド・プロジェクト ポータル」を紹介する栗村修さん Photo: Kenta SAWANO

 2016年には、2015年に立ち上げたウェブサイト「ジェイ・ライド・プロジェクト ポータル」をさらに充実させる。このサイトは、これから自転車を始めたい若者に必要な情報を発信するもので、「自転車選手になるには」「選手に求められる能力」「全国チーム情報」といった項目が解説されている。

 また、実地型のイベントでは、2015年に行ったトライアウトをバージョンアップして開催することが目標だが、どのような内容で実施するかは決まっていない。栗村さんは、「“受け身の姿勢”ではなく、優秀な人材に声をかけ招き入れる発掘システムを作っていきたい」と展望を語った。

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