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2014新春スペシャルインタビュー勝ちにこだわる宮澤崇史 「選手としてもっとも基本的なところに、もう一度戻ってやっていく」

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 2シーズン、トップカテゴリーであるワールドツアーチーム、チーム サクソ・ティンコフ(2013年登録名)で走った宮澤崇史。36歳となって迎える2014年、移籍先に選んだのは、日本籍のコンチネンタルチーム、ヴィーニファンティーニ・NIPPO・デローザだった。宮澤は2010年にチームNIPPO、そして2011年にはファルネーゼヴィーニ・ネーリソットリ(イタリア)に所属していた。チームは新しく生まれるものの、宮澤にとっては馴染みのあるスポンサーの元に戻る形となり、いわば古巣に帰ってきたようなもの。チームから宮澤に対して強いラブコールもあったという。(聞き手 田中苑子)

2年所属したサクソ・ティンコフを離れ、新チーム「ヴィーニファンティーニ・NIPPO・デローザ」に移籍した宮澤崇史2年所属したサクソ・ティンコフを離れ、新チーム「ヴィーニファンティーニ・NIPPO・デローザ」に移籍した宮澤崇史

来年以降をも見据えたチーム選択 シーズンスタートは2月

お披露目された新ジャージでの姿。宮澤にとっては馴染みの深いスポンサーたちだお披露目された新ジャージでの姿。宮澤にとっては馴染みの深いスポンサーたちだ

 「やっぱりヨーロッパで戦いたかったし、上のカテゴリーで走りたいという強い気持ちもある。その自分の意志と合うのがヴィーニファンティーニ・NIPPO・デローザだった。このチームは2014年だけでなく、その先を見据えていて、近い将来、ジロに出場したいという希望がある。その目標に対して、自分たちはここから始めるんだ、という考えもちゃんと見えていたので、自分としては今年の活動だけでなく、その先を考えて選択をした」

 メーンスポンサーはイタリア大手のワインメーカー、ファルネーゼ社。チーム名になっている”ヴィーニファンティーニ”とは、ファルネーゼが手がけるワインブランドの1つだ。同社は自転車競技への大きな熱意から、長年、自転車チームやレースのスポンサーを務めている。しかし、昨年は、スポンサードされた選手のドーピング違反が発覚し、チームは大きな打撃を受けた。そこで、新しいチームを立ち上げるという形で、自転車競技のサポートを続け、再び自分たちのチームがジロ・デ・イタリアに出場することを切に願っている。

 「チームと契約した理由の一つには、(ファルネーゼ社長の)バレンティーノ・ショッティ氏の自転車競技に対する情熱もある。昨年は彼らがスポンサードするチームに、いろいろなことがあったわけだけれど、それでも自転車チームを持ち続けるというスポンサーとしての熱意は本当にすごいことで、敬意をもっている」

届いたばかりの新しいチームウェアを選手たちに整理しながら配る届いたばかりの新しいチームウェアを選手たちに整理しながら配る
真新しいチームウェアに身を包みトレーニング真新しいチームウェアに身を包みトレーニング

 宮澤は、2013年11月〜12月にイタリアで開催された最初のトレーニングキャンプに参加し、年末年始は毎年恒例のタイ合宿で自主トレーニングに明け暮れている。2月のドバイツアーを皮切りに2014年のシーズンが始まる。

生粋のスプリンター 復活へ「勝つ選手でありたい」

 「自転車のレースって、どのカテゴリーであっても勝つことはすごく大変で、そして下で勝てないと上でも勝てないもの。今季は”勝つこと”にこだわって走りたい。勝ちをめざすという、選手としてもっとも基本的なところへ、もう一度戻ってやっていくことに、高いモチベーションを持っている。ちゃんと勝てる選手として、チーム内の役割を果たしていきたい」

 「勝つことにこだわりたい」と話す背景には、この2年間所属していたワールドツアーチームでの経験がある。スター選手が多く在籍する一流チームでは、「なかなか自分がエースになって周りが完全サポートしてくれるということはなかった。小さなチャンスを掴んで勝ちを狙うということが多かったので、腰を据えて勝ちにいけることは少なかった」と言う。

集団先頭で走る宮澤集団先頭で走る宮澤

 宮澤は生粋のスプリンターだ。これまでアジア選手権(2007年)や全日本選手権(2010年)など、国内外のたくさんのレースで、ゴールスプリントを制して優勝している。しかし、サクソ・ティンコフへ移籍後は、2011年ベルギーのプロケルメス以来、勝利から遠ざかってしまっている。「プロチームは勝つことだけが仕事ではなく、自分の役割を果たすことが仕事なんだけれど、自分がどうあるべきか?と考えたときに、勝つ選手でありたいと思っていたよね」と、複雑な心境を覗かせる。

 その点、ヴィーニファンティーニ・NIPPO・デローザが宮澤に求めていることは第一に「勝利」だ。その合致が、今回の移籍を大きく後押しした。そして、チーム最年長であり、トップチームで走ってきた彼の経験から、宮澤は自然と若い選手が多く所属するチームをまとめるキャプテンのような存在にもなっている。

宮澤が重要視しているコアトレーニング。合宿中にトレーニング法を日本人選手に教える宮澤が重要視しているコアトレーニング。合宿中にトレーニング法を日本人選手に教える
食事に関する知識も豊富で、若い選手たちが宮澤のアドバイスに聞き入る食事に関する知識も豊富で、若い選手たちが宮澤のアドバイスに聞き入る

 「チームからはみんなの見本になってほしいと言われている。なるべく若い選手とコミュニケーションをとりながら、彼らの質問にはできるだけ答えるようにしている。みんな若いだけに喜怒哀楽が激しいんだけれど、若い選手たちには、若いなりのいいところがたくさんある。その反面、これから学ばないといけないこともたくさんある。いい部分、たとえば怖いもの知らずだったり、モチベーションが高かったりといった部分はできるだけ伸ばしていきたい。自分もそういう部分から刺激を受けていて、いい相乗関係がある」

“上を目指す”チーム 目標は来年のジロ出場

 「それにチームには若い選手だけでなくて、マラグーティ(2013年アンドローニジョカットーリ・ベネズエラ)やデネグリ(2013年ヴィーニファンティーニ・セライタリア)などプロコンチネンタルチームから下のコンチネンタルチームに降りてきた選手もいる。ある意味、落ちこぼれと捉えられてしまうかもしれないけれど、彼らもやっぱりモチベーションが高い。大事なことは、彼らがどこを見ているか?なんだろうな。このチームが見ているところは2014年ではなくて、2015年や2016年といった先のこと。すべての選手がチームとして団結して、高い目標に向かってスタートしていることをすごく感じている」

チームのムードも牽引する宮澤チームのムードも牽引する宮澤

 ヴィーニファンティーニ・NIPPO・デローザは2015年のプロコンチネンタルチーム登録、そしてジロ・デ・イタリア出場という大きな目標を持っている。

 「(そのためには)たくさんのことが必要になってくるよね。今のままでは絶対にダメだし…。でも、チームには経験が足りないだけであって、何をしないといけないかは、彼らには見えている。たとえば、このレベルのレースで勝てないとダメだとか、そういう1つ1つの目標をクリアしていくことが大事になる。自分は年齢が上だし、立場的にもまわりをまとめていかないといけないので、ちゃんと自分の立ち位置をはっきりと示して、チームに対して指示をしたり、監督とどのようにレースを作っていくかなど細かい点も確認していかないといけない」

チーム集合写真の中心に収まる宮澤。これが今年の自らの役割だチーム集合写真の中心に収まる宮澤。これが今年の自らの役割だ

 日本籍のコンチネンタルチームへの移籍。そして、勝ちを狙うこと、また若い選手とともに新しいチームを育てるという役割は、宮澤にとって大きな挑戦になる。チームの大門宏ゼネラルマネージャーは、「今回の移籍は、彼にとって自分自身のハードルを上げたようなものだ。意外と思われるかもしれないけれど、彼にとっては、元のチームに残ることよりも厳しいシーズンになるだろう。でも、彼に期待しているし、UCIポイント圏内での勝負を楽しみにしている」と話す。

 「2014年はワクワクするようなレースをしていきたい。応援よろしくお願いします」とファンへのメッセージでインタビューを締めくくった宮澤。勝利を目指して、またその先のキャリアのために、たくさんのチャレンジに満ちたシーズンが始まろうとしている。

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