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JR東日本が主催した「トレイン&バイシクル」の旅サイクルトレインで出発進行! 「Station Ride in 南房総」で地域の魅力とグルメを満喫

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 東京・両国からサイクルトレインに乗って千葉・館山を訪ね、サイクリングを楽しむイベント「Station Ride in 南房総」が11月8日に開催された。イベントでは、JR東日本千葉支社が運行する団体専用臨時列車「サイクルトレイン南房総」を使用する方法と、現地集合・解散の2つの参加方法がある。昨年に続き第2回目の開催となった今回は、コース、エイドステーションともにレベルアップ。Cyclistでは今年も、サイクルトレインに乗ったイベント参加レポートをお届けする。(写真・文 大星直輝)

JR館山駅で団体専用臨時列車「サイクルトレイン南房総」をホームで待つ「Station Ride in 南房総」参加者JR館山駅で団体専用臨時列車「サイクルトレイン南房総」をホームで待つ「Station Ride in 南房総」参加者

乗車時間およそ2時間、走行距離はより長く

「サイクルトレイン南房総」と記念撮影する参加者「サイクルトレイン南房総」と記念撮影する参加者

 JR両国駅に到着すると、すでに専用列車が鎮座していた。外見は、普段は通勤列車として使われている209系6両編成の車両。列車の中は、片側半分の座席がビニールシートで覆われるとともに、つり革にはタイラップが吊るされ、床に後輪固定用のスタンドが置かれていた。この方式は自転車を固定することができる上、愛車に傷がつくこともなく、合理的かつ安全に自転車を運ぶことができた。

JR両国駅の団体客専用ホームは装飾も凝っているJR両国駅の団体客専用ホームは装飾も凝っている
列車内での自転車の固定はスタッフが手伝ってくれた列車内での自転車の固定はスタッフが手伝ってくれた
列車の前後には専用エンブレムが。これを狙う鉄道カメラマンも数人いた列車の前後には専用エンブレムが。これを狙う鉄道カメラマンも数人いた
車内にて。ずらりと並んだ自転車は壮観車内にて。ずらりと並んだ自転車は壮観

 サイクルトレイン南房総は両国駅を午前7時07分に出発し、途中で千葉駅に停車、そこから館山駅まではノンストップで向かった。昨年の開催での終着駅は和田浦駅だったが、今回は館山駅へ午前9時21分に到着。乗車時間は約3時間から2時間14分へ短縮される一方、イベントの走行距離は75kmから85kmに延長された。

初めて入った本物の車掌室に大喜び!初めて入った本物の車掌室に大喜び!

 さらに今回はCyclistで「自転車のススメ」を連載する強力な助っ人、モデルのRENさんも同行。ご存知の方も多いと思うが、RENさんはかなりの鉄道好き。「黒砂信号場(※)に停車してる!」といった感嘆にはじまり、「電車は個人では所有することができない。自分にとってアイドル」「できれば鉄道運転手になりたかった」「EF62系が一番好き。足回りが特に」などと、同行のJR社員たちも驚く“鉄っぷり”を披露し、館山駅到着前に疲れてしまうのではと心配するほどの興奮ぶりだった。車内ではゲストMCの蒲田健さんによる案内の後、イベントの参加受付を行い、皆思い思いに到着までの時間を過ごした。

※貨物列車の待避や千葉駅発着列車の折り返しに使用される。一部団体専用列車を除き、定期ダイヤでの一般旅客列車は入線することはない。

行きの車内で知り合ったと言う参加者。「Station Ride in 南房総」は参加者の4割が女性という華やかな雰囲気行きの車内で知り合ったと言う参加者。「Station Ride in 南房総」は参加者の4割が女性という華やかな雰囲気

 スタート及びゴール地点は、館山駅より数百mの北条海岸駐車場に設置。海の真横という絶好のロケーションだ。サイクルトレイン組の出発時間は午前9時50分。現地集合組はすでに午前8時30分にスタートしていたそうで、残念ながらゴールまでに出会うことはできなかった。

 スタートは上級レベル(平均時速22km目安)、中級レベル(平均時速20km目安)、初級レベル(平均時速18km目安)の3段階に分かれていて、自己申告で走りたい班に並び、ボランティアのライダーが前後引率して走るスタイルだった。サポートに参加したJプロツアーライダーの松尾修作さん(ニールプライド)、金子大介さん(ボンシャンス)、松崎祥久さん(アクアタマ)らは、「きょうはレースではないので、自分たちも楽しんで走りたい」と口をそろえた。

左からプロライダーの松尾さん、金子さん、松崎さん左からプロライダーの松尾さん、金子さん、松崎さん
行きの終着駅・館山で「いくぞー!」とライドの気合を入れるRENさん行きの終着駅・館山で「いくぞー!」とライドの気合を入れるRENさん

中級から初級へレベル移行しゆっくりペース

 当日の天気予報は曇りのち雨。行きの列車から怪しい雲行きだったが、スタート直後にポツポツときた。とりあえず中級レベルの班でスタートしてみたが、平均時速25kmと“目安のスピード”の上をいく結構良いペースが続いた。今回のルートは、前半に南房総を西から東へ横断する。穏やかなアップダウンのある丘陵地帯を走り、椰子の木が並んだ道を進むと南国気分に浸ることができた。

ヤシの木の道を軽快に走り抜ける参加者ヤシの木の道を軽快に走り抜ける参加者
第1エイドステーションにて配られたみかんドーナツ。ジューシーな食感でおいしい第1エイドステーションにて配られたみかんドーナツ。ジューシーな食感でおいしい

 あっという間に、最初のエイドステーション「道の駅三芳村・鄙(ひな)の里」に到着。ここでは、地元のみかんを使用した「みかんドーナッツ」が提供され、香りがよく甘さも控えめでとてもおいしくいただいた。南房総は温州みかんの栽培が盛んで、この時期はみかん狩りもできるそうだ。

 その後は、「もうちょっとペースを落としてゆっくり行きたい」という参加者とともに次の初級組を待って出発。田園地帯を走りながら、道沿いに沢山の牛が飼われているのが見えた。参加者からは、「大きい~」と声があがった。軍馬の生産が盛んだった1728年に、徳川吉宗がインド産の白牛を輸入して乳製品を作ったのがこの辺りとされ、日本の“酪農発祥の地”とも言われている。

南房総のゆるやかな丘陵地帯を抜けて走る南房総のゆるやかな丘陵地帯を抜けて走る
第2エイドステーションで提供されたアイスは、温まった身体でおいしく食べられた第2エイドステーションで提供されたアイスは、温まった身体でおいしく食べられた

 海が見え、数km進むと「道の駅和田浦WA・O!」に到着した。ここが昨年のスタート地点。全長26mのシロナガスクジラの骨格標本が迫力満点だ。ボリュームたっぷりのアイスが振る舞われ、「11月の雨の中で?」と思われるかもしれないが、運動直後で身体も温かく、さっぱりとした味わいが好評だった。東京から参加した岡安香織さんと阿部みずきさんは、「アイスおいしい~」と満面の笑みで完食していた。

東京から参加の岡安香織さん(左)と阿部みずきさんは、一緒に自転車を始めて早半年「アイスおいしい~」と完食東京から参加の岡安香織さん(左)と阿部みずきさんは、一緒に自転車を始めて早半年「アイスおいしい~」と完食

温かい雨も「楽しみましょう!」

雨上がりの第3エイドステーション。目の前には海が開けていた雨上がりの第3エイドステーション。目の前には海が開けていた

 ここからゴールまではずっと海沿いの道、房総フラワーラインを走った。道もそれまでより広くなり、見通しが良いので走りやすい。「さぁ、海を眺めながらの気持ちのよいサイクリング!」といきたいところだったが、スタートから降ったり止んだりと微妙だった雨が、ここへきてついに本降りに。

 ザーザーと音をたてて降る中、水しぶきを上げながら慎重に進んだ。事前の雨情報でレインウェアを着ていたことと、ここ南房総がやはり暖かいからなのだろうか、寒さはそれほど感じなかった。サポートライダーの方と、「ここまで濡れちゃうと逆にもう何も気にしなくていいですよね」と笑いながら走る。また「こんな時ほど楽しみましょう」と素敵な言葉をいただき、心は晴れやかな気持ちで走っていた。

 すると、遠くの方が明るくなってきて、雨も弱まってきた。3カ所目のエイドステーション「道の駅ちくら潮風王国」に着いた頃には雨もほとんど止み、「さんがバーガー」と「サザエコロッケ」を頬張った。さんがバーガーとは地元の漁師料理のさんが焼き(青魚の身に味噌と薬味を入れて粘りが出るまでたたいたなめろうを焼いたもの)を挟んだバーガーのこと。ふんわりとしたバンズとともに、海の味が口の中に広がった。海の幸を、目の前に海を見ながら食べられる幸せ…。

おいしい「さんがバーガー」をどうぞ!おいしい「さんがバーガー」をどうぞ!
ご当地グルメ「さんがバーガー」は、参加者から一番おいしかった」の声が多数ご当地グルメ「さんがバーガー」は、参加者から一番おいしかった」の声が多数
海沿いの橋を渡る参加者海沿いの橋を渡る参加者

 先頭の上級組は、タイミング的に大雨の中で食べることになってしまったようだが、それでも「このバーガーが一番おいしかった」との声が多数聞かれた。

 千葉県最南端の野島崎灯台を写真に収めて走りだすと、その先の海岸線にはゴツゴツとした岩肌が目立ってきた。そして、天候は完全に回復。日差しが照り始め、身体も軽くなってきた。

ゴツゴツとした岩が続く海岸線を横目に走るゴツゴツとした岩が続く海岸線を横目に走る

 最後のエイドステーション、館山ファミリーパークでは、ドラゴンフルーツジュースをいただいた。ドラゴンフルーツは、メキシコや東南アジアでの栽培が盛んなサボテン科の植物。さすが温暖な南房総。こんなジュースを作れてしまうなんて。見た目はスイカジュースに思いっきり紫とピンクを混ぜた感じで、蛍光色のようなものすごいインパクトがある。思い切って口にすると、ほんのりとした甘みと酸味がほどよくマッチして、濃厚ではあるが意外に優しい味。ビタミンやミネラルなどが豊富らしく、身体に染み渡っていくように感じた。

東京から参加の飲み仲間3人は、初めて自転車イベントに参加。RENさんと一緒に記念撮影東京から参加の飲み仲間3人は、初めて自転車イベントに参加。RENさんと一緒に記念撮影
蛍光色っぽいドラゴンフルーツジュース。意外に優しい味わい蛍光色っぽいドラゴンフルーツジュース。意外に優しい味わい

長く続ける“地域再発見”イベントへ

ゴール近く、最後の登りを走る参加者ゴール近く、最後の登りを走る参加者

 少しばかりのアップダウンをこなして、無事にゴール地点の北条海岸に到着。完走の記念ピンバッジと「館山メンチ」、クリームパンが提供された。最終走者が無事ゴールするのを見届けて、館山駅に向かった。心配していた雨には、後半は降られる事もなく、それまで濡れていた服もすっかり乾いていたので、帰りの電車でも快適に過ごすことができた。

 前回に比べ、エイドステーションの食べ物がかなり充実し、参加者からの評判は非常に良かった。途中、あいにくの雨となってしまったので、「温かい汁物系があればもっと良かった」との声も聞かれた。

「おつかれさま~」、ゴールは笑顔のスタッフが迎えてくれました「おつかれさま~」、ゴールは笑顔のスタッフが迎えてくれました
普段はヒルクライムレースに参加することが多いという山本さん(左)と本間さんも無事完走普段はヒルクライムレースに参加することが多いという山本さん(左)と本間さんも無事完走
最終ゴールの参加者は、スタッフとお友達が温かい拍手で出迎え最終ゴールの参加者は、スタッフとお友達が温かい拍手で出迎え
「Station Ride in 南房総」完走記念のピンバッジ「Station Ride in 南房総」完走記念のピンバッジ
サイクルトレインに乗りこむ参加者サイクルトレインに乗りこむ参加者

 グループで走るメリットには、皆で走る楽しさと、コースを間違えないなどの安心感がある。その反面、遅れてはいけないといった気持ちも生まれてしまう。参加者からは、「平均時速22kmと言われた上級レベルが、実際は時速30kmくらいで、ついていくのに必死だった」といった声も聞かれ、事前の情報とのくい違いがあったようだ。

今年で2回目の参加となる宮川悦彦さん、佳寿絵さん夫妻今年で2回目の参加となる宮川悦彦さん、佳寿絵さん夫妻

 例えば、途中好きなものを食べたり写真を撮ったりしながら走る“マイペース派”といったグループがあれば、より南房総の魅力に触れられるかも知れない。夫婦で2回目の参加となった宮川悦彦さんと佳寿絵さんは、「今回はエイドがかなり良くなった。もっといろんなもの買って食べられれば、地元にも参加者にも良いのでは」と今後の発展に期待した。

 Station Ride in 南房総の担当者は、「皆さんが千葉県の魅力を知ってもっと遊びにきてもらえるように、JRの掲げる『地域再発見プロジェクト』の一環として今後も長く続けていきたい」と話しているので心強い。参加者からは、「春と秋、年2回開催して欲しい」との声が聞かれるなど、早くも大会のファンが生まれているようだ。

途中停車したJR千葉駅。千葉駅で降りるRENさん。ここで降りる参加者は輪行バッグが必要途中停車したJR千葉駅。千葉駅で降りるRENさん。ここで降りる参加者は輪行バッグが必要
前回も参加した井出康那さんは「上級レベルで参加したが、思ったよりペースが速くて大変だった」前回も参加した井出康那さんは「上級レベルで参加したが、思ったよりペースが速くて大変だった」

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