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“自転車革命都市”ロンドン便り<25>駅前一等地が駐輪場に ツール・ド・フランスの出発地オランダ・ユトレヒトを視察

by 青木陽子 / Yoko AOKI
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 今年の1月にも「海を渡れば“自転車天国”」としてレポートしたオランダ事情ですが、今度はオランダ第3の都市ユトレヒトに行く用事があったので、ふたたび英国製折りたたみ自転車のブロンプトンを持って行ってまいりました!

ユトレヒト駅西口のJaarbeursplein駐輪場は3階建て(3階から見下ろしたところ)。床の色が違うのは、どの階に置いたか忘れにくくするための配慮だろう。清潔で明るい雰囲気だユトレヒト駅西口のJaarbeursplein駐輪場は3階建て(3階から見下ろしたところ)。床の色が違うのは、どの階に置いたか忘れにくくするための配慮だろう。清潔で明るい雰囲気だ

3万台のキャパシティを目指し駐輪場整備

 前回は夜行フェリーで英仏海峡を渡りましたが、今回はロンドンからユーロスターでベルギーのブリュッセルまで行き、インターシティという特急列車に乗り換えてオランダに入りました。いったんイギリスを出ればもうパスポートチェックはなし。EU圏内、とくにこのあたり西側の国々の壁はますます低くなっていることを実感します。

 ユーロスターは持ち込み自転車のルールが厳しくなってしまい、普通サイズの自転車は袋に入れたりスペースを予約したりしないといけなくなっています(袋に入れない方法もあり。いずれにしても有料で片道5000円から)。けれどブロンプトンなど折りたたんで袋に入れたときの一辺が85cmを超えないものについては、1人2個までの手荷物の1つとして無料で持ち込めるのです。

ユーロスターでは、持ち込み可能な折りたたみ自転車でも袋に入れることがマスト。ブロンプトンなら、IKEAの収納バッグDIMPAが軽くて安くておすすめ!ユーロスターでは、持ち込み可能な折りたたみ自転車でも袋に入れることがマスト。ブロンプトンなら、IKEAの収納バッグDIMPAが軽くて安くておすすめ!
ツール・ド・フランスのグランデパールに備えてすでにモニュメントが市内のあちこちに飾られているユトレヒト。中世の町並みと運河が美しい人口33万人の町ツール・ド・フランスのグランデパールに備えてすでにモニュメントが市内のあちこちに飾られているユトレヒト。中世の町並みと運河が美しい人口33万人の町

 ちなみに、普通サイズの自転車の持ち込みルールが厳しくなったのは、近年のイギリスでの自転車ブームで、自転車合宿をはじめとする旅行に自転車を携行するイギリス人が急増しているからなのではないかと思います。ユーロスターのサイトには、「ツール・ド・フランス期間中は自転車スペースがとくに逼迫するから注意せよ」とわざわざ書いてありました。

ユトレヒトはアムステルダム以上に自転車が多い町だった。一定期間に見た自転車の数としては自分的最高値をマークしたと思うユトレヒトはアムステルダム以上に自転車が多い町だった。一定期間に見た自転車の数としては自分的最高値をマークしたと思う

 ユトレヒトで今回いちばん見たかったのは、完成したばかりの大規模な駐輪場。ユトレヒト駅は、30万人という乗降客数も列車本数も国内最大で、毎日ここから列車に乗る人の4割はこの駅まで自転車で来るとのこと。駐輪場不足は通りすがりの観光客の目にもよくわかるほどで、とくに駅前が大規模再開発中のいま、臨時駐輪場やそのまわりは日本を思い出すような自転車の海になっています。

 現在の駐輪場整備計画によると、去年完成したこの駅西口の4200台収容の駐輪場のほか、駅東口コンコース下にも1万2500台収容の駐輪場の建設が進んでいるそうで、2018年には周辺の既存駐輪場とあわせておよそ3万台のキャパシティを用意することになっています。それでもユトレヒト市は人口も増加中なので、3万台でもすぐに足りなくなると言われているとか。

ユトレヒト中央駅と周辺は大再開発中。いくつも駐輪場があるが足りなくて、歩道スペースや公園スペースを使っての仮設駐輪場がたくさんあるユトレヒト中央駅と周辺は大再開発中。いくつも駐輪場があるが足りなくて、歩道スペースや公園スペースを使っての仮設駐輪場がたくさんある
こんな規模の屋外・屋内仮設駐輪場が駅周辺に5~6カ所ある。自転車のためにも屋内の駐輪場を増やしていく予定だとかこんな規模の屋外・屋内仮設駐輪場が駅周辺に5~6カ所ある。自転車のためにも屋内の駐輪場を増やしていく予定だとか

モダンな設備、24時間無料

2014年にオープンした中央駅西口と大階段。大階段の上が改札につながっている。この階段の内側が4200台の駐輪場だ2014年にオープンした中央駅西口と大階段。大階段の上が改札につながっている。この階段の内側が4200台の駐輪場だ

 駅西口のJaarbeursplein駐輪場は、駅コンコースにつながるモダンな大階段の内側に3階建てで用意されていました。料金は最初の24時間まで無料、その後は1日50セント(およそ65円)ずつ。JR東日本のSuicaのような公共交通機関用ICカードを出入庫のときに読み取り機にかざして時間を確認します。

 日本も大型の駐輪場は増えているのでそんなに驚くほどのことはないかもしれませんが、さらに日本が学べることがあるとすれば、自転車用インフラへの投資の多さだと思います。ともすれば商業的価値が低く、駅改札から遠い暗くて薄汚い空きスペースを駐輪場に選びがちな日本と違い、オランダは駐輪場に駅改札近くの一等地を与え、耐久性の高いデザインや素材を採用し、メンテナンスを行き届かせています。

駐輪場入り口。通勤ラッシュ時の需要をさばけるよう、出入りの際自転車を転がすための溝は6本刻まれている駐輪場入り口。通勤ラッシュ時の需要をさばけるよう、出入りの際自転車を転がすための溝は6本刻まれている
入り口を入りかけたところ。目の前の店舗は自転車の修理を引き受けているワークショップ。チューブやサドルなども売っている入り口を入りかけたところ。目の前の店舗は自転車の修理を引き受けているワークショップ。チューブやサドルなども売っている

 駅前などの迷惑駐輪車の撤去はしばしば行われているそうですが、「迷惑だから自転車で来るな! どこに止められるかは知らんがとにかくここからは出て行け!(←日本)」ではなく、「ここに人が来ているから、もっと駐輪場を作らなければ!」となるようです。そのくらい自転車の利便性の優先順位が高く、行政や鉄道会社などが人が移動するなら駐輪場が必要なのは当然という意識になっていることに感心しきりです。

駐輪場入り口では、Suicaのような鉄道用のICカードで入出庫を確認。24時間までは無料なので、実質無料で毎日使える駐輪場入り口では、Suicaのような鉄道用のICカードで入出庫を確認。24時間までは無料なので、実質無料で毎日使える

 これは自分ではどこにあるか調べきれなかったのですが、「ユトレヒトの駐輪場すげぇ、未来だ!」と驚愕したのが、駐車場の満車具合を表示する電光掲示板のような、駅周辺駐輪スペース表示電光掲示板です。つい最近スタートしたようですが、ツイートしていた方がいたので紹介します。未来の都市では常識になるのでしょうか…?

ツールへ向け盛り上がりを見せる街

 すっかり忘れていたのですが、今年のツール・ド・フランスのグランデパール(第1ステージの出発地)はユトレヒトです! まだスタートまでほぼ1カ月ありましたが、市内はしだいに盛り上がってきているようで、あちこちにマイヨ・ジョーヌをモチーフにした旗があったり、かなり多くのショップのウィンドウに自転車が飾られたりしていました。レストランまでが自転車を窓ガラス沿いにディスプレイしていたので、市や商工会議所のような団体が推奨していたのかも。

これはレアアイテム! ツール・ド・フランス記念でマイヨ・ジョーヌを着たミッフィー人形。うしろの本はオリジナルシリーズの一話だけれど、そういえば黄色の服を着ていてぴったりこれはレアアイテム! ツール・ド・フランス記念でマイヨ・ジョーヌを着たミッフィー人形。うしろの本はオリジナルシリーズの一話だけれど、そういえば黄色の服を着ていてぴったり
ユトレヒト中で、数多くのショップが店頭に自転車をディスプレイしていたユトレヒト中で、数多くのショップが店頭に自転車をディスプレイしていた

 そしてユトレヒトはうさぎの「ミッフィー」の作者ディック・ブルーナの出身地でもあります。マイヨ・ジョーヌを着たミッフィーを見たときには、もう買うしかなかったですね。7ユーロでオフィシャルグッズショップで販売しているので、観戦にいらっしゃる方はお土産にぜひ!

青木陽子青木陽子(あおき・ようこ)

ロンドン在住フリー編集者・ジャーナリスト。自動車専門誌「NAVI」、女性ファッション誌などを経て独立起業、日本の女性サイトの草分けである「cafeglobe.com」を創設し、編集長をつとめた。拠点とするロンドンで、「運転好きだけれど気候変動が心配」という動機から1999年に自転車通勤以来のスポーツ自転車をスタート。現在11台の自転車を所有する。ブログ「Blue Room」を更新中。

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