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栗村修の“輪”生相談<34>30代男性「初めてのロードレース参加で、どのクラスに出ようか迷っています」

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 初めてロードレースに参加しようと検討中ですが、クラス分けでどのクラスに出ようか迷っています。

 正直、今の自分がどのクラスなのかわからないですし、クラスで弱すぎても、また、強すぎて周りから浮くような存在でレースを壊しても迷惑かなと…。たいていはビキナーとかエキスパートなどに分かれていると思いますが、簡単にクラスを「上・中・下」と想定した場合、時速や無理なく走れる距離などを考慮し、どんな基準で決めればいいですか?

(30代男性)

 これまた、いい質問ですね。ということは、回答に迷うということです。

 ロードレースの世界での「強さ」には、非常に多くの要素があります。マーク・カヴェンディッシュは世界最強レベルのスプリンターですが、山岳コースでは完走も危ういくらいです。彼はスプリント競技ならトップクラス、山岳ならクライマーに軽く千切られてしまうでしょう。

 あるいは、同じオールラウンダーでも、ヴィンチェンツォ・ニバリが石畳の上で適性を見せたのに対して、アルベルト・コンタドールがずるずると遅れたり。難しいですね。

 指標というと、今一番流行っているのは、パワーです。ただ、パワーメーターは高価ですし、そのパワーにしても、領域が色々ある。1時間(LT、ATあるいはFTP)、20分、5分、3分、1分、10秒…。そのすべてが万遍なく強い、ということはありませんから、上のカヴェンディッシュの話じゃないですが、そのまま目安にはならないんです。

計測機器の発達した現代では、さまざまな指標をテストすることが可能だ <砂田弓弦撮影>計測機器の発達した現代では、さまざまな指標をテストすることが可能だ <砂田弓弦撮影>

 まあ、難しく考えず、あえて古典的な方法をご紹介しましょう。ますは峠のタイムアタックです。峠のタイムは、体重当たりのパワーである、「パワーウエイトレシオ」をかなり正確に反映してくれます。有名な峠ならば、あの強豪ホビーレーサーが○○分で上った、など目安があるはずですから、参考になります。

 もう一つお伝えしたいのが、「独走」と「個人追い抜き」のタイムです。これは、僕が現役だったころは強さのひとつの基準だったのですが、最近はあまり話題になりません。

 独走というのは、1000mのタイムトライアル、個人追い抜きというのは、4000mのタイムトライアルです。本来はバンクでピストバイクを使って計測しなけらばならないので、ある意味パワーメーター以上に敷居は高いのですが、バンクに行かなくても安全な場所で、風のない日に行えば、近いデータはとれるかもしれません。独走で1分15秒、個人追い抜きで5分15秒を切れたら相当強いですが、それは条件のいい路面での話です。路面が悪ければ、もう少し甘く見ていいでしょう。

 ただ、峠や平地のタイムトライアルにしても、パワーにしても、脚力のひとつの指標にすぎないのは確かです。ロードレースには、脚力以外にもテクニックや慣れの要素もあります。そして、それはパワーメーターなどで計ることはできないんですよ。だから、一概にこのクラス、とは言えません。

 クラス分け以上に重要なのは、エントリーのしかたです。

日本最大のホビーレース大会、「シマノ鈴鹿ロードレース」 <米山一輝撮影>日本最大のホビーレース大会、「シマノ鈴鹿ロードレース」 <米山一輝撮影>

 エントリーは、下のクラスから始めるのが鉄則です。日本ではルール化されていない場合が多いのですが、海外では、それが徹底されています。というのも、実力がなく、レースに慣れていない人が混じると、落車の原因になり危険だからですね。

 ですから、質問者さんがどんなに脚力に自信があっても、まずは一番下からはじめてください。強さ=脚力ではまったくありません。よくあるのが、マラソンなどで鍛えた強いフィジカルを持った人が上のクラスから初レースにチャレンジしてしまうケース。これは危険です。フィジカルが強くて、テクニックがないというのが一番危ない。

 ただし、入門クラスだと、速度は遅いですが、落車リスクが多いという欠点があります。それを避けるためには、前のほうに陣取るのがいいでしょう。フィジカルに自信があり、チームでの集団走行にも習熟している、というならば中級クラスからはじめる手もありますが、そういうケースは多くないと思います。
 
 まあ、なにごともはじめは大変です。悩みますよね。でも、一回でも出場すればご自身のクラスがわかるはずです。安全に、楽しんでください。

(編集 佐藤喬)

回答者 栗村修(くりむら おさむ)

 一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役、ツアー・オブ・ジャパン 大会副ディレクター、スポーツ専門TV局 J SPORTS サイクルロードレース解説者。選手時代はポーランドのチームと契約するなど国内外で活躍。引退後はTV解説者として、ユニークな語り口でサイクルロードレースの魅力を多くの人に伝え続けている。著書に『栗村修のかなり本気のロードバイクトレーニング』『栗村修の100倍楽しむ! サイクルロードレース観戦術』(いずれも洋泉社)など。

※栗村さんにあなたの自転車に関する悩みを相談してみませんか?
 ml.sd-cyclist-info@sankei.co.jpまでお寄せください。

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