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“自転車革命都市”ロンドン便り<32>月に1度の「バイク・テック・ミートアップ」 自転車関連スタートアップ企業交流会に潜入

by 青木陽子 / Yoko AOKI
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 秋も深まり、夕方4時すぎには日が暮れるようになっているロンドン。仕事帰りの人たちがパブやカフェに集い始める頃、東京でいえば中目黒的なオールドストリートのある自転車ショップの中でビール瓶を片手に談笑する人たちの姿がありました。

ミートアップは3時間ほど。お腹がすいてきたら三々五々食事に行ったり、ビジネスの話の続きをしにパブに移ったり Photo: Yoko AOKIミートアップは3時間ほど。お腹がすいてきたら三々五々食事に行ったり、ビジネスの話の続きをしにパブに移ったり Photo: Yoko AOKI

いつも新しい顔ぶれ

今回のミートアップは、東ロンドンにあるTokyobike店内をお借りして。自転車業界交流会だけにほとんどの人が自転車でやってきた Photo: Yoko AOKI今回のミートアップは、東ロンドンにあるTokyobike店内をお借りして。自転車業界交流会だけにほとんどの人が自転車でやってきた Photo: Yoko AOKI

 この集まりは、以前このコラムでご紹介したレーザーを使った自転車ライト「ブレイズ・レーザーライト」スタッフのレイチェルが呼びかけている、自転車関連スタートアップ企業の交流会「バイク・テック・ミートアップ」。アパレルからガジェット、自転車アクセサリーまで、Blazeのような新しいアイディアを持った小さな企業がひっきりなしに誕生しているイギリスなので、そういった人たちでネットワークを組もうという狙いだそう。

 およそ月に1回、パブや自転車カフェに集まっているそうですが、いつも新しい顔ぶれがいるとのこと。今回はわたしも「おもしろい自転車ネタを求めてロンドンをうろつく日本人ライター」として混ぜてもらった次第です。

ニーズに即したナビやヘルメット

キックスターターでのファンディングで大ヒットになったビーライン(Beeline)は、アップルウォッチやアンドロイドウォッチのようにスマホアプリに連動して、ハンドルバー上で目的地の方角と距離を表示してくれるシンプルなデバイスキックスターターでのファンディングで大ヒットになったビーライン(Beeline)は、アップルウォッチやアンドロイドウォッチのようにスマホアプリに連動して、ハンドルバー上で目的地の方角と距離を表示してくれるシンプルなデバイス

 今回場所を提供してくれたのは日本のトーキョーバイクを輸入販売している「Tokyobike」。白基調のクリーンで暖かいレイアウトはまさにイギリス人がイメージするモダンな日本的空間。ビールまでごちそうになってしまいました。

 話の輪に飛び込んで、最初に話をしたのはクラウドファンディングサイト「キックスターター」で絶好調の参加人数や集金額を集めていた「ビーライン」ファウンダーのトムさん。ビーラインはスマホと連携して動くファジーなナビゲーションシステムで、目的地の方角と距離をハンドルバー上で示し続けてくれる。曲がるべき道を細かく示してくるグーグルマップなどよりも大雑把なことこそがポイントで、サイクリストが臨機応変に渋滞の少ない道などを選びつつ目的地に近づいていけるという発想の転換にはっとさせられました。もちろん世界中で使える上、自転車ライトくらいのこなれた値段を目指しているということなので、これは要注目だと思いますよ!

左から、ヘッドケースのジョージさん、LUMOのルーシーさんとダグさん Photo: Yoko AOKI左から、ヘッドケースのジョージさん、LUMOのルーシーさんとダグさん Photo: Yoko AOKI
現在主流の硬いポリスチレン製のヘルメットの次のスタンダードになるかも?という可能性を感じる、やわらかいヘッドケース。たしかに被ったところをハンマーでガツガツ叩いてもあまり強い振動も感じずよい感じだった。あとはデザインか現在主流の硬いポリスチレン製のヘルメットの次のスタンダードになるかも?という可能性を感じる、やわらかいヘッドケース。たしかに被ったところをハンマーでガツガツ叩いてもあまり強い振動も感じずよい感じだった。あとはデザインか

 次に話を聞いたのは、まったく新しいフォーム素材ヘルメット「ヘッドケース」のジョージさん。現在のほとんどのヘルメットがポリスチレン製で衝撃を受けると割れてしまって使えなくなるのに対し、特殊な柔らかいフォームで作られたヘッドケースは何度衝撃を受けても壊れず、持ち運ぶときは半分ほどの容量にたたむことができるというのがポイント。まだ試作品なのでデザインの洗練はこれからだそうだけれど、目標価格の89ポンドというのは十分に競争力があるのでこちらも継続チェックが必要ですね。

LUMOのLED入りジャケットを着てみせてくれたルーシーさん。フロントには白いLEDが縦一列に、後身頃は裾に赤いLEDが横一列に入っている。ジャケットとしてもおしゃれ Photo: Yoko AOKILUMOのLED入りジャケットを着てみせてくれたルーシーさん。フロントには白いLEDが縦一列に、後身頃は裾に赤いLEDが横一列に入っている。ジャケットとしてもおしゃれ Photo: Yoko AOKI

 ジョージさんと話していたカップルは、LED内蔵のジャケットやバッグで注目を集めている「LUMO」のルーシーさんとダグさん。ハリントンジャケットやモッズパーカーといったイギリスらしいスタイルを、ハイテク撥水加工などをほどこした自転車向け天然素材ファブリックで仕立て、さらに安全性を高めるライト(USB充電式!)を仕込むという、おしゃれシティサイクリストならチェックせずにはいられないアイテム。

クラウドファンディングが足がかりに

 こういう場ではどんどん話を聞かないと。蝶のように飛び回って社交しますよ。お次はと思ったら見覚えのある顔。前々回のコラムでご紹介した「Huez」ファウンダーのロレンゾさんでした。あのときはSkypeでインタビューだったけれど、動画チャットにしていたのですぐにわかりました。ロレンゾさんもこのミートアップはこの日が初めてだとのこと。

前々回ご紹介したHuezのロレンゾさん。ミートアップは初めてだけれど、同じ業界の知人を増やしたくて来たとのこと Photo: Yoko AOKI前々回ご紹介したHuezのロレンゾさん。ミートアップは初めてだけれど、同じ業界の知人を増やしたくて来たとのこと Photo: Yoko AOKI
ヴィクトール+リープのローズさん。スポーティなデザインのおしゃれブルゾンに見える吸汗速乾のジャケットにご注目。このウエアで今年のエタップに出るか、それともドロミテのマラトーナにするか悩んでいるとのこと Photo: Yoko AOKIヴィクトール+リープのローズさん。スポーティなデザインのおしゃれブルゾンに見える吸汗速乾のジャケットにご注目。このウエアで今年のエタップに出るか、それともドロミテのマラトーナにするか悩んでいるとのこと Photo: Yoko AOKI

 華やかな印象のローズさんも女性向けのサイクルウエアブランドを始めたスタートアップ。「ヴィクトール+リープ」は自転車やランニングを楽しむ大人の女性をターゲットに、機能性が高いのにスポーツすぎずエレガントな印象のウエアを打ち出しているとのこと。ローズさんが着ていた紺色×黒のジャケットも自分のデザインで、スポーツ場面でのクオリティを誇るイタリア「M.I.T.I.」の生地と金属製に見せかけて軽いプラスティック製というファスナーがポイントとか。たしかに街着にしていても違和感ゼロ。

 これまでの記事でもふれましたが、イギリスではこのようにアイディアを持った人たちが次々に起業しているわけですが、クラウドファンディングサイトがうまく機能していることも、自己資金の少ない若い人たちがアイディアを世に訴えて形にするいい足がかりになっているようです。ブレイズも、先日リアライト生産のためのキックスターターを再びスタート、なんと1日で目標金額を大きく上回る成果をあげたところでした(実際のキックスターターのページはコチラ)。

もちろん自転車で移動している人ばかりなので、スペースのあちこちにバックパックやヘルメットが Photo: Yoko AOKIもちろん自転車で移動している人ばかりなので、スペースのあちこちにバックパックやヘルメットが Photo: Yoko AOKI
トーキョーバイクは、おしゃれでシンプルなタウンバイクの選択肢があまりないロンドンでヒット、とくに東ロンドンではよく見かける Photo: Yoko AOKIトーキョーバイクは、おしゃれでシンプルなタウンバイクの選択肢があまりないロンドンでヒット、とくに東ロンドンではよく見かける Photo: Yoko AOKI

◇         ◇

 自転車に乗っていて「あ、こんなモノがあったらいいのに~!」と思うことが多いのは多くの人が経験していることではないでしょうか。あなたのそのアイディアももしかしたら金の卵かもしれませんよ。この人たちのように一発始めてみてはいかがでしょうか?

今回登場したスタートアップブランドなど

●Tokyobike(UK): http://tokyobike.co.uk/
●ビーライン: https://www.kickstarter.com/projects/1411369083/beeline-smart-navigation-for-bicycles-made-simple
●ヘッドケース: https://www.indiegogo.com/projects/headkayse-a-game-changer-in-cycle-helmet-safety#/
●LUMO: https://www.megafounder.com/lumo
●ヴィクトール+リープ: http://www.victorandleap.com/

青木陽子青木陽子(あおき・ようこ)

ロンドン在住フリー編集者・ジャーナリスト。自動車専門誌「NAVI」、女性ファッション誌などを経て独立起業、日本の女性サイトの草分けである「cafeglobe.com」を創設し、編集長をつとめた。拠点とするロンドンで、「運転好きだけれど気候変動が心配」という動機から1999年に自転車通勤以来のスポーツ自転車をスタート。現在11台の自転車を所有する。ブログ「Blue Room」を更新中。

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