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つれづれイタリア〜ノ<54>ジロ・デ・イタリアの大胆な一般参加型イベント 海外にステージを丸ごと再現

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エタップ・デュ・ツールに挑戦した日向涼子さん(橋本謙司撮影)エタップ・デュ・ツールに挑戦した日向涼子さん(橋本謙司撮影)

 モデルの日向涼子さんが、フランスで7月19日に開催されたサイクリング大会「エタップ・デュ・ツール2015」を完走しました。日向さん、おめでとうございます! 仕事の合間を縫ってきちんと練習できただけですごいことだと思いますが、約4人に1人がリタイヤするほどきついコースだっただけに、感動・感激です。

 この大会はツール・ド・フランス期間中に開催され、最大の特徴はツールの山岳ステージと同じコースにチャレンジできることです。主催者はツールを開催するA.S.O.で、今年で23回目を迎えました。プロと同じ上り、下り、テクニカルコースが体験できるため、絶大な人気を誇る大会になりました。

 プロとアマチュアの壁を壊す。プロと同じ条件でレースに挑む。プロと同じ雰囲気の中で応援される。自転車競技を愛する者なら、これ以上の幸せはないでしょう。

 実はこのようなイベントが、この数年でいくつも誕生しています。そしてプロの世界を味わいたいチャレンジ精神を持つ一般のライダーたちが、こぞってプロに近い条件のレースを探し求めて参加しています。

ジロが海を越えてアメリカに進出

 ヨーロッパではプロ選手と同じコースを走るイベントがあって、2011年から一般市民向けのパリ~ルーベもスタートしました。そしてイタリアでは、2012年にジロ・デ・イタリアの公式プロジェクト「グランフォンド ジロ・デ・イタリア」が発足しました。

「グランフォンド ジロ・デ・イタリア」パサデナ大会のスタートの様子 ©RCS SPORT「グランフォンド ジロ・デ・イタリア」パサデナ大会のスタートの様子 ©RCS SPORT

 エタップと同じく、ジロ期間中にプロと同じコースを疾走する大会もイタリア国内で開催されていますが、ジロの主催者であるRCS SPORTSは、さらに独特な方法で一般市民向けにジロの魅力を体験する機会を作りました。それはジロの一つのステージを丸ごと海外に持って行く、という大胆な発想です。

 現地までジロのスタッフが出向き、地形を考慮し、ジロを体験するのと同じ難易度のコースを設計します。しかも、スタート地として選ばれる場所は、辺鄙な田舎ではなく、大都会ばかりなのです。

「グランフォンド ジロ・デ・イタリア」マイアミ大会 ©RCS SPORT「グランフォンド ジロ・デ・イタリア」マイアミ大会 ©RCS SPORT
「グランフォンド ジロ・デ・イタリア」エルサレム大会の参加者たち ©RCS SPORTエルサレム大会の参加者たち ©RCS SPORT

 第1回は2012年11月にアメリカ、マイアミで行われました。イタリアを代表するマリオ・チポッリーニ、フィリッポ・ポッツァート、ダニーロ・ディルーカも参戦(残念ながら翌年、ディルーカはドーピング陽性反応により永久にレースの世界から追い出されました)。そして今は、多くの国で開催されるようになっています。

マイアミ大会にはマリオ・チポッリーニ氏とミス・ジロ・デ・イタリアたちが出向いた ©RCS SPORTマイアミ大会にはマリオ・チポッリーニ氏とミス・ジロ・デ・イタリアたちが出向いた ©RCS SPORT
パサデナ大会ではフランチェスコ・モゼール氏(左)が参加 ©RCS SPORTパサデナ大会ではフランチェスコ・モゼール氏(左)が参加 ©RCS SPORT

プロと同じ難易度のコースを綿密に設計

 グランフォンド ジロ・デ・イタリアの誕生と展望について、RCS SPORTSの広報担当者、サーラ・ペッレグリーニ氏に取材をしました。

「グランフォンド ジロ・デ・イタリア」北アイルランド大会のポスター ©RCS SPORT北アイルランド大会のポスター ©RCS SPORT

――このイベントはどのように誕生しましたか。

 「ジロは『世界で一番美しい国での一番厳しいレース』をモットーにしているだけでなく、『パッション、汗、犠牲心』という精神があります。その精神をイタリアに来られないライダーに体験していただくために、海外でのグランフォンド、一般参加型サイクリングイベントの実施を思いつきました」

――世界のさまざまな地域で、ジロと異なる時期に開催されていますね。

 「確かにイタリアで行われるグランフォンド ジロ・デ・イタリアはジロと同じ期間、同じコースで開かれるのに対し、海外では時期をずらします。しかし、コースに関しては綿密に設計されているので、プロと同じ難易度を保証します。実はコースだけでなくロゴ、マスコット、音楽、スポンサー、ジャージなど、ジロの一つのステージを再現することを目指していますので、細心の注意を払っています」

 ジロ・デ・イタリア第16ステージと全く同じコースで開かれたモルティローロ大会のコースマップ ©RCS SPORT ジロ・デ・イタリア第16ステージと全く同じコースで開かれたモルティローロ大会のコースマップ ©RCS SPORT
「グランフォンド ジロ・デ・イタリア」北アイルランド大会のコース ©RCS SPORT「グランフォンド ジロ・デ・イタリア」北アイルランド大会のコース ©RCS SPORT

――2012年にプロジェクトはスタートしましたが、これまでどこで開催されましたか。

 「アメリカのマイアミ、ニューヨーク、パサデナ、モントレイ、ビバリーヒルズ、イスラエルのエルサレム、北アイルランド、オーストリアなどで開催しました。世界中から多くのオファーが来ていますので、開催条件を変え、ライセンスという形を取りました。グランフォンドを実施したい自治体や運営会社があれば、届いたプランなどチェックし、必要であれば現地まで専門のスタッフを送り、一緒にステージを作ってあげます。いまもコスタリカ、ブラジル、メキシコ、パナマなどでの開催準備が着々と進んでいます。これほどまでの反響に驚いています」

「日本でも開催したい」

――平均的な参加人数は?

 「参加者は大会によりますが、メディフォンド(150kmまで)とグランフォンド(150km以上)で、各カテゴリーは1500人になります。北アイルランドで行われたジロは、その倍でした」

「グランフォンド ジロ・デ・イタリア」ビバリーヒルズ大会のエイドステーション ©RCS SPORTビバリーヒルズ大会のエイドステーション ©RCS SPORT

――レース以外にはどんな催しがありますか。

 「前夜祭にはイタリア定番のパスタパーティーや音楽イベント。スタート会場周辺にスポンサーのブースがたくさんあり、まるでジロの世界にいるような錯覚に陥ります。さらに各国の独自の催しも取り入れています。また、プレスルームを設け多くのジャーナリストを招待します」

――この努力のおかげでジロの知名度は変わりましたか。

 「アメリカでは大きく変わりました。アメリカ人のほとんどは、ランス・アームストロングが出場していたツール・ド・フランスにしか目が向いていなかったのですが、ジロへの関心は高くなりました」

「グランフォンド ジロ・デ・イタリア」マイアミ大会のゴール地点 ©RCS SPORTマイアミ大会のゴール地点 ©RCS SPORT
「グランフォンド ジロ・デ・イタリア」パサデナ大会のスタート ©RCS SPORTパサデナ大会のスタート ©RCS SPORT

――日本でも開催する予定ですか。

 「ぜひとも開催したいです。アジアではまだ開催していません。日本とイタリアは苦労に耐える精神が似ていますので、日本で一緒に企画をやりたい自治体や運営会社があれば、ぜひ声をかけていただきたいです」

◇         ◇

 日本での開催ですか。いい夢ですね。誰かスポンサーが見つかれば、すぐにでも誘致してもらいたいですね。その前にジャパンカップとツール・ド・フランスさいたまクリテリウムがあります。こちらはUCIワールドツアーで活躍しているプロ選手たちを日本国内で見られる数少ない機会です。ぜひ応援に行きましょう。

■2015年に開催されたグランフォンド ジロ・デ・イタリア
5月3日、ウィーン(オーストリア)
5月17日、モルティローロ(イタリア)
6月21日、北アイルランド

文 マルコ・ファヴァロ

マルコ・ファヴァロMarco FAVARO(マルコ・ファヴァロ)

イタリア語講師。イタリア外務省のサポートの下、イタリアの言語や文化を世界に普及するダンテ・アリギエーリ協会で、自転車にまつわるイタリア語講座「In Bici」(インビーチ)を担当する。サイクルジャージブランド「カペルミュール」のモデルや、Jスポーツへ「ジロ・デ・イタリア」の情報提供なども行なう。東京都在住。ブログ「チクリスタ・イン・ジャッポーネ

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