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サイクリスト

“めざせ!マナーのいい空気”河川敷のマナー向上へ『あらかわろう』 片山右京さんらが「荒川マナーアップミーティング2014」で宣言

by 上野嘉之 / Yoshiyuki KOZUKE
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 東京都民の憩いの場で、スポーツの舞台にもなっている荒川下流河川敷の利用マナーを向上させようと、「荒川マナーアップミーティング2014」が3月9日、東京都北区の河川敷で開かれ、元F1レーサーでプロ・ロードレースチーム「Team UKYO」監督の片山右京さん、キャスターで気象予報士の山田玲奈さん、モデルでサイクリストの日向涼子さんらが参加。今月から河川敷の新・利用ルールが施行されたことを踏まえ、マナー向上の輪を広げようとの願いを込めて「あらかわろう」と宣言した。

荒川河川敷でのマナー向上と新ルール遵守へ「あらかわろう」と呼びかける片山右京さん(中央)ら荒川河川敷でのマナー向上と新ルール遵守へ「あらかわろう」と呼びかける片山右京さん(中央)ら

好天に恵まれ300人以上が来場

 ミーティングはサイクリストを対象に3年前に始まり、昨年からは対象をランニング、野球など他のスポーツ利用者や一般住民らにも広げられた。4回目の今年は、すっきり晴れ渡った好天にも恵まれ、広場に設けられた特設会場に300人以上の来場者や関係者が詰め掛けた。

「荒川マナーアップミーティング2014」の会場 =東京都北区「荒川マナーアップミーティング2014」の会場 =東京都北区
少年野球の選手達も続々と集まってきた少年野球の選手達も続々と集まってきた
駐輪ラックは満杯に駐輪ラックは満杯に

 はじめに東京都北区の花川與惣太区長があいさつに立ち、自治体の立場から「安心して利用できる河川敷になるようご協力をお願いします」と呼びかけた。続いて、昨年12月に施行された改正道路交通法で、自転車の通行ルールが一部変わったことについて、警視庁赤羽署交通課の尾崎英雄警部補が解説。「よく覚えてほしいのは一点だけ。道路の白線より外側の路側帯は、今までなら右も左もどちらでも走れたが、今回の改正で左側だけしか走れなくなった」と分かりやすく伝えた。

昨年に続いてあいさつに立った北区の花川與惣太区長昨年に続いてあいさつに立った北区の花川與惣太区長
自転車の交通ルールについて説明する警視庁赤羽署交通課の尾崎英雄警部補自転車の交通ルールについて説明する警視庁赤羽署交通課の尾崎英雄警部補
交通ルールの説明を聞く来場者たち交通ルールの説明を聞く来場者たち

「新・河川敷利用ルール」は自由と思いやりに立脚

荒川河川敷の新・利用ルールについて説明する国交省関東地方整備局・荒川下流河川事務所の波多野真樹所長荒川河川敷の新・利用ルールについて説明する国交省荒川下流河川事務所の波多野真樹所長

 荒川下流河川敷の新・利用ルールについては、河川敷を管轄する国土交通省関東地方整備局・荒川下流河川事務所の波多野真樹所長が説明。河川敷利用の原則は「自由使用」とした上で、「自由は同じく等しく分かち合えるものでなくてはならない。平たく言えば隣人に思いやりと優しさを持つこと」「わが国には江戸時代から『袖摺り合うも多生の縁』という言葉があり、ちょっとした出会でも思いやりや譲り合いを大切にする感覚がDNAに組み込まれている」などと述べた。

 また波多野所長は、従来のルールにあった自転車の時速20km制限を取り下げ、「徐行」をマナーとして掲げたことについて、「20kmが良くて21kmがダメとか言っていると、安全について本質の議論から離れてしまう。サイクリストの皆さんで、“こういう形なら歩行者を優先している”という手法を編み出してほしい」と呼びかけた。

 新ルールは、河川敷利用者に求める内容を「禁止行為」「危険・迷惑行為」「マナー」の3段階に分類し、わかりやすく提示しているのが特徴だ。

ステージを熱心に見つめる来場者ステージを熱心に見つめる来場者
会場に用意されたベンチは来場者で埋め尽くされた会場に用意されたベンチは来場者で埋め尽くされた

“地元”と荒川サイクリストの共存共栄を

 続いて、自転車好きのガールズユニット「ちゃりん娘」の三井麻里子さんが、このミーティングを前に荒川近辺の地元商店街を訪問したレポートを報告。

荒川近辺の商店街の様子をレポートするちゃりん娘の三井麻里子さん(右)荒川近辺の商店街の様子をレポートするちゃりん娘の三井麻里子さん(右)

 三井さん自身、荒川の近くで暮らしていて、休日などにはよく河川敷を走るというが、付近に“穴場”と呼べるような魅力的な商店街が散在していることは知らなかったという。レポートでは、昔ながらの惣菜屋や和菓子屋でごちそうを頂いたことを披露。他方、サイクリストが一部で暴走族のように見られている実態も伝えて、「ぜひ皆さんも荒川の地元スポットを訪ねてみてください」と共存共栄を呼びかけた

荒川近辺の商店街の様子をレポートするちゃりん娘の三井麻里子さん(右)荒川近辺の商店街の様子をレポートするちゃりん娘の三井麻里子さん(右)
三井麻里子さんがレポートした商店街マップ三井麻里子さんがレポートした商店街マップ

声をかけ合うことが譲り合いへ

 メーンイベントとなるパネルディスカッションには、片山さん、山田さん、日向さんのほかに、荒川などでランニング大会を主催しているプロトレイルランナーのみやちふじおさん、埼玉県川口市出身の元プロ野球選手・土肥義弘さん、少年野球大会などに関わる板橋区軟式野球連盟の遠藤弘榮副理事長、清掃活動などを展開するNPO法人 荒川クリーンエイド・フォーラムの伊藤浩子事務局長の計7人が出演。司会は一般社団法人グッド・チャリズム宣言プロジェクトの韓祐志代表理事が務めた。

パネルディスカッションには片山右京さん(左端)ら7人が出演パネルディスカッションには片山右京さん(左端)ら7人が出演

 片山さんは、荒川での自転車利用者の中で「少なくともロードレーサーに乗っている僕たちが、マナーや安全について情報発信していかなければならない」と述べ、熱心なサイクリストほどマナーのリーダーになるべきとの考えを示した。

 日向さんは、自身がホストライダーを務めた東北復興支援サイクリング「ツール・ド・三陸」で、試走などの際に地元の方々が「こんにちは」「頑張って!」とたくさん声をかけてくれたエピソードを紹介し、「こちらがグッとくるような気持ちになった。声のかけ合いは譲り合いにつながるので大切」と述べた。

 トライアスリートでもある山田さんは、皇居周回コースのランニングについて触れ、「危険を避けるために『右行きます』とか声かけすることが当たり前になってきた」と紹介。「マナーはすごく簡単なことなので、浸透していってほしい」と期待した。

元F1ドライバーの片山右京さん元F1ドライバーの片山右京さん
モデルでサイクリストの日向涼子さんモデルでサイクリストの日向涼子さん
キャスター・気象予報士の山田玲奈さんキャスター・気象予報士の山田玲奈さん
プロトレイルランナーのみやちふじおさんプロトレイルランナーのみやちふじおさん
元プロ野球選手の土肥義弘さん元プロ野球選手の土肥義弘さん
板橋区軟式野球連盟の遠藤弘榮副理事長板橋区軟式野球連盟の遠藤弘榮副理事長
NPO法人 荒川クリーンエイド・フォーラムの伊藤浩子事務局長NPO法人 荒川クリーンエイド・フォーラムの伊藤浩子事務局長

 みやちさんは、山を走ってトレーニングする際に「ハイキングの方に、遠くからいかに気付いてもらうか。気配を出して認識してもらう努力をしながら走っている」と語り、狭い道でお互いを感じ取ることの大切さを伝えた。土肥さんは、自身も少年時代に荒川河川敷で野球をした思い出に触れ、「野球をする場所が少なくなってきた中で、河川敷は大切な場所。ぜひ共存していただきたい」と訴えた。

 遠藤さんは、少年野球の子供たちに自転車やランナーとトラブルにならないよう指導しているの述べたうえで「自転車の皆さんにも気をつけてもらいたい」と求めた。伊藤さんは、荒川でのマラソン大会の参加者らと一緒にゴミ拾いをしている活動を紹介し、荒川の素晴らしい環境を守る大切さを訴えた。

パネルディスカッションも大勢の来場者が聴講したパネルディスカッションも大勢の来場者が聴講した
司会を務めた一般社団法人グッド・チャリズム宣言プロジェクトの韓祐志代表理事司会を務めた一般社団法人グッド・チャリズム宣言プロジェクトの韓祐志代表理事
愛車で駆けつけてステージを見守るサイクリストたち愛車で駆けつけてステージを見守るサイクリストたち

全員で「あらかわろう!」とアピール

 またパネルディスカッションでは、荒川下流の河川敷を通る道路は“荒川サイクリングロード”と呼ばれることがあるものの、実際は自転車だけの道ではないこと、また正式名称は「緊急用河川敷道路」であることが説明された。日向さんが「ちょっと固いですね。新しい愛称を付けませんか」と提案すると、出演者や来場者から賛同の声が上がる一幕も。

パネルディスカッションで意見を交わす山田玲奈さん(右)と日向涼子さんパネルディスカッションで意見を交わす山田玲奈さん(右)と日向涼子さん
ステージの様子を撮影する来場者たちステージの様子を撮影する来場者たち
パネルディスカッションも大勢の来場者が聴講したパネルディスカッションも大勢の来場者が聴講した
マナーアップを呼びかけるフラッグに記念のサインをする出演者たちマナーアップを呼びかけるフラッグに記念のサインをする出演者たち

 約1時間に及ぶ熱い討論の最後には、『あらかわろう』と書かれたフラッグに出演者が記念のサイン。また、片山さんが音頭をとって、会場の全員で「あらかわろう!」と大声でアピールした。一般の来場者も次々と賛同のサインやコメントを書き込んだこのフラッグは、ミーティングの開催に協力した「グッド・チャリズム宣言プロジェクト」で管理し、啓発などで必要な団体には貸し出していくという。

記念撮影のためステージ前へ詰め掛ける来場者たち記念撮影のためステージ前へ詰め掛ける来場者たち
ミーティングの最後で記念撮影に収まる出演者たちミーティングの最後で記念撮影に収まる出演者たち

河川敷の不安・トラブル解消へ光明

 その後、アトラクションとしてみやちふじおさんによるランニング教室と、土肥義弘さんによる野球教室も開催。ランニング教室では、ストレッチを取り入れた動作やダッシュを繰り返し、効率のよいフォームの基礎を教わった。野球教室では、元プロ野球選手ならではのコーチングで、子供たちは投球・捕球動作の細かな点までアドバイスを受けていた。

アトラクションとしてみやちふじおさんによるランニング教室も開かれたアトラクションとしてみやちふじおさんによるランニング教室も開かれた
土肥義弘さんによる野球教室には子供たちが参加した土肥義弘さんによる野球教室には子供たちが参加した

◇         ◇

 4回目を迎えた荒川でのマナーアップミーティングは、サイクリストにとって、道路交通法の改正や河川敷利用ルールの変更という節目を迎えた後の開催となり、当局の説明も出演者の討論内容も、より深いものとなった。Cyclistの取材に対し、荒川下流河川事務所の波多野所長は「行政が何でも禁止事項にするのは不健全な社会」と述べ、改めて思いやりや譲り合いの大切さをアピール。また、クルマと自転車の両面から道路交通に詳しい片山右京さんは、「河川敷の利用ルールが規制ではなく人々の心の問題に返ってきたことは大きな進歩」と歓迎しつつ、「自転車の方々は、歩行者優先ということを絶対に忘れてはならない」と戒めた。河川敷利用をめぐる不安やトラブルの軽減・解消へ、光明が差すようなイベントとなった。

「あらかわろう」のフラッグを振ってマナーアップを呼びかける日向涼子さん「あらかわろう」のフラッグを振ってマナーアップを呼びかける日向涼子さん

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