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山下晃和の「ツーリングの達人」・アジア編<1>“旅ヂカラ”が問われる自転車旅だから面白い さぁネパール・インド・バングラデシュへ

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 昨年の10月に東北2日間のツーリングレポートを書いてから、およそ1年。その後もいろいろなところへ旅に出かけ、今夏は青森、福島、茨城などに自転車を連れて行きました。そして2014年9月末から10月末までの1カ月プラス1週間、ネパール、インド、バングラデシュの3カ国(加えてちょっとだけスリランカ)を目指して、海外自転車旅に行ってきました。(山下晃和)

ネパールの美しいライステラスを眺めながら朝食をとった後、朝焼けと共に走り出す準備。“晴れ”を予感させる美しい朝日です。写真に写るのはネパールを一緒に旅した友人の沖本くんネパールの美しいライステラスを眺めながら朝食をとった後、朝焼けと共に走り出す準備。“晴れ”を予感させる美しい朝日です。写真に写るのはネパールを一緒に旅した友人の沖本くん

自転車旅好き同士が目指した行き先

およそ2年ぶりの海外自転車旅。ワクワクしないわけがない! パニアバッグ、フロントサイドバッグ2つ、フロントバッグを搭載した“フルパニア”状態およそ2年ぶりの海外自転車旅。ワクワクしないわけがない! パニアバッグ、フロントサイドバッグ2つ、フロントバッグを搭載した“フルパニア”状態

 2輪の乗り物でめぐる旅には、知識、体力、アウトドア力、まして海外となると言語力などさまざまな“旅ヂカラ”が試されるので、面白い。最近は、新たな相棒であるYAMAHAの「セロー250」というエンジン付きのオフロードバイクも購入し、日本各地の山々をオートバイでも旅してきました。

 今回はその行き先を、なぜネパールにしたのか?

 僕は、自転車と同じくらいトレッキングが好きで、ヒマラヤの一部を登山してみたいという希望がありました。ほかにも以前、中国、東南アジア、中米、南米と旅をしたときに、そこで出会った日本人のバックパッカーたちが、口をそろえて「インドはすごい」と言っていたのがずっと気にかかっていました。

 「すごい」が指す意味のなかには、「気に入った」という人もいれば「もう二度と行かない」という人も。僕はそれで、「これはぜひ見てみたいな」と思ったのです。

ネパールと言えばエベレスト。可能な限り高いところへ登山したいと思っていました。これは標高4200m付近の山小屋でネパール名物チャイで休憩しているところネパールと言えばエベレスト。可能な限り高いところへ登山したいと思っていました。これは標高4200m付近の山小屋でネパール名物チャイで休憩しているところ
ネパールで一番大きいチベット仏教寺院、ボダナート。この日は、ビッグラマと呼ばれる高僧が来ていたため、大勢の信者で混雑していましたネパールで一番大きいチベット仏教寺院、ボダナート。この日は、ビッグラマと呼ばれる高僧が来ていたため、大勢の信者で混雑していました

 それが“自転車”旅になったきっかけは、高校の同窓生である沖本真くんと「ネパールを自転車で走りたいね」と話に花を咲かせたことにありました。沖本くんは、自転車旅が大好きで、国内ツーリングだけでなく、台湾一周をしたこともあるほど。彼はまた、チベット仏教に大きな興味を持っていました。バックパッカーをしていた学生時代、たまたま訪れたインドの北西部パキスタンとチベット自治区に挟まれた「ラダック」でチベット仏教に出会い、感動した経験があるのだそうです

 ネパール北部のヒマラヤ地帯にはチベットから亡命して来た人も多く、チベット文化が色濃く残っています。要するに、僕ら2人の興味が合致した場所、それがネパールだったのです。そしてせっかく行くのであれば、「周辺の国々も含めて南アジア一帯を走ってみよう」と、計画を立てたのでした。

ルートは複合的に設定

今回のルートは、ネパール、インド、バングラデシュ(ちょっとだけスリランカ)

 自転車旅のルート設定におけるスタート地は、1つの理由ではなく、複合的に各側面から考えることが重要だと思います。僕はかつて東南アジアに行ったときに、香港からスタートして大失敗をしました。香港では、あまり自転車で走ることができなかったのです。ただ行ってみたいからといって安易に決めるやり方は、落胆に終わることがあるということです。

 今回は、標高が高いネパールからインドに抜けて走ることで、下り基調の道を選択できることをメリットとして考えました。また、高地から低地に行けば身体が徐々にラクになっていくこと、南アジア特有のカレー主体の食事などの衛生面、治安に慣れてからインドやバングラデシュに入れることなども考慮しました。

ネパールは首都カトマンズからポカラまでが山岳エリア、南のタライが平原エリア。バリエーションがあるので、景色に飽きることはないでしょうネパールは首都カトマンズからポカラまでが山岳エリア、南のタライが平原エリア。バリエーションがあるので、景色に飽きることはないでしょう
ネパールの定番中の定番。ダル(豆)バート(米)という定食は最高においしい! 観光地を除けば、およそ150円から300円くらいが相場でしょうか。味付けはだいたいカレー風味ネパールの定番中の定番。ダル(豆)バート(米)という定食は最高においしい! 観光地を除けば、およそ150円から300円くらいが相場でしょうか。味付けはだいたいカレー風味

 ネパールに行く時期(季節)も、ちゃんと狙っていました。10月に乾季がスタートするので、9月末であれば雨季もそろそろ終わり。雨に降られることは少なく済むはずです。さらにトレッキングをする際、日本よりも赤道に近い分、10月であれば標高が高くても気温はそれほど低くなりません。

航空券とビザの準備はぬかりなく

Cyclist編集部を訪れ、地図を見ながら旅のルートを説明する山下晃和さん(2014年10月、柄沢亜希撮影)Cyclist編集部を訪れ、地図を見ながら旅のルートを説明する山下晃和さん(2014年10月、柄沢亜希撮影)

 8月後半から沖本くんとのミーティングを開始。2人で一緒に走るのは途中までなので、同じ頃に各自でエアチケットを予約しました。沖本くんは、行きの空港と帰りの空港が違う“オープンジョー”と呼ばれるチケットで、日本からネパール、インド(コルカタ)から日本のチケットを購入していました。

 僕は、ネパールへの片道のチケットだけを購入し、帰りはインドのコルカタか、バングラデシュのダッカかどちらかで手配することにしました。ただし国によっては、帰国便のチケット、もしくは第三国行きのチケットが必要だという場合もあるようです。事前に大使館などで確認したほうがいいでしょう。

ヘルメットはKABUTOの抗菌消臭ストラップを用いた「ステアー」で、頑強なサングラスは防弾レンズを用いたESSの「ロールバー」。ネパールでは、スピードを出すバスが自転車のギリギリ横を通るので、ヘルメットとサングラスがないと非常に危険です。ガソリンの質が悪いせいか、裸眼でいると目が痛くなりますヘルメットはKABUTOの抗菌消臭ストラップを用いた「ステアー」で、頑強なサングラスは防弾レンズを用いたESSの「ロールバー」。ネパールでは、スピードを出すバスが自転車のギリギリ横を通るので、ヘルメットとサングラスがないと非常に危険です。ガソリンの質が悪いせいか、裸眼でいると目が痛くなります

 また南アジア諸国は、ビザが必要です。ネパールでは、入国地で発給される“アライバルビザ”(VOA)を空港で取得できることが分かっていたので、日本ではインドとバングラデシュのビザを取得していきました。

 インドは、大使館ではなく東京・茗荷谷(みょうがだに)にある「インドビザ発給センター」で(だいたい2500円)、バングラデシュは東京・目黒にある大使館で(無料)それぞれ取得しました。インドビザは、PCで打ち込んでプリントアウトしたものを提出する方式だったのですが、一文字間違っていたり、日付が間違っていたりすると受け取ってもらえないので、慎重に作業しました。

不安に包まれた到着の夜

成田空港で自転車の入っている段ボール箱を載せて、キャリーで運ぶところ。この箱は、JALの「ABC空港宅配サービス」(2014年9月現在3240円)を使って空港まで送ることができます成田空港で自転車の入っている段ボール箱を載せて、キャリーで運ぶところ。この箱は、JALの「ABC空港宅配サービス」(2014年9月現在3240円)を使って空港まで送ることができます

 僕と沖本くんは9月23日、別々の便でネパールの首都カトマンズにあるトリブバン国際空港に到着。夜の11時、幸いアライバルビザの発給場所に並んでいたところで沖本くんの背中を発見しました。トリブバン国際空港はそれほど広くはなく、なんとなく暗い照明が旅人を不安にさせます。

 ビザ代をUS40ドル払った後、預かり荷物を受け取る場所へと移動。自転車の段ボール箱を乱雑に扱うネパール人に、「Take care!」と注意を促しながら、段ボール箱を受け取りました。少額のネパールルピーを両替し、大きめのタクシーをカウンターで手配しました。

 あまり自転車の箱を倒してほしくなかったものの、運転手は無理やりバンの後部座席の上に横積み。片言の英語で「ホテルまで連れて行く」と言っていましたが、外は真っ暗でスコールのような大雨が降り始めました。どこを走っているのか見当がつかず、心細さが募っていきました。

 すっかり不安になったところで、ホテルの前に到着。値段交渉もそこそこに、ほかのホテルと見比べるわけでもなくそこに決め、長い飛行機旅に疲れた身体をベッドに横たえ眠りにつくのでした…。

ネパール到着の夜はホテルの1階に自転車の箱を置かせてもらい、3階の部屋で長い飛行機の旅で疲れた身体を休めることにしましたネパール到着の夜はホテルの1階に自転車の箱を置かせてもらい、3階の部屋で長い飛行機の旅で疲れた身体を休めることにしました
翌朝起きると、意外といいホテルだということに気づきました。沖本くんは「ナマステ」のポーズ。これから、ベランダのようなところで自転車を組み上げます翌朝起きると、意外といいホテルだということに気づきました。沖本くんは「ナマステ」のポーズ。これから、ベランダのようなところで自転車を組み上げます

◇         ◇

 次回は、ネパール編。“世界の屋根”ヒマラヤが舞台の自転車旅です。民族、宗教、言語、食文化、何もかもは違う生活――これから始まるアドベンチャー、お楽しみに!

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山下晃和山下晃和(やました・あきかず)

タイクーンモデルエージェンシー所属。雑誌、広告、WEB、CMなどのモデルをメインに、トラベルライターとしても活動する。「GARRRV」(実業之日本社)などで連載ページを持つ。日本アドベンチャーサイクリストクラブ(JACC)評議員でもあり、東南アジア8カ国、中南米11カ国を自転車で駆けた旅サイクリスト。その旅日記をもとにした著書『自転車ロングツーリング入門』(実業之日本社)がある。趣味は、登山、オートバイ、インドカレーの食べ歩き。ウェブサイトはwww.akikazoo.net

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