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【Cyclist’s EYE】自転車の走行速度は明記せず 「新・荒川下流河川敷利用ルール」がサイクリストに求めていること

by 上野嘉之 / Yoshiyuki KOZUKE
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 東京都内や近郊で、自転車で走りやすい道として多くのサイクリストを集める荒川下流の河川敷道路。しかし、ここ数年、スポーツサイクル人口の増加に伴って事故も多発し、効果的な対策が求められていた。1月31日に発表された「新・荒川下流河川敷利用ルール」は、従来のルールを分かりやすく再編するとともに、必要な修正を加え、及ばなかった領域は網羅して、より完成度を高める内容となった。その中で、ルールの意味づけが最も大きく変化したのが、自転車に関する項目だ。

自転車利用者が守るべきルールは2項目

 新ルールのうち、自転車に関する項目は「自転車は徐行し、歩行者を優先しましょう」「河川敷道路に自転車や荷物などを置かないようにしましょう」の2つ。いずれも注意喚起の度合いが穏やかな「マナー」に分類されている。

 従来の河川敷利用ルールでは、自転車は「目安として時速20km以下」と明記されていたが、新ルールでは具体的な速度が記載されていない。

多くの自転車が行きかう荒川(2013年3月撮影)多くの自転車が行きかう荒川(2013年3月撮影)

 昨年9月にルール改正案が公表されて以降、自転車の速度をめぐっては議論が起こった。国土交通省荒川下流河川事務所が行った意見募集には、「『徐行』は人によって認識が違うし、自転車側、歩行者側で比べても違う。具体的な速度を記載すべきだ」などの意見も寄せられた。

 これに対し、新ルールを策定した荒川下流河川敷利用ルール検討部会は、31日に公表した説明資料(PDF)の中で、「河川敷道路は、人と自転車が混在する点で、道路交通法上の歩道に類似しているため、道路交通法の表記と同じ『徐行』とした」と説明。

 さらに「徐行は、警察庁の国会答弁では、歩道を走る自転車の速度としては、時速4、5kmとされているので、現行ルールの時速20kmより遅く、これまで以上の抑止効果が期待できる」と、法令ではなく国会答弁を援用して狙いを解説している。

「徐行」が求める意味

 「徐行」を求め、その速度を時速4、5kmとする認識が示されつつも、文面からは目安の速度が廃止された新ルール。一見、矛盾しているような状況を理解するためには、河川敷という空間の特性を知ることが必要だ。

 荒川下流河川事務所によると、河川敷は、道路交通法で厳しく規制されている一般道や、利用方法を個人の意思で決められる私有地とは異なり、「利用は原則的に自由」な公共スペースという。

 しかし今、その自由なスペースで自転車事故が多発している。これに対し同事務所は、「自由を多くの人と共有するためには、思いやりと譲り合いの心が必要」と訴える。

荒川下流の河川敷道路で行われた、サイクリストにマナーアップを呼びかけるキャンペーン(2012年11月)荒川下流の河川敷道路で行われた、サイクリストにマナーアップを呼びかけるキャンペーン(2012年11月)

 今回の新ルールも、サイクリストを含む多くの利用者の「自由」を尊重しつつ、「他の利用者への心遣い・譲り合い」で問題を解決していこうという意思が貫かれている。

 ただ一方で、河川敷利用ルール検討部会は「自転車は車両であり、一般の道路で人と接触する事故が起これば、自転車側に重い責任が科せられる場合がある。河川敷道路でも同じで、主には自転車側が細心の注意を払わなければならない」と、自転車利用者の責任も指摘している。

 すべての自転車が河川敷を時速4、5kmで走ることは、自転車の利便性や価値そのものを損なうことを意味し、現実的ではない。ならば、自転車はどのような場所・状況で、どんな「徐行」を行うべきか? 新ルールは、これからサイクリスト自身が「自由」と「責任」の中で具現化していくことを求めている。

 現行ルールは“時速20km規制”を第1番目の項目に挙げているが、新ルールでは「徐行」が最後の方に記された。そんな変化も、サイクリストに委ねられた自由と、果たすべき責任を象徴しているかのようだ。

【参考】現行の河川敷利用ルール

(1)自転車はいつでも止まれるスピードで走行すること(目安として時速20km以下)
(2)ゴルフの練習は行わないこと(素振りを含む)
(3)22時以降は音の出る花火はしないこと
(4)他の者に迷惑をかける騒音は出さないこと
(5)ラジコン飛行機は飛ばさないこと(ヘリコプターを含む)
(6)犬のリードは離さない・フンの放置はしないこと
(7)ゴミの不法投棄はしないこと
(8)バーベキュー・たき火等の火気を使用しないこと
(9)自動車及びオートバイ等は河川敷道路等への進入はしないこと(許可車両を除く)
※ただし、上記9項目のほか明らかに他の利用者に迷惑を及ぼすと認められる行為についても禁止します

(2010年4月より運用)

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