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サイクルガジェット・中山順司さんが2カ月半試用ROTORの「Q-RINGS」を長期テスト 意外なほど違和感がなかった楕円チェーンリング

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 ペダルに力を伝えやすく、効率的なペダリングを実現するとされるROTOR(ローター)社の楕円チェーンリング「Q-RINGS」。ツール・ド・フランスなど世界のトップレースでも使用されている高性能パーツだ。そんなQ-RINGSを、ロードバイク好きのアラフォーライダーである筆者が、2カ月半試用する機会を得た。愛車にQ-RINGSを装着して、三本ローラー、通勤(埼玉県~都内の片道22km)、ロングライド&ヒルクライムを3回、合計1500km走ってみた。Q-RINGSの特徴や魅力を2回に分けて紹介する。 (中山順司)

シマノのチェーンリングを、ROTORの楕円リングに交換し、2カ月半のテストを行った Photo: Junji NAKAYAMAシマノのチェーンリングを、ROTORの楕円リングに交換し、2カ月半のテストを行った Photo: Junji NAKAYAMA

一般ライダーでも効果はあるの?

トッププロチームでは2015シーズン、ランプレ・メリダなどがQ-RINGSを使用している(写真提供:ダイアテックプロダクツ)トッププロチームでは2015シーズン、ランプレ・メリダなどがQ-RINGSを使用している(写真提供:ダイアテックプロダクツ)

 楕円リングを初めて見たのは、2013年のツール・ド・フランス。タイムトライアル(TT)のステージで、優勝候補の選手が実戦投入している様子をテレビが映し出していた。そのときは「そんなものがあるのか」と驚き、その特殊な形状から「さぞかし訓練を積んだのだろう」と感心した。

 実際、読者の皆さんのほとんどは、楕円形のチェーンリングを使ったことがあるかと問われると「NO」だと思う。3カ月前までは僕もそうだった。「トップ選手がTT等の特殊な状況下でのみ使う、エクストリームな機材」だと信じていた。楕円リングはプロ用機材であり、ツーリングや通勤で乗っている筆者(ロードバイク歴2年未満&44歳の中年男性)には関係がなく、生涯お世話になることはない。それが2013年時点の率直な感想だった。

 2年後、サイクリスト編集部から「Q-RINGS」のインプレッションを依頼されたときは、「頼む人を間違っていませんか?」と確認したほどだ。

 編「楕円リングは誤解されています。一般ライダーでも楽しめるんですよ」
 僕「本当に週末ライダーでも大丈夫ですか? そもそもメリットってあるんですか?」
 編「ペダリング効率を高めて、筋肉を効果的に使えますよ」
 僕「脚が混乱して落車しないですかね?」
 編「習うより慣れろ、です」

 この言葉を聞いて、かぜん興味が湧いてきた。しかし、実際に愛車に取り付けて試すまでは、「見るからにペダリングがしにくそう。脚にかかる負荷も不安定で疲れやすいんじゃないか?」と半信半疑だったのはナイショだ。

愛車にQ-RINGSを装着

 筆者は普段、コンポーネントはシマノ・アルテグラ(6800系)を使っているのだが、Q-RINGS にはシマノの4アームクランクに対応したモデルが用意されている。つまり、現状のアルテグラのクランクを生かしたままで、チェーンリングだけ交換する形でQ-RINGS を装着できるのだ。これはありがたい。

パッケージはこんなかんじ。びっくりするほど軽い Photo: Junji NAKAYAMAパッケージはこんなかんじ。びっくりするほど軽い Photo: Junji NAKAYAMA
Q-RINGS本体を取り出してみた。クランクアーム裏側にあたる部分が肉抜きされている Photo: Junji NAKAYAMAQ-RINGS本体を取り出してみた。クランクアーム裏側にあたる部分が肉抜きされている Photo: Junji NAKAYAMA

 交換作業は馴染みのショップにお願いした。「Q-RINGS を取り付けるのは初めて」だそうだが、作業は30分ほどで終了。

 ひとつだけ難儀したのが、“フロントディレーラーの調整”だった。ギアが楕円形状であるせいで、クランクを回すとチェーンラインが上下に動く。そのため、ディレーラーが通常の位置では低すぎてチェーンリングと干渉してしまうのだ。これはディレーラーの取り付け位置を上に移動させることで解決。今回は7ミリほど上に移動させた。

取り付けはプロにとっては比較的簡単な作業 Photo: Junji NAKAYAMA取り付けはプロにとっては比較的簡単な作業 Photo: Junji NAKAYAMA
フロントディレーラーの位置を調整する Photo: Junji NAKAYAMAフロントディレーラーの位置を調整する Photo: Junji NAKAYAMA
真円リング使用時より取り付け位置が7mm上になった Photo: Junji NAKAYAMA真円リング使用時より取り付け位置が7mm上になった Photo: Junji NAKAYAMA
まずメカニックのNさんが試走 Photo: Junji NAKAYAMAまずメカニックのNさんが試走 Photo: Junji NAKAYAMA
「4時でちょっと重くなるけど、ペダリングに違和感はない。平地巡航したら面白いはず」とのこと Photo: Junji NAKAYAMA「4時でちょっと重くなるけど、ペダリングに違和感はない。平地巡航したら面白いはず」とのこと Photo: Junji NAKAYAMA

楕円の何がすごいのか?

 Q-RINGS が実現する理想のペダリングについては商品紹介ページにくわしく書かれているが、まとめるとこうだ。

 「力の入りやすい場所では重い歯数を、力の入りにくい場所では軽い歯数を使う」

 これがQ-RINGSの理論。ペダルを踏み込む力を最もかけやすい位置(4時の位置)で歯数が大きく(重く)なり、4時を抜けると歯数が小さく(軽く)なる。3~4時の間だけペダルがかすかに重くなり、パワーがかけやすくなる仕組みだ。それ以外は真円のチェーンリングと変わらない。

クランクが「3時」の位置。チェーンリングの歯数は通常レベル Photo: Junji NAKAYAMAクランクが「3時」の位置。チェーンリングの歯数は通常レベル Photo: Junji NAKAYAMA
クランクが「4時」の位置では、縦に最大となり、大きな歯数=重いギアになる Photo: Junji NAKAYAMAクランクが「4時」の位置では、縦に最大となり、大きな歯数=重いギアになる Photo: Junji NAKAYAMA

パワーがかかる角度を微調整可能

 シチュエーションや体格によって、「パワーがかかる場所をちょっとズラしたい」場合もある。そういったニーズにも対応しており、バイクのポジションに合わせて仮想ギアが最大歯数になる位置を変化させられる OPTIMUM CHAINRING POSITION(OCP)が搭載されている。Q-RINGS をクランク取り付けつためのボルト穴が複数あって、好みの位置に移動できるのだ。

 たとえばロードモデルには、5つのボルト穴に対応して●印の刻印が1~5まで5つあり(筆者が使ったシマノの4アーム対応版は、刻印は2~4まで3つ)、ノーマルポジションは3の位置。この刻印の場所が4時の位置になると、踏み込む際の仮想ギア歯数が最大になる。僕はとりあえずノーマル位置の3を選んだ。

微妙にずらした取り付け穴を選ぶことで、パワーがかかる場所を微調整できる Photo: Junji NAKAYAMA微妙にずらした取り付け穴を選ぶことで、パワーがかかる場所を微調整できる Photo: Junji NAKAYAMA

まず三本ローラーで試す

 毎日、自宅の三本ローラーを1時間回すのが日課なので、まずはQ-RINGS を装着したバイクの走り心地をローラー台で試してみた。恐る恐る漕ぎ始めて「アレ?」となった。人生初の楕円リングなのに、違和感なくペダリングできてしまう。

いつものように畳の上で三本ローラー。慣れるというより、むしろこちらの方が走らせやすいかも Photo: Junji NAKAYAMAいつものように畳の上で三本ローラー。慣れるというより、むしろこちらの方が走らせやすいかも Photo: Junji NAKAYAMA

 ルックスは仰々しいが、いざ乗るとあっけない。取扱説明書には「最低10時間以上のライディングが必要です」と記載されていたが、「何も言わずに他人に乗せたら、楕円リングって気づかないかも?」と感じるほどスムーズに回る。散々心配して損した気分だ(笑)。

 足元に目を落とすと、なるほどチェーンリングの動きが上下に変化するのに合わせて、チェーンもせわしなく動く。3~4時の位置でペダルがわずかに重くなる感触はあるが、ペダリングはしやすい。不思議なギャップ感だ。巡航速度を維持しやすい特性のおかげか、むしろ楕円リングのほうがローラー台では走らせやすいと思った。

片道22kmをジテツウする

 一定速度で巡航する三本ローラーなら快適でも、公道はどうか? 自宅から赤坂までの通勤(片道22km)で使ってみたのだが、こちらもまったくノープロブレムだった。

 都内の坂は下りも上りもたいしたことはなく、真円リングと同じように走ることができる。乗りにくさ、漕ぎにくさは微塵もない。さらに平地巡航は秀逸で、大手町~日比谷~皇居前~永田町の平地ゾーンで車の流れに合わせて、グイッ、グイッと力強くペダリングできるのがとても気持ちいい。

都内の通勤ライドでは快適に使うことができた Photo: Junji NAKAYAMA都内の通勤ライドでは快適に使うことができた Photo: Junji NAKAYAMA
平地巡航速度がややアップした印象 Photo: Junji NAKAYAMA平地巡航速度がややアップした印象 Photo: Junji NAKAYAMA

 ここまで使ってみての結論は、「Q-RINGS はロードバイク歴2年未満のオッサンでもすぐに慣れるし、楽しめる」である。しかも、レーシーなデザインがカッコイイ。

 とはいえ、不安が完全に払拭されたわけではない。Q-RINGS はヒルクライムなどの山道や、走行距離が100kmを超えるようなロングライドでも使いやすいのか? そこで、次回はヒルクライムとロングライドで試したインプレッションをお届けします!

中山 順司中山 順司(なかやま・じゅんじ)

ロードバイクをこよなく愛するアラフォーブロガー。ブログ「サイクルガジェット」を運営。”徹底的&圧倒的なユーザー目線で情熱的に情報発信する”ことがモットー。ローディーの方はもちろん、これからロードバイクを始めようかとお考えの方が、「こんなコンテンツを読みたかった!」とヒザを打って喜ぶ記事をつくります。

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