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つれづれイタリア〜ノ<49>ジロ・デ・イタリアを支える美女軍団 会場を華やかに盛り上げて舞台裏でも大忙し

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 今年もジロ・デ・イタリアが始まりました。毎日、テレビやタブレットから目が離せません。わかっていたことですが、レース観戦の後は興奮しすぎて夜はあまり眠れません。

 さて今回は、連載第48回でも取り上げた「ミス」と呼ばれるポディウムガールたちをさらに紹介していきます。ジロの“顔”の一つである彼女たちの働きぶりとは、どんなものでしょうか。

2015年のジロ・デ・イタリアの表彰式で、マリアローザを担当する2人のミス<写真・砂田弓弦>2015年のジロ・デ・イタリアの表彰式で、マリアローザを担当する2人のミス<写真・砂田弓弦>

自転車業界のイタリア人は働き者

 日本で浸透しているイタリア人の一般的なイメージは、言うまでもなく「時間にルーズで、ゆる~く仕事をこなす人」というもの。まぁ、一部は否定しませんが、自転車業界においては、みんな非常によく働きます。

マリアローザカラーのキャラバンカー<写真・砂田弓弦>マリアローザカラーのキャラバンカー<写真・砂田弓弦>

 ジロの会場では、多くのイベントが催されています。その一つが、キャラバン隊。選手たちが通過する前に、スポンサーが提供するデコレーションカーがコース上をパレードし、限定グッズを販売したり、きれいな女性たちがダンスをしたりしながら、観客を楽しませます。スタッフたちが秒刻みのスケジュールの中で行動し、レースに支障がでないように時間管理に気を配っています。

 さらによく働くのが「ミス」と呼ばれるポディウムガールたちなのです。ジロで多忙だと知りながら、ミスの総合責任者であるヴィルジニア・ジャンマリアさんとコンタクトを取り、ミスたちについて色々聞いてみました。ヴィルジニアさん自身は2010年にミスとして活躍し、その後、ジロのミスたちのマニュアルを作りなおし、毎年ミスたちを裏から支え続けています。現在はジロを主催するRCS Sportsの正式メンバーです。

ミスの選出にファン投票も反映

――ヴィルジニアさんは2010年にミスになってどんな気持ちでしたか

 最初は自転車の「ジ」も知らず、緊張しかなかったです。特にポディウムに上がると、目の前に大勢の人がいて、緊張のあまり最初は体がいうことを聞きませんでした。しかし、ジロの興奮した雰囲気にのまれ、いつの間にか私自身がジロの一部になりました。

――ジロでは多くの女性が活躍していますが、どのような役割ですか

 女性スタッフは3タイプいます。キャラバン隊で会場を盛り上げるスタッフと、「オンブレッリーネ」「ミス」と呼ばれる女性たちです。私はそのどちらも担当しています。オンブレッリーネとは「傘を持つ娘」を意味し、スタート前に選手たちに日傘を差し出しています。その後、着替えて観客へのサービスを始めます。

スタート前の各賞ジャージ着用者に日傘を差し出すオンブレッリーネ<写真・砂田弓弦>スタート前の各賞ジャージ着用者に日傘を差し出すオンブレッリーネ<写真・砂田弓弦>

 ミスは6人だけいます。オンブレッリーネよりワンランク上です。メーンスポンサーやゲストの接客を担当していて、私が彼女たちに指示を出すことも多くなります。最もテレビに映りますので、態度や姿勢、言葉遣い、さらに選手への細かい気配りが必要です。例えば、ステージに上がる選手たちのジャージのしわを伸ばし、スポンサー名がきちんと見えるように注意してあげるよう、いつも言っています。

――ミスはどうやって選びますか

 2種類の選び方があります。マリアローザの表彰だけを担当するミスたちは、メーンスポンサーのバロッコ社がコンクールを通して選んでいます。書類審査をクリアした女性たちの写真とプロフィールをフェイスブックに載せ、ファンに投票させます。トップの10人が実際にバロッコ社で審査を受け、2人だけ選ばれます。参加資格は、18歳以上であることと、クルマの運転免許証を持っていること。そして、RCS Sportsが独自の基準で残りの4人を選びます。


(ミスたちの仕事を追ったバロッコ社の公式ビデオ =2013年)

2時間かけてしっかり化粧

――ミスたちは、選手たちを祝福すること以外はどんな活動をしていますか

 仕事は朝から始まります。まずは与えられた制服をきれいにし、スポンサーから提供されたクルマを洗車します。移動のためにミスたちに車が支給されていますが、毎日掃除しなくてはいけません。掃除が終ると、軽く化粧をします。午後1時に、ゴールにある「ジロラウンジ」と呼ばれる特設スペースに移動し、ここで会場を盛り上げるDJたちのゲームやトークに参加したり、ゲストと会話を交わしたりします。午後3時、ジャージのファッションショーを行い、その後に2度目の化粧をします。

――なぜですか?

 ポディウムに登る時は、女性はきれいに輝かないとダメです。私が現役の頃は1時間以内に化粧を済ませていましたが、現在は映像がHDになっているので、できる限り2時間かけてしっかりと化粧を施してほしいです。メークアップアーティストがいないので、全部自分でやります。

ステージ優勝、ポイント賞、山岳賞、新人賞は4人のミスが交互に登場する<写真・砂田弓弦>ステージ優勝、ポイント賞、山岳賞、新人賞は4人のミスが交互に登場する<写真・砂田弓弦>
登壇するミスの組み合わせは固定されている<写真・砂田弓弦>登壇するミスの組み合わせは固定されている<写真・砂田弓弦>

――ミスが注意すべきことはありますか

 はい。まずは絶えず笑顔を見せる必要があるため、健康管理や疲れをうまくコントロールしなくてはいけません。仕事が終わってから、すぐに次のステージのゴール地に移動して、ホテルで休んでもらいます。食事にも気をつけないとだめ。食事は全て無料ですので、ストレスや疲労による食べ過ぎに要注意。私も12日間で6kg太った経験がありますが、母に叱られました(笑)。

――お給料を聞いていいですか?

 基本給は2500ユーロ(約34万円)ですが、その後にボーナスなどがあります。最終的にミスたちの努力次第ですね(笑)。

――最後の質問ですが、キャラバン隊はどこで見ることができますか。

 キャラバン隊は常に移動します。ガゼッタ・デッロ・スポルトの公式ホームページでは、詳細なスケジュールが掲載されていますので、現地で観戦される方はぜひ参考にしてください。

――グラツィエ、ヴィルジニアさん


(キャラバン隊の公式ビデオ)

◇         ◇

 ジロの主人公はもちろん選手たちですが、レースを支える各チームのスタッフ、ボランティア、行政、警察官たちもとても大事な存在。ところが、なかなか彼らにはスポットが当たりません。Cyclistに掲載されている、チームNIPPO・ヴィーニファンティーニ・デローザのメカニック、福井響さんのレポートはレースの舞台裏を知るための貴重な情報です。ぜひ読んでみてください。

 最後にお知らせです。次回で「つれづれイタリア~ノ」がスタートして50回を迎えることになりました。みなさんの期待に応えるため、特別な企画を準備しますので、楽しみにしてくださいね。

文 マルコ・ファヴァロ

マルコ・ファヴァロMarco FAVARO(マルコ・ファヴァロ)

イタリア語講師。イタリア外務省のサポートの下、イタリアの言語や文化を世界に普及するダンテ・アリギエーリ協会で、自転車にまつわるイタリア語講座「In Bici」(インビーチ)を担当する。サイクルジャージブランド「カペルミュール」のモデルや、Jスポーツへ「ジロ・デ・イタリア」の情報提供なども行なう。東京都在住。ブログ「チクリスタ・イン・ジャッポーネ

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