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サイクリスト

プロレーサーのソフトウェアに触れる“速さの本質”に迫る指南書 『宮澤崇史の理論でカラダを速くするプロのロードバイクトレーニング』

by 米山一輝 / Ikki YONEYAMA
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 世界最高峰のUCIプロチーム「サクソ・ティンコフ」など、欧州のトップレベルで活躍した元プロロードレーサーの宮澤崇史さんが、『宮澤崇史の理論でカラダを速くするプロのロードバイクトレーニング』を上梓した。20年以上にわたる選手生活で著者を世界の舞台へと押し上げた、速くなるためのさまざまな技術と考え方が凝縮された1冊だ。

『宮澤崇史の理論でカラダを速くするプロのロードバイクトレーニング』

宮澤崇史 著・日当書院本社刊
本体1,700円+税・2015年12月22日発売
ISBN:4528020513 / 978-4528020511
【主な内容】
第1章 「骨で押す」
第2章 ペダリングの理論
第3章 パワーとトレーニングの基本概念
第4章 ポジションとパーツから体を考える
第5章 体を使いこなすメニュー
第6章 テクニック

もっと速くなるための“意識改革”

宮澤崇史著『宮澤崇史の理論でカラダを速くするプロのロードバイクトレーニング』宮澤崇史著『宮澤崇史の理論でカラダを速くするプロのロードバイクトレーニング』

 トレーニング本というと、具体的に何分間何ワット何回転といったメニューの羅列を想像するかも知れない。だが本書では概念的な話が大半を占める。肉体的才能には決して恵まれなかったと自己分析する著者が、身体のパフォーマンスを最大限に生かして“速く走る”“レースに勝つ”ためのポイントや考え方を、さまざまな角度から伝えるのが本書の主旨だ。

 前書きで「サイクルロードレースの『ソフト』についてお伝えします」と宣言。第1章の冒頭では、「パワーが大きい選手=強い選手」という考え方に疑問を投げかけ、「レースは勝利を競うもの」として無駄を省くためのテクニックの重要性を説く。早い段階からパワートレーニングに取り組み活用してきたという著者だが、「パワーは本質ではない」と、パワーの数値ばかりを気にすることに対しては警鐘を鳴らす。

 直接的に速さを実現するためのテクニックとしては、筋肉ではなく骨で押すという考え方や、ペダリングの体の使い方や意識、ポジションの作り方やパーツの選び方といった内容が続き、いかに多くのことをプロ選手が考え、実践しているかがわかる。パワートレーニングについても触れられるが、実施にあたっての考え方や、パワートレーニングを使ってどのように自らを強化するかという考え方が中心に語られる。

 終盤では具体的なメニューやトレーニング方法も紹介されるが、誰にも当てはまるような「よいメニュー」はないとして、メニューの組み方や実施の方法は読者にゆだねられている。しかし、メニューを組むときの考え方のポイントは十分に解説されているので、本書を読み込んで試行錯誤することで、自然に自分に合ったメニューを作り上げることができるだろう。また巻末に近いわずか10ページでレースを走る際のテクニックも解説され、短い章ながら興味深い指摘が挙げられている。

 本書は即効的なトレーニング手法を学ぶというより、プロ選手の考え方や意識の高さに触れるための指南書だ。20年の探求から導き出された、多くの金言が詰まった密度の高い一冊で、著者も後書きで述べているが、1回読んだだけで全てを理解すること難しい。しかし時間を置いて何度も読み返すことで、レベルに応じた気付きが得られるはずだ。

 写真や図版も多く、読みやすくまとめられている。速くなりたい人は必読。ツーリング目的でロードバイクに乗るような人にも、ペダリングやポジションの解説にかなりページが割かれているので、参考になる部分は多いはずだ。

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