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目標はグランツールでのステージ優勝「自分からジロ出場を希望した」 トレックファクトリーレーシングでプロ10年目を迎える別府史之インタビュー

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 世界のプロ・ロードレースに挑む新チーム「トレックファクトリーレーシング」に参加し、プロ10年目のシーズンを迎える別府史之。10年目という大きな節目に、日本人選手の第一人者としてトップのレースシーンで活躍する別府は何を見るのだろうか? シーズン開幕を直前に控えた別府に話を聞いた。(聞き手 田中苑子)

プロ生活10年目をトレックファクトリーレーシングの一員として迎える別府史之プロ生活10年目をトレックファクトリーレーシングの一員として迎える別府史之

現状に満足せず、常に上を見て走る

 別府史之は、1983年、3人兄弟の末っ子として神奈川県で生まれた。そして2人の兄を追うように自転車競技を始め、高校卒業後、プロの自転車選手をめざして渡欧。フランス・マルセイユでアマチュア時代を過ごしたあと、2005年にディスカバリーチャンネル(アメリカ)と契約して、プロデビューを果たした。

仏・ルーべ市で行われたチームプレゼンテーションで挨拶する別府史之(2014年1月10日)仏・ルーべ市で行われたチームプレゼンテーションで挨拶する別府史之(2014年1月10日、田中苑子撮影)

 その後、2008年にスキル・シマノ(オランダ)、2010年にレイディオシャック(アメリカ)、2012年にオリカ・グリーンエッジ(オーストラリア)へと移籍しつつ、9年間にわたってトップチームで走り続けてきた。2009年には新城幸也(当時ブイグテレコム)とともに、日本人選手として初めてツール・ド・フランスを完走。最終ステージでは果敢に逃げて敢闘賞を獲得した。そして、プロ10年目のシーズンを迎えるにあたり「10年というのを区切りに、華々しいシーズンにしたい」と話す。

インタビューに答える別府史之(田中苑子撮影)インタビューに答える別府史之

 「チームのなかで自分は、良い経験をたくさん持っている選手というポジションで、チームの仕事をしっかりとこなせるという信頼をもらっています。それはこの9年間、プロとして走って築き上げたものですが、だからといって、現状に満足することなく、常に上を見て走っていきたい。いつもフレッシュな向上心をもって走り続けていきます。チームメイトの42歳のイエンス・フォイクトだって頑張っているので、自分は今年で31歳になるけど、まだ若いし、希望に満ちています」

ジロでは「逃げてチャンスをつかみたい」

 1月10日のチームプレゼンテーションを終えたあと、別府はスペイン・マヨルカ島でのトレーニングキャンプに向かった。今後、2月13〜16日ツール・メディテラネアン(フランス)でシーズン初戦を迎え、そのあとはジロ・デ・イタリアへの出場が予定されている。

 「今年の目標はジロを走ること。それに向けて前半のスケジュールが組まれています。春先はゆっくりじっくりと自分をビルドアップさせながら、メリハリをつけてレースやトレーニングをこなし、ジロに向かって走るというのがチームにもらったオーダーです」

新しいチームメートと共に(田中苑子撮影)新しいチームメートと共に
チームプレゼンテーションでステージに立つ別府史之(2014年1月10日、田中苑子撮影)チームプレゼンテーションでステージに立つ別府史之(2014年1月10日)

 「自分からジロ出場を希望しました。やっぱりジロは走っていて楽しい。ジロは“アドベンチャー”と言われるくらい過酷で…(笑)、でもそんなレースこそ、リアルな自転車競技ではないか?とすごく感じるんです。ヨーロッパで自転車競技をやるなら、目指したいレースの1つです。ファンもすごく熱狂的だし、土地柄もいい。コースはきついけど、『これぞ自転車レース!』というのができるのが魅力。きつくてもそれは苦にならないですね。今シーズン、まずはここを狙っていきます」

インタビューに答える別府史之(田中苑子撮影)インタビューに答える別府史之(田中苑子撮影)

 別府の言う「狙う」とは、もちろんそこでの活躍を指す。「僕はチームの仕事をしながらも、逃げてチャンスをつかみたい。一昨年、オリカ・グリーンエッジでジロに出た時は、チームの勝利に貢献しましたが、もっと自分にチャンスがくるようなレース展開に持ち込むイメージはできています。UCIのポイントを取って、世界選手権に行くことも大切な目標ですが、チームの勝利に貢献しながら、自分の勝利も貪欲に目指し、グランツールでのステージ優勝という目標も達成したい。そういうビジョンをしっかりと持って、素晴らしいトレック社のバイクとともに、力を出し切って、チーム一丸となり勝利をめざしたいと思っています」と続ける。

 ちなみにインタビュー中、何度もトレックのバイクについて言及した別府。彼がメインに駆るのはマドン7シリーズになるが、「ショック吸収性や直進性がとてもいい。ダンシングすると勝手に自転車が進んでいくような、後ろに魚のヒレがついているような感覚がある。下りの安定性もいいし、乗っていて疲れにくい。スポンサーでなくても、人に勧めたいバイク」と絶賛し、乗り馴れたトレックのバイクに再び乗れることが、「プロ選手として本当に幸せだと思う」。

今シーズン、別府が使用するバイクの一台となる「TREK マドン7シリーズ」(田中苑子撮影)今シーズン、別府が使用するバイクの一台となる「TREK マドン7シリーズ」
別府史之(田中苑子撮影)別府史之

東京五輪の2020年も「まだまだ走れると思う」

 プロデビューした2005年当時、別府は弱冠21歳。まだアンダー23カテゴリー3年目という若さだった。そして現在、20代前半でトップチームに所属してプロ選手として走る日本人選手は残念ながらゼロだ。

別府史之(田中苑子撮影)別府史之

 「今の若い日本人選手には、もっと欲がないといけないのかな?と思いますね。優しすぎる選手が多いように思う。ここは、自分が望むものを勝ち取っていかないと、勝ち進んでいけない世界なんです。今の自分あるのは、これまでに蹴落としていった選手たちのおかげだと思っている。そういった選手のためにも、自分は強くなって走り続けないといけないという責任感がある。みんなが憧れるプロの世界は、そんなに甘いものではない。勝ち上がってきた者だけが入れる世界だと思います」

 「若い選手には、自分が一番どうなりたいか?というビジョンが最も大切だと思います。もしプロになりたいと思うなら、もっと貪欲になっていい。国内では常にライバル心をむきだしに、強い気持ちを持って、先輩や後輩といったものは関係なしに、我が道を進んでいくことが大切。その先の海外に行くためにはもっと多くのこと…言葉も話せないといけないし、文化も知らないといけない。でも、そういうのは、その場所で走るにはどうしたらいいかということから、逆算して考えれば、自然と見えてくること。強くなるのとプロになるのは違う。強くなるのは当たり前で、さらにプロになることを考えないといけないんです。なかなかそこを考えている選手は少ないですね」

 では、この先の10年後はどうだろう? この先のビジョンとしては、2016年のリオデジャネイロ・オリンピックや、2020年の東京オリンピックがあると言う。「実際にその歳になってみないとわからないけれど、まだまだ走れると思う。もちろん自転車はオリンピックだけでない。まずは10年目の区切りというのが自分のなかにあるので、今シーズン、いい走りをして、5年後、10年後につなげていきたい」と話す。新しい体制のもとで始動したチームとともに、プロ10年目、別府にとって、大きな節目となるシーズンが始まる。


協力:トレック・ジャパン


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