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カウベルグで王者復活のアタックフィリップ・ジルベールがアムステルゴールドレースで独走勝利 新城幸也がクラシック最高位の10位

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 春のクラシック後半戦、アルデンヌクラシックの初戦となるアムステルゴールドレース(UCIワールドツアー)が20日、オランダで開催された。レースは最後の勝負どころ、カウベルグの上りでアタックを成功させたフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)が独走で3年ぶり3回目の優勝。カウベルグで好位置につけた新城幸也(チーム ヨーロッパカー)は、クラシックレースにおける日本人選手最高位となる10位入賞を果たした。

アムステルゴールドレース3勝目をアピールしながらゴールしたフィリップ・ジルベールアムステルゴールドレース3勝目をアピールしながらゴールしたフィリップ・ジルベール

34の上りと“1000のカーブ”

 大会は1966年に初開催され、今年で49回目を迎えた。オランダのビールメーカーであるアムステル社の冠をレース名としている。アムステル社はかつて、アマチュアロードレースチームを抱え、多数の選手をプロに送り出しており、伝統的に自転車競技に精通している企業でもある。

 格の高いワンデーレースが続く春のシーズン。舞台はオランダ、ベルギー南部・ワロン地域の丘陵地帯へと移した。アムステルゴールドレースは、オランダ南部リンブルフ州のマーストリヒトをスタートし、ファルケンブルフを中心として大小3つの周回を反時計回りにめぐるルートが採用される。スタートから繰り返し続く34の上りが待ち構えるほか、“1000のカーブ”と例えられる狭く曲がりくねった道を駆け巡る。距離251.4km、獲得標高は4000mを超える。

坂を上るメーン集団坂を上るメーン集団
コーナーの多いアムステルゴールドレースを走る新城幸也コーナーの多いアムステルゴールドレースを走る新城幸也

 勝負を分けるのは、おなじみの「カウベルグ」。登坂距離800m、平均勾配12%の上りは過去にさまざまなドラマを生んできた。カウベルグが決戦の地となった2012年のロード世界選手権では、上り終えてさらに1.8kmの平坦路を経てのゴールが世界中を熱狂させた。アムステルゴールドレースでも2013年大会から、世界選と同じゴールレイアウトとなっている。

 レースはスタート直後に逃げを決めた10選手が先行。40km地点で13分45秒差となったのを境に、メーン集団との差が縮小傾向に。一方のメーン集団では、有力選手が相次いで落車。ホアキン・ロドリゲス(スペイン、チーム カチューシャ)は脇腹を強打し、アンディ・シュレク(ルクセンブルク、トレック ファクトリーレーシング)は膝を負傷して、それぞれリタイアを余儀なくされた。ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ)やゲラント・トーマス(イギリス、チーム スカイ)らも途中でレースを去っている。

レースを動かした実力者たちのアタック

 レースが動き始めたのは、残り45kmのグルぺネルベルグの上り。この急坂で逃げ集団にいたニコーラ・ボエーミ(イタリア、バルディアーニ・CSF)がペースを上げると、逃げは6人に絞られた。数分後に到達したメーン集団も、オメガファルマ・クイックステップを中心にスピードアップを図る。

タイミングのいいアタックでレースを動かしたトマ・ヴォクレールタイミングのいいアタックでレースを動かしたトマ・ヴォクレール

 残り39kmでは、メーン集団のペースが緩んだ一瞬のタイミングでトマ・ヴォクレール(フランス、チーム ヨーロッパカー)がアタック。これを、グレッヒ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム)、ズデニェック・シュティバル(チェコ、オメガファルマ・クイックステップ)ら5選手がチェックし、追走集団が形成された。残り31kmのケウテンベルグの上りで、さらに3選手が合流。有力チームの2番手、3番手クラスが積極的に動いたことから、終盤に向け慌ただしいレース展開へと変わっていく。

 カウベルグを4回通過するうちの3回目を終えると、レースは残り18km。逃げ集団はクリストフ・リブロン(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル)とプレーベン・ヴァンハック(ベルギー、トップスポルト ヴラーンデレン・バロワーズ)の2人に。その後ろの追走集団もヴァンアーヴェルマートとヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ プロチーム)の2人に絞られた。一時は4選手が1つの集団となったものの、残り7kmでメーン集団に吸収された。

 いよいよ、レースは最後のカウベルグでの勝負へと向かってゆく。アスタナ プロチーム、オリカ・グリーンエッジ、BMCレーシングチームなどが集団先頭へと現れ、エースのポジション確保を行う。集団前方には新城の姿もあり、最終局面に備えた。

鮮やかなアタックでライバルを粉砕

最後のカウベルグでアタックしたフィリップ・ジルベール最後のカウベルグでアタックしたフィリップ・ジルベール

 4回目のカウベルグに向けて猛然とペースを上げたのは、サムエル・サンチェス(スペイン、BMCレーシングチーム)。これに乗じたのが、ミハウ・クフィアトコフスキー(ポーランド、オメガファルマ・クイックステップ)、サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)。そのまま3選手がサンチェスを抜いて先頭へと躍り出たものの、コースの反対サイドからジルベールが一気に抜け出した。マイヨ・アルカンシエルを獲得した2012年ロード世界選手権で見せた鮮やかな走りを思い起こさせる快走で、ライバルを一瞬にして引き離すことに成功した。

 残り1.8kmの平坦路も力強いペダリングのジルベール。牽制に入ってしまった2位以下をますます引き離していく。最後は優勝を確信しペースを落としたものの、後方からの追い上げを気にすることなく、3本の指を立てて大会通算3勝目をアピールしながらゴールラインを越えた。

(左2人目から)イエール・ヴァネンデル、息子を連れて表彰式に登場したフィリップ・ジルベール、 サイモン・ゲランス(左2人目から)イエール・ヴァネンデル、息子を連れて表彰式に登場したフィリップ・ジルベール、 サイモン・ゲランス

 2010年、2011年に続いてこの大会を制したジルベール。2011年には、アルデンヌクラシック3レースをすべて制覇する離れ業を演じている。今回の勝利は、2012年にマイヨ・アルカンシエルを獲得したときとほぼ同じ流れ。しばらくは精彩を欠く走りが続いていたが、得意とする勝ちパターンで完全復活を印象付けた。

 2位争いは、残り約800mで抜け出したイエール・ヴァネンデル(ベルギー、ロット・ベリソル)が制し、ジルベールから2秒遅れでゴールへ。こちらも長らく続いた体調不良からの復活をアピール。3位にはゲランスが続いた。

日本人選手として初のトップ10

 ジルベールのゴールから12秒後。実質第4集団となるグループで前を追い続けた新城がゴールスプリントを制し、最終的に10位でフィニッシュ。アルデンヌクラシックにおいては、初のトップ10フィニッシュを達成した。自身はもちろん、日本人選手でも初めてとなる歴史的快挙である。

アルデンヌクラシックで10位入賞という好走を見せた新城幸也アルデンヌクラシックで10位入賞という好走を見せた新城幸也

 新城と同集団にはビョルン・ルークマンス(ベルギー、ワンティ・グループゴベール)、マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)、ダヴィデ・レベリン(イタリア、CCCポルサト・ポルコヴィツェ)、ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)といったビッグネームがズラリ。この時期に合わせて調整を進めてきた選手たち相手の結果だけに、大きな価値のある結果と言えるだろう。

 これによりUCIワールドツアーの個人ポイント2点を獲得。今年9月に開催されるロード世界選手権エリート男子の国別出場枠は、このポイント獲得によって自動的に付与されるものとなっており、日本から最低でも1人は出場できる見通しとなった。

 アルデンヌクラシック次戦は、最大勾配20%を超える激坂“ユイの壁”で優勝争いが繰り広げられるフレッシュ・ワロンヌが23日に開催される。

(文 福光俊介・写真 砂田弓弦)

アムステルゴールドレース結果
1 フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム) 6時間25分57秒
2 イエール・ヴァネンデル(ベルギー、ロット・ベリソル) +2秒
3 サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) +4秒
4 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +4秒
5 ミハウ・クフィアトコフスキー(ポーランド、オメガファルマ・クイックステップ) +4秒
6 シモン・ゲシュケ(ドイツ、チーム ジャイアント・シマノ) +10秒
7 バウケ・モレマ(オランダ、ベルキン プロサイクリングチーム) +10秒
8 エンリーコ・ガスパロット(イタリア、アスタナ プロチーム) +10秒
9 ダニエル・モレノ(スペイン、チーム カチューシャ) +10秒
10 新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー) +12秒

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