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はらぺこサイクルキッチン<43>ディフェンディングチャンピオンとして挑んだ「テルユライド100」 おいしい“新顔”補給食

by 池田清子 / Sayako IKEDA
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MTBレース「テルユライド100」2連覇しました! 優勝は何よりも嬉しい瞬間ですMTBレース「テルユライド100」2連覇しました! 優勝は何よりも嬉しい瞬間です

 米コロラド州・テルユライドで7月25日に行われたMTBレース「テルユライド100」に参戦した池田祐樹(トピークエルゴンレーシングチームUSA)。100マイル(約160km)を駆けた8時間の激闘の末、2014年に続き2連覇を果たしました。そんな池田が「セオリー度外視」でフィードに取り入れたものとは? 勝利へと導いたその秘策と挑戦を、レース前の食事内容と共にお届けします。

舞台はロッキー山脈に囲まれた避暑地

現地入りしたのは、レース本番の2日前。舞台となるテルユライドは、滞在地ブリッケンリッジから約430kmのエリア。レースコースの最高標高地点は、なんと3915mもあります。コロラドロッキー山脈に囲まれた美しい避暑地としても人気が高く、街は夏のバカンス客で賑わっていました。

右下に見えるのが池田祐樹とブライアン・ディロン選手。どちらかが後ろにつくことなく、2人で先頭を被せあって走る右下に見えるのが池田祐樹とブライアン・ディロン選手。どちらかが後ろにつくことなく、2人で先頭を被せあって走る
昨年と同じく開会式へはゴンドラに乗って向かいます。レースへの緊張も高まっていきます昨年と同じく開会式へはゴンドラに乗って向かいます。レースへの緊張も高まっていきます

 大会発足2年目の今年は、75人の選手枠が早々に定員に達し、ウェイティングリストには有名選手が名を連ねるなど人気レースになりました。北米最大のMTBマラソンレース「レッドヴィル・トレイル100」で2014年にトップ10入賞を果たしているブライアン・ディロン選手(グリグス・オーソペディックス)も強豪の一人として参戦。レースでは、池田との一騎打ちになりました。90マイル付近までお互い一歩も譲らず展開しましたが、残り15km付近で勝負がつき、最後は6分差をつけて池田の勝利となりました。

ナンバープレートは「1」。気持ちも高まりますナンバープレートは「1」。気持ちも高まります
2014に続いて2連覇を果たした池田祐樹2014に続いて2連覇を果たした池田祐樹
フィニッシュ直後にブライアン・ディロン選手と健闘をたたえ合う池田祐樹フィニッシュ直後にブライアン・ディロン選手と健闘をたたえ合う池田祐樹

「招待選手」に与えられた広いキッチン

各地での調理も慣れてきました。キッチンが広いと、私のテンションもアップ各地での調理も慣れてきました。キッチンが広いと、私のテンションもアップ

 昨年の優勝者である池田は、「今年の招待選手」ということで宿も大会側が用意してくださいました。宿には大きなキッチンが付いていて、私のテンションは早くも高まりました。醤油などの調味料の他、納豆や梅干しなどの日本食も持参。中でも今回の私的なポイントは「ぬか漬け」です。

 食物繊維の多い野菜を摂りすぎると、消化に時間がかかったり腸内でガスが発生してしまったりで、レースに支障をきたします。善玉菌を腸内環境で増やすには、発酵食品が効果的。袋に入って持ち運びができるぬか床は、日本食を扱うスーパーマーケットで調達しました。とても重宝しましたよ。

ぬか漬けは大正解でした。袋がそのまま「ぬか床」になるキットを使用しましたぬか漬けは大正解でした。袋がそのまま「ぬか床」になるキットを使用しました
日本食3姉妹。腸内環境を整えてくれる優秀食材日本食3姉妹。腸内環境を整えてくれる優秀食材

 食材の移動には、スーパーマーケットでもらった発泡スチロールの箱が保冷ボックスとして役立ちました。保冷ボックスを持っていない時にはオススメの方法です。

フィードをする私、受け取った池田祐樹。言葉でも背中をプッシュフィードをする私、受け取った池田祐樹。言葉でも背中をプッシュ

レース前の自炊生活メニュー

 そんなキッチンでは充実した自炊食生活を送ることができました。現地入りしてからレース前日まで実際のメニューを紹介します。

<レース2日前の夕食>

レース2日前の夕食

・グルテンフリーのトマトパスタ(ブロッコリー、マッシュルーム)
・メカジキの醤油焼き
・ミックスビーンズのサラダ

ポイント

 タンパク質が豊富で体のミネラルバランスを整える働きもあるメカジキを選択しました。ミックスビーンズも植物性タンパク質が多い上、使い方もアレンジが利くので遠征先で必ずと言っていいほど購入します。

<レース前日の昼食>

レース前日の昼食

・ケールとマッシュルームの炒め物
・玄米
・卵焼きとサラダ(アーモンドミルク・ココナッツシュガー)
・黒豆フムスとブルーコーンチップス

ポイント

 抗酸化作用物質やビタミンA、カルシウムなどが豊富で非常に栄養価が高いケールを使用。生でも食べられますが、茎が固いので、レース前はよく火を通して消化に優しく。

<レース前日の夕食>

レース前日の夕食

・サーモングリル(炒めたビーツの葉の上にのせ、オーブンで焼きました)
・ビーツ玄米リゾット
・ブロッコリとリンゴの炒め物(チーズ)
・グリーンミックスサラダ(ミックスナッツ、ふりかけ)

ポイント

 サーモンは、ああ見えて白身の魚。身の赤い色はアスタキサンチンというカロテノイドの一種で、非常に多くの抗酸化作用物質を含みます。鮭が産卵で川を力強く上る姿は、坂を上る選手の姿と重なります。こういう連想やイメージも、私は大事にしています。普段は夜摂取しないフルーツも、糖質補給で今夜はプラス。

各選手に合った斬新な補給食

レース前日、補給食とフィードの最終確認。天候や気温などによっても調整しますレース前日、補給食とフィードの最終確認。天候や気温などによっても調整します

 レース当日、補給食の内容は選手それぞれ。元全米チャンピオンでありシドニーオリンピックにも出場したトラビス・ブラウン選手(トレック)の補給食は、興味深いものでした。奥様がフィードゾーンで手にしていたのは、ワインによく合いそうなチーズを生ハムで巻いたもの。

 レース後ブラウン選手に理由をうかがうと、「長いレースでは持続的なエネルギーのある脂質が必要になる。補給食は甘いものが中心だから塩気のあるものが味覚を変えてくれる。何を補給するかは個人によって違うと思うけれど、胃がもたれなければこういうものも有効だよ」とのことでした。ブラウン選手の長い選手生活の経験から得た選択なのですね。

トラビス・ブラウン選手の家族。手にはチーズ&生ハムの補給食が!トラビス・ブラウン選手の家族。手にはチーズ&生ハムの補給食が!
3位入賞のトラビス・ブラウン選手がフィニッシュ3位入賞のトラビス・ブラウン選手がフィニッシュ

 補給食に関して基本的なセオリーはありますが「何が有効的か」という答えは、最終的に選手自身のみが知るのだと思います。何を選んでもいい。その時の気分で選択してもいい。「食べたい」と思い浮かぶものが、体が欲しているもの、テンションを上げてくれるもの、気持ちをリセットさせてくれるものなのです。池田がレースで摂った補給食は次のとおりです。

準備したもの(総カロリー約3600kcal)

・スポーツドリンク大ボトル(730ml)2本、小ボトル(650ml)3本 
・エナジーバー3個(甘いもの1個、しょっぱいもの2個)
・ジェルフラスコ3個(フラスコ1個にジェル4つずつ)
・ポテトチップス1袋

今回のレースで用意した補給食の全て。結果的に飲んだ水分は3本半とかなり少なめでした。向かって右端は、初の試みのポテトチップス!今回のレースで用意した補給食の全て。結果的に飲んだ水分は3本半とかなり少なめでした。向かって右端は、初の試みのポテトチップス!

実際口にしたもの(約2500kcal)

・スポーツドリンク約小ボトル3本半分
・エナジーバー3個
・ジェル約6個分
・ポテトチップス半袋

ポイント

 初めて取り入れてみたのは、ポテトチップス。自然食品店にて、ココナッツオイルで揚げた「Non-GMO」(非遺伝子組み換え)のものをチョイスしました。最終フィードエリアで、バクっと一口食べていましたよ。後で感想を聞くと「ドリンクにも電解質(塩分)は入っているけれど、味は甘い。炎天下の中で塩気はおいしかった」と言っていました。

 なお、今回のレース中の消費カロリーは約5140kcal。レース時間は8時間3分でした。みなさんも、自由な発想で心に問いかけてみると、斬新な補給食が思い浮かぶかもしれません。それらは「気持ち」または「ギア」を、もう一段上げてくれるはずですよ。

現地到着日に早速フィードゾーンを下見。当日は4カ所を回りました現地到着日に早速フィードゾーンを下見。当日は4カ所を回りました
選手が来るまで2時間以上待つことも。先々で、補給食の他に修理工具や予備のホイールをセッティング選手が来るまで2時間以上待つことも。先々で、補給食の他に修理工具や予備のホイールをセッティング

◇         ◇

つい先ほど、レースで超えてきた山々をバックに。最高標高地点は3915m!つい先ほど、レースで超えてきた山々をバックに。最高標高地点は3915m!

 過去のレースで一度も結果が上回ったことのない格上の選手と戦い、勝利を収めたのは池田の競技人生においても大きな収穫でした。まだまだ成長できている証拠です。遠征のレース3つを終え、残すレースは3つ。いよいよステージレースの始まりです。


池田清子池田清子(いけだ・さやこ)

アスリートフード研究家。モデル事務所でのマネージャー経験を生かし2013年夏よりトピーク・エルゴンレーシングチームUSA所属ライダー、池田祐樹選手のマネージメントを開始、同秋結婚。平行して「アスリートフードマイスター」の資格を取得。アスリートのパフォーマンス向上や減量など、目的に合わせたメニューを日々研究している。ブログ「Sayako’s kitchen」にて情報配信中。

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