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若手が競う最高峰のレース「ネイションズカップ」徳田鍛造、黒枝士揮らU23日本ナショナルチームが挑んだ欧州連戦 浅田監督はチーム連携を評価

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 浅田顕監督率いるロードレース男子のU23日本ナショナルチームが、3月から4月にかけてヨーロッパ遠征を行なった。メンバーは、全日本U23チャンピオンの徳田鍛造(鹿屋体育大学)をはじめ、清水太己、面手利輝、岡篤志、内野直也(いずれもEQA U23)、4月から合流した石橋学、黒枝士揮(ともにヴィーニファンティー二・NIPPO・デローザ)の7人。彼らが経験を重ねていく様子を、フォトグラファーの田中苑子さんが追った。

27カ国のナショナルチームとともにスタートを切ったU23日本ナショナルチーム27カ国のナショナルチームとともにスタートを切ったU23日本ナショナルチーム

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世界で戦える証のポイントを目指し集結

2014年の遠征に参加した7人のJCF強化選手と浅田顕監督(左)2014年の遠征に参加した7人のJCF強化選手と浅田顕監督(左)

 U23日本ナショナルチームはJCF強化選手で構成。4月中旬のUCI(国際自転車競技連合)ネイションズカップ3連戦に参戦し、そこでネイションズカップポイントを獲得することを今回の大きな目標としていた。

 UCIが主催するネイションズカップは、アンダー23とジュニアカテゴリーの国別チームで競い合う、ワールドカップのようなシリーズ戦。第1戦「ツール・ド・フランドルU23」(ベルギー)、第2戦「ラ・コート・ピカルド」(フランス)、第3戦「ZLMツアー」(オランダ)と難度の高いレースが続く。U23カテゴリーでは世界トップクラスの選手が出場し、プロをめざす選手の登竜門としても名高い。若い選手たちにとっては最高峰の大会だ。

 この3連戦で上位15選手(国)にネイションズカップポイントが与えられ、そのポイントは“U23版ツール・ド・フランス”と言われる「ツール・ド・ラヴニール」への出場枠のほか、世界選手権の出場枠へもつながる。2013年の世界選出場枠を逃している日本は、なんとしてもこのポイントを獲得したいと考えていた。

「GPリベラッツィオーネ」(イタリア)を完走した清水太己に歩み寄る浅田顕監督「GPリベラッツィオーネ」(イタリア)を完走した清水太己に歩み寄る浅田顕監督

 浅田監督率いるU23日本ナショナルチームは、2013年から参戦を始めた。昨年の成績は、最高位が第2戦の17位。浅田監督は「当時は連戦のためだけの即席チームだった。強い選手が集まっていたけれど、ゴール前での連携はできていなかった。うまくチームで連携できれば、もっと上位を狙えた」と振り返った。

 今年はネイションズカップに向けて3月から選手を招集し、フランスを拠点に強化合宿を行なってきた。トレーニングでは、日本人選手の弱点であるスピードや集団走行などを、アマチュアレースでの実戦を交えながら磨いていったという。

勝負の第2戦、ゴールスプリントへ

ネイションズカップは3戦ともたくさんのナショナルチームが参加し、世界選手権のような雰囲気ネイションズカップは3戦ともたくさんのナショナルチームが参加し、世界選手権のような雰囲気

 ネイションズカップ第1戦、ツール・ド・フランドルU23は4月12日に開催された。その名のとおり、“クラシックの王様”と呼ばれる「ツール・ド・フランドル」のU23版で、エリートのレースと同じく荒れた石畳が次々に登場するコースが使われる。第2戦ラ・コート・ピカルドは4月16日開催で、いくつかの起伏を含むフランス・ノルマンディ地方のレース。ラストの第3戦ZLMツアーは4月19日で、オランダの海岸線沿いのコースには特有の強風が吹きつける。

 今回の強化メンバーの脚質や経験から、U23日本ナショナルチームは第2戦に狙いを定めていた。ほかの2レースに比べると、178.6kmのコースは難易度が低く、ゴールスプリントになる展開もふまえて挑んだ。

「ラ・コート・ピカルド」で、一面の菜の花畑を横目に走り抜ける選手たち「ラ・コート・ピカルド」で、一面の菜の花畑を横目に走り抜ける選手たち

 ただ、レースが始まってみれば、細い道が続いて落車が頻発する展開に。そんな中、エースを託された黒枝が、面手とともに終盤までメイン集団に残った。最後の登坂で9人の逃げに先行されるも、2選手ともポイント圏内の15位までを争うゴールスプリントへと持ち込んだ。

 面手が「絶好のタイミングだった」というリードアウトで、黒枝がスプリントを仕掛けたが、残り100m、斜行する選手と接触して黒枝がクラッシュ。目標だったポイント獲得が見えていたところでアクシデントに巻き込まれ、非常に悔しい結果となった。

27カ国のナショナルチームが参加したネイションズカップ第2戦。レース前に緊張感が漂う27カ国のナショナルチームが参加したネイションズカップ第2戦。レース前に緊張感が漂う
「ラ・コート・ピカルド」で落車した黒枝士揮が歩いてゴールラインを越える「ラ・コート・ピカルド」で落車した黒枝士揮が歩いてゴールラインを越える
「ラ・コート・ピカルド」を走り終えた石橋学。厳しいレースだった「ラ・コート・ピカルド」を走り終えた石橋学。厳しいレースだった

 それでも、最後まで勝負に絡めたことは選手たちの自信につながった。チームとして連携できたことを浅田監督は評価する。「結果は出せなかったけれど、ゴールまでうまく持っていけたと思う。できればあと2人くらい集団に残したかった。それは現状では力不足なので、今できることはやったと思う」

悔しさをバネに続く挑戦

イタリアで参戦した「パリオ・デル・レチオート」のスタート前。日本チャンピオンジャージを着る徳田鍛造イタリアで参戦した「パリオ・デル・レチオート」のスタート前。日本チャンピオンジャージを着る徳田鍛造

 今回の遠征でチームのキャプテンを任されたのは、大学生の徳田。合流直後は練習不足を指摘されながらも、フランスのアマチュアレースで逃げに乗ってスプリント賞を獲得するなど、調子を上げていった。ところが1戦目のフランドルで落車して首を痛め、第2戦は欠場。その後のレースでもパンクなどに見舞われ、「今回の結果は“悔しい”の一言。思い描いていたことが何ひとつできなかった」と無念さを口にした。

 徳田はさらに「お互いの長所を生かしあえるいいメンバーが集まり、チームとしてまとまることができた。今回のメンバーでもっとたくさんのレースを走りたい」と、1つの目標に向かってチームと共に過ごした2カ月間の成果を強調した。

 遠征は終了し、選手たちはそれぞれの所属先に戻っていった。今後、U23のJCF強化選手たちは、5月18日~25日の「ツアー・オブ・ジャパン」や5月22日~6月1日の「アジア自転車選手権大会」に出場。夏には再び欧州遠征が控えている。今回は、目標のネイションズカップポイントや、それに伴う世界選手権の出場枠を獲得することはできなかったが、まだ世界選手権の出場枠を獲得するチャンスは残されている。経験を積み重ねたU23日本ナショナルチームの挑戦は続く。

写真・レポート 田中苑子

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ジュニア・U23 ツアー・オブ・ジャパン2014 日本ナショナルチーム

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